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実績ゼロの元会社員が「返金で740万円を捨てたあと継続契約だけに賭けた」結果、20日で8,900万円。年商2.1億円を作って崩れた資金繰りの光と闇

7 min read2026年3月15日
実績ゼロの元会社員が「返金で740万円を捨てたあと継続契約だけに賭けた」結果、20日で8,900万円。年商2.1億円を作って崩れた資金繰りの光と闇

ビジネス概要

事業タイプ

Agency

フェーズ

立て直し期

規模感

年商約2億1,000万円(140万ドル)

概要

ネットショップ構築・業務改善を中心に、継続契約で企業のオンライン移行を支援する制作会社。

ターゲット

オンライン販売へ移行したい中小企業の経営者

主な打ち手

単発案件中心から継続契約(最低2万ドル以上)に切り替えて、毎月課金の売上を積み上げた。

30秒で分かる

1犬と働くため独立し、年商約2億1,000万円まで伸ばした。

元会社員のズラトコが在宅で稼ぐ道を選んだ

返金で約740万円を失い、方針転換で回復した

2実績ゼロで単価を下げ、専門を絞った。

評価がないと選ばれない。

安く受けて実績を積んだ。

ネットショップ案件に寄せた。

3制作会社化で受注は伸びたが、時間が消えた。

友人2人と制作会社を作った。

初月に約440万円規模の案件が決まる。

広告なしの問い合わせも増えた。

4返金で資金難になり、継続契約へ切り替えた。

感染症流行で未払いが増えた。

合計で約740万円を返金した。

助言を受け、継続契約と高単価に寄せた。

5切り替え20日で約8,900万円、月約1,400万円まで伸びた。

最初の20日で売上が約8,900万円増えた。

2020年末に月約1,400万円へ到達。

2021年に年商約2億1,000万円まで伸びた。

6本質は、成長より余裕資金の設計だ。

継続契約は安定するが忙しさも増える。

新規事業へ投資しすぎると逃げ道が消える。

本業が落ちた時に一気に苦しくなる。


ストーリーの流れ

Problem

決まった時間に出社する会社員生活が合わず在宅で働ける仕事を自分で作ると決めた。

  • 犬を長時間ひとりにしたくないことが決断の引き金だった。
  • 家賃があり貯金も十分ではなく準備に時間をかけられなかった。
Action

実績ゼロの壁を越えるため単価を下げてでも評価を積み上げる戦略を取った。

  • オンラインの仕事募集サービスに登録して案件獲得を狙った。
  • 評価や実績がないため応募しても選ばれにくかった。
Insight

ネットショップ構築案件の多さに気づき専門を絞って打ち出し直した。

  • 空き時間でその分野を勉強しネットショップに強い専門家として再定義した。
  • 専門を絞ると仕事が安定し顧客探しの苦しさが薄れた。
Insight

実質的に制作会社のように回り始めた現実から会社として受けるべきだと判断した。

  • PMとして雇われたのに開発者探しや外部業者の取りまとめまで担っていた。
  • 業務が増えても報酬が増えない状況が意思決定を後押しした。
Team

友人2人を誘って制作会社としてのチームを組成した。

  • 1人はプロジェクト管理で、もう1人はデザイン担当だった。
  • 会社名は打ち合わせ中のタコスから「Tako Agency」になった。
Monetize

立ち上げ直後に初月約440万円規模の案件が決まり事業が動き出した。

初月に約440万円規模(3万ドル)の案件立ち上げ直後の大型受注
  • チームにまだ開発者がいない不安を抱えながらも引き返さず進めた。
  • アラスカの水産会社の業務改善をデジタル化してやり切った。
Growth

レビューと推薦が積み上がり広告に頼らない問い合わせが増えて仕事が増えた。

  • オンラインの仕事募集サービスで顧客を増やし評価資産を積み上げた。
  • 検索で見つけてもらう工夫を続けた結果として問い合わせが増えた。
Problem

顧客対応に追われSaaSのアイデアを形にする時間がなくなった。

  • 健康的な働き方とSaaS開発の時間を作るために会社員をやめたのに現実は逆だった。
  • 数字上は順調でも心は落ち着かなかった。
Problem

感染症流行で未払いと返金が増え合計約740万円を返金して資金繰りが急激に悪化した。

合計で約740万円(約5万ドル)を返金返金損失
  • 苦境に立たされた顧客から前金返金を求められるケースが出た。
  • 精神的にも落ち込みソファから動けない日もあったが給料の支払いは待ってくれなかった。
Action

ポッドキャストを始めて他の起業家に相談し継続契約への転換を決断した。

  • 単発案件中心では収入が読めず資金繰りが不安定だと助言を受けた。
  • 毎月一定額を払う継続契約に切り替え最低でも2万ドル以上の案件だけを受けるべきだと示された。
Growth

継続契約へ切り替え後の最初の20日で売上が約8,900万円増えた。

最初の20日で売上が約8,900万円(6万ドル)増えた方針転換直後の売上増
  • 実店舗を閉めてオンライン販売へ移る企業が増えネットショップ需要が高まっていた。
  • 方針転換のタイミングが追い風になった。
Monetize

2020年末に継続契約だけで月約1,400万円に達した。

月約1,400万円(9万5千ドル)継続契約の月次売上
2020年末月次到達時期
  • 継続契約への転換が収入の見通しを立てやすくした。
  • 一方で忙しさも増えSaaSに割ける時間は減っていった。
Monetize

2021年に年商約2億1,000万円まで伸びた。

年商約2億1,000万円(140万ドル)年商
2021年年商到達時期
  • 急成長の裏側で忙しさが増しSaaSへの集中がさらに難しくなった。
  • 成長がそのまま時間不足の問題を拡大させた。
Team

前線を離れて社内のクリエイティブ責任者にCEO役を引き継いだ。

  • 「昨日までに終わらせてほしい」と言われ続ける働き方が燃え尽きを招くと捉えた。
  • 役割を渡したことで自分の時間を取り戻した。
Scale

制作会社の利益を使ってSaaS開発に特化した別組織「920Four」を立ち上げた。

  • SaaS作りに集中するため開発者も雇った。
  • 制作会社を踏み台にしてSaaSへ進む構想を形にし始めた。
Problem

ズラトコとCEOが別々の道を選び制作会社の現場が戻ったことで920Fourが止まった。

  • 制作会社の現場対応がズラトコに戻り二正面の負荷が発生した。
  • 結果としてSaaS側の推進が止まった。
Problem

制作会社の利益を920Fourに投資しすぎたため仕事が減る局面で余裕資金がなく資金繰りが危機化した。

  • 好調なときは危険に見えないが案件が落ち着くと一気に苦しくなる構造だった。
  • 920Fourは凍結され制作会社も危機的な状態に陥った。
Action

チームを解雇せず生命保険から資金を引き出して支払いに回し新規顧客獲得で立て直す方針を取った。

  • 混乱の中でも支えてくれた仲間を手放したくないという判断だった。
  • インタビュー時点でも資金繰り混乱の最中で給料支払いを遅らせざるを得ない状況があった。

会社員として毎日決まった時間に出社する生活が、どうしても合わなかった。家賃もある。貯金も十分じゃない。それでも「家で働ける仕事を自分で作る」と決めたのは、犬を長時間ひとりにしたくなかったからだ。

実績ゼロで仕事を探し、単価を下げてでも評価を積み上げる。専門を絞ってようやく安定してきたのに、今度は「制作会社のように回り始めた現実」が、SaaSを作りたい気持ちを遠ざけていく。

返金で約740万円(約5万ドル)を失い、それでも方針転換後の最初の20日で約8,900万円(6万ドル)を積み上げた。月約1,400万円(9万5千ドル)、年商約2億1,000万円(140万ドル)まで伸ばした先で、何が起きたのか。転び方も含めて、そのまま辿る。

制作会社を踏み台にSaaSへ行こうとした創業者の話(転び方も含めて)

ズラトコが会社員をやめた理由は、出世でも給料でもない。犬だった。

2016年ごろ、在宅勤務はまだ当たり前ではなかった。毎日決まった時間に出社して会社の歯車として働く生活が、ズラトコには合わなかった。犬を長時間ひとりにしたくない。ハイキングもしたい。何かを作る時間もほしい。だから「家で働ける仕事を自分で作る」と決めた。

ただ、貯金は十分じゃない。家賃もあるし、犬のごはん代もある。のんびり準備している余裕はなかった。

実績ゼロからの仕事探し

ズラトコはオンラインの仕事募集サービスに登録し、プロジェクト管理や技術の経験で勝負するつもりだった。

だが、最初の壁はシンプルだった。評価がない。実績が見えない。応募しても選ばれにくい。

そこでまず単価をかなり下げた。「安くてもいいから実績を作る」。この作戦で少しずつ仕事が取れるようになった。

続けるうちに、ある傾向に気づく。ネットショップの構築に詳しい人を探す案件が多いのだ。

ズラトコは空き時間でその分野を勉強し、「ネットショップに強い専門家」として打ち出し直した。専門を絞ると仕事は安定し、顧客探しの苦しさも薄れていった。

この時点で、壮大な夢があったわけじゃない。犬と一緒に家で過ごして、生活を回す。それが一番大事だった。

そんな中、流れを変える依頼が来る。プロジェクトマネージャーとして雇われたはずなのに、実際は開発者を探し、外部業者をまとめ、チームを動かすところまでやっていた。なのに報酬は増えない。

そこで思った。「これ、もう小さな制作会社みたいな動きだ。だったら最初から会社として受けたほうがいい」

会社名はタコスから生まれた

ズラトコは友人2人を誘った。1人はプロジェクト管理、もう1人はデザイン担当。チームができた。

次は会社登録だ。名前が必要になる。打ち合わせ中、3人のうち2人がタコスを食べていた。そこから制作会社の名前は「Tako Agency」になった。タコスはだいたい誰にでも好かれる、という軽いノリもあった。

立ち上げてすぐ、初月に約440万円規模(3万ドル)の案件が決まった。

嬉しいはずなのに、ズラトコは不安になった。チームにはまだ開発者がいなかったからだ。それでも引き返さなかった。「一緒に解決して、最高の結果を出す」。そう言って前に進んだ。

最初の大きな仕事は、アラスカの水産会社の業務改善だった。紙中心の管理を、使いやすいデジタルの流れに変える。地味で難しい題材だ。

それでもチームはやり切った。しかも、水産の仕事を魅力的に見せるところまで形にした。この経験でズラトコは確信する。「難しい題材でも、ちゃんと形にできる」

その後もオンラインの仕事募集サービスで顧客を増やし、レビューや推薦コメントが積み上がっていった。検索で見つけてもらう工夫も続けた結果、数か月後には広告に頼らない問い合わせが増え、仕事も増えた。

数字だけ見れば順調だった。

でもズラトコの心は落ち着かなかった。会社員をやめた理由は、健康的な働き方とSaaSのアイデアを形にする時間を作るためだった。ところが現実は、顧客対応に追われ続ける毎日。SaaSどころじゃない。

計画が崩れたとき、会社は揺れた

追い打ちをかけたのは、世界的な感染症の流行だった。未払いの請求書が増え、苦境に立たされた顧客から前金の返金を求められるケースも出た。

ズラトコは相手の事情に心を痛め、合計で約740万円(約5万ドル)を返金した。

その優しさが、会社の資金繰りを一気に苦しくした。

気持ちも落ちた。ソファから動けない日もあった。それでも給料の支払いは待ってくれない。

ズラトコは悩みを外に出す場所としてポッドキャストを始めた。他の起業家に相談し、苦しさも含めて共有するためだった。

そこで返ってきた助言は、かなり現実的だった。

  • 単発案件ばかりだと、収入が読めず資金繰りが不安定になる
  • 毎月一定額を払う「継続契約」に切り替えるべき
  • 最低でも2万ドル以上の案件だけを受けるべき

ズラトコは迷った。それでも失うものは少ないと判断し、方針を変えた。

切り替え後、最初の20日で売上が約8,900万円(6万ドル)増えた。タイミングも良かった。実店舗を閉めてオンライン販売へ移る企業が増え、ネットショップの需要が高まっていたのだ。

2020年末には、継続契約だけで月約1,400万円(9万5千ドル)に達した。2021年には年商約2億1,000万円(140万ドル)まで伸びた。

ただ、急成長には別の顔があった。忙しさが増し、ズラトコはますますSaaSに時間を割けなくなった。

そこで一度前線を離れ、社内のクリエイティブ責任者がCEO役を引き受ける形にした。「昨日までに終わらせてほしい」と言われ続ける働き方は人を燃え尽きさせる。役割を渡したことで、ズラトコはようやく自分の時間を取り戻した。

そしてSaaS作りに集中する。開発者も雇い、制作会社の利益を使ってSaaS開発に特化した別組織「920Four」も立ち上げた。

大きくしすぎた代償

しばらくは回っていた。

だがズラトコとCEOが別々の道を選ぶことになり、状況が変わった。制作会社の現場対応がズラトコに戻り、920Fourは止まった。

制作会社の資金も深刻になった。

理由は単純だった。制作会社の利益の多くを920Fourに投資していたため、仕事が減る時期に備える余裕資金がほとんどなかった。好調なときは危険に見えない。でも案件が落ち着くと、一気に苦しくなる。

920Fourは凍結。制作会社も危機的な状態に陥った。

ズラトコはチームを解雇しない選択をした。混乱の中でも支えてくれた仲間を手放したくなかった。その代わり、生命保険から資金を引き出して支払いに回し、新しい顧客を取って立て直すしかないと腹をくくった。

インタビュー時点では、資金繰りの混乱の真っ最中だった。給料の支払いを遅らせざるを得ない状況もあった。

お金の問題は語られにくい。それでもズラトコが隠さず話したのは、自己資金で起業する人が同じ失敗を繰り返さないためだった。成長を急ぎすぎた結果、立て直しが必要になった。

それでもズラトコは、これまでも困難から立ち直ってきた。今回も立て直すつもりで動いている。そばには犬がいる。しかも、もう1匹増えた。

この話から見える注意点

  • 単発案件だけに頼ると、収入がブレやすい
  • 継続契約は資金繰りを安定させるが、忙しさも増えやすい
  • 新規事業へ投資しすぎると、本業が落ちたときの逃げ道がなくなる
  • 急成長は気持ちいいが、体制と余裕資金がないと後で重くのしかかる