解雇をきっかけに、ロブ・ハラムは「自分で稼ぐ」道を選んだ。
けれど現実は厳しい。プロダクトを作っても作っても売れず、5回連続で失敗。収益は合計0のまま。焦りと不安だけが積み上がっていった。
それでもXへの投稿だけは続けた。すると、ある投稿が広まり、そこから仕事が生まれる。やがて気づく。「投稿は運ではなく、再現できるかもしれない」。その発見が、公開初日に月約15万円($1,000)MRR、半年で月約350万円($23,000)MRRへつながっていく。
5回の失敗から始まった
ロブ・ハラムは、学校で学び、大学でコンピュータサイエンスを専攻し、ソフトウェアエンジニアとして働くという「よくある進路」を歩んでいた。その後、最初の職場で解雇され、会社員として働く道から離れることを決めた。
そこから約2年半、オンラインでプロダクトを作り続けた。5つ作って5回とも失敗し、収益は合計で0だった。それでも、作業中のことや失敗、少しの前進をXに投稿し続けた。
ある日、失敗の内容をまとめた投稿が大きく広まり、約20万回見られた。コメントで「開発代行の会社をやるとよい」と提案され、翌日に開発エージェンシーの立ち上げを宣言した。同じ投稿から約45万円($3,000)の依頼が決まり、その後もX経由で問い合わせが入り続けた。
このとき「コンテンツが集客そのものになっている」と気づいた。Xで反応が取れる投稿の作り方を、再現できる形にするためのツール作りが始まり、それが後にSuperXになった。
SuperXは2025年7月に公開され、初日に月間継続売上約15万円($1,000)に到達した。半年後には月約350万円($23,000)MRRになり、月39ドルで約650人が支払う状態まで成長した。月の成長率はおよそ20〜25%とされる。
お金の不安と、パターン発見
5回の失敗の後、ロブはお金の不安が強くなっていた。生活に余裕がない状態は、考え方や判断にも大きく影響する。
開発エージェンシーで収入は安定したが、同時に重要な事実が見えてきた。依頼はすべてXから自然に入ってきていた。投稿が伸びるとDMが増える。しかし、それを狙って起こせず、伸びる投稿と伸びない投稿の違いがわからなかった。
そこで、何が当たっているのかを分解し、再現できるようにするためのツールを作り始めた。狙う分野で伸びている投稿を集め、共通点を見つけ、自分の投稿へ落とし込む。こうした作業を進める中で、共同創業者となるティボと組むことになる。
パートナーと組み、作り直した
ロブが社内用ツールを作っていたころ、ティボとつながった。ティボは別の開発者からSuperXというChrome拡張機能を買い取り、運営していた。それは「伸びている投稿を見つける」ためのもので、ロブが解きたかった課題と一致していた。
ティボにはX成長領域の発信者としての土台があった一方、複数のプロダクトを同時に扱っており、同じ方向を向いて作り込む相手が必要だった。そこで2人は組み、拡張機能を本格的なWebアプリへ育てる方針になった。
ただし実際には、ロブはほぼすべてを一から作り直した。拡張機能、分析基盤、投稿の埋め込みと検索、ログイン、Webアプリと拡張機能の同期、決済の移行など、範囲は広かった。
公開までの最初の7か月は厳しかった。旅先で食中毒により入院し、その後は強いストレスが原因の首のけいれんでも入院した。さらにXのAPIが変更され、機能が壊れることが何度も起きた。朝起きると「サービスが落ちている」という連絡が大量に届く日もあった。それでも開発と発信を続けたことが、公開時にすでに見込み客が集まっていた理由の1つになった。
SuperXの技術構成
SuperXは、開発と運用で次のような技術やツールを使っている。
開発
- Next.js
- Node.js
- Tailwind
- SQLite
- X API(最大のコストで、月約30万〜45万円($2,000〜$3,000)程度)
- Claude Code(AIによる開発補助)
AI
- OpenAI
- Anthropic Claude API
事業運営
- Stripe(決済)
- PostHog(分析)
- Framer(ランディングページ)
- Screen Studio(デモ動画作成)
広告に頼らない成長
成長のほとんどはオーガニック、つまり自然流入によるものだった。公開初日に24時間で月約15万円($1,000)MRRを積み上げ、その後は「バズる投稿を何度も作る」ことで伸びた。投稿が伸びるたびに登録が増え、コンテンツが成長エンジンになった。
投稿は思いつきではなく、意図を持って組み立てる。ロブは次の流れを繰り返した。
- 最初に、面白さや弱さの共有で注目を集める
- 次に、学びやデモなど役立つ内容を出す
- 次に、登録数や売上の結果を示し、取り組みの成果を伝える
- これを繰り返す
7日間の無料トライアルに登録した人のうち、約30%が有料に移行したという。
ポイントは、投稿作りを仕組み化することだった。SuperXで分野内のバズ投稿を探し、なぜ伸びたかを分解し、同じ型を使って自分の投稿を作る。勘で投稿内容を決めるのではなく、すでに反応が出ている題材をベースに組み立てる形へ変えた。
動画の効果も大きかった。テキスト投稿から動画へ切り替えると、到達数が約10倍になったという。Xが動画を強く推している流れに合わせ、デモ動画、生活の様子のVlog、画面録画に顔出しを組み合わせた形式が特に強かった。
さらに、関係づくりも重視した。適当なお世辞の返信を量産するのではなく、同じ分野の人たちに実際に関心を持って交流した。初期ユーザーの一部は、こうした日々のやり取りから生まれた。
広告費は合計で約75万円程度($5,000程度)で、ユーザーの約95%はオーガニック流入だった。
最初から「届ける仕組み」を作る
もし最初からやり直すなら、最初の日から配信・集客を最優先にするという。最初の5つのプロダクトが失敗した理由は、存在を知ってもらえなかったことだった。
SuperXでは、プロダクト作りと同時に、発信で見てもらう土台も作った。目標も具体的だった。「月1万ドルMRRに到達するまで、毎日動画を投稿する」。単純だが、続ける人は少ない。気分で投稿し、伸びないと落ち込み、1週間消える。するとアルゴリズムにも人にも忘れられる。
継続は積み上がる。毎日出し続けたことで、フォロワーは900人から4万人へ増えた。何も起きない投稿もあるが、大きく伸びる投稿は、出し続けた人だけが引ける。
きつい時期も続けるための工夫
旅をしながら事業を回す生活は華やかに見えやすい。しかし、入院が重なり、サービスが壊れ続ける状況は厳しい。やめようと思った瞬間もあったという。
それでも続けられた理由として、苦しい状況も含めて発信していた点が挙げられる。大勢に向けて状況を公開すると、やると言ったことをやり切る圧力が生まれる。結果として、継続の支えになった。
自由のために作る
感情で動くのではなく、意図を持って選ぶ。何を最適化したいのかを決めることが大切だという。個人開発者が求めるものは「自由」であることが多く、その自由は収入によって支えられる。だから最初から収益を意識して設計する。
そのために、早い段階で需要を確かめる。作る前に「お金を払うか」を聞く。気まずさはあるが、うまくいかなければ返金できる。一方で、誰も欲しがらないものを何か月も作った時間は戻らない。
次の目標
次の目標は月10万ドルMRRで、できるだけ早く達成したいとしている。その先も、SuperXだけに限らず、動画制作やVlog、別の創作にも広げたい考えがある。
人生を「作る」「学ぶ」「愛する」の3つに分けて考える友人の話も紹介される。将来は3つすべてを大切にしたいが、そのためにもまず収益目標を達成し、活動の選択肢を増やす方針になっている。
