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月約7万円の倉庫で始めた服の交換会が、店が空でも1回で約150万円を売り上げる居場所になるまで

7 min read2026年6月29日
月約7万円の倉庫で始めた服の交換会が、店が空でも1回で約150万円を売り上げる居場所になるまで

ビジネス概要

事業タイプ

Other

フェーズ

成長期

どんな事業?

体が大きい女性向けに、中古の服を預かって販売する委託型の実店舗・ライブ配信販売を運営。テレビ業界の有名人やSNS発信者から着なくなった服を預かり、試着できる店舗とライブ配信で循環させる仕組みを持つ。

💰 いくら儲かった?

感染症拡大時にライブ配信販売を開始し、1回の配信で約150万円($10,000)の売上を記録した。その後も同規模の売上が繰り返し出ている。

💡 成功の気づき × 打ち手
1
気づき

服の交換会を開いたところ、体が大きい人向けの服が大量に余り、倉庫がいっぱいになるほど残った。捨てるには惜しく、体が大きい人向けの服はそもそも手に入りにくいため、循環させれば需要があると気づいた。

打ち手

月約7万円($500)の倉庫スペースを借りて中古服の委託販売を実験的に開始。誰も来なければ家賃分の損で済むと割り切ったが、口コミとコミュニティのつながりで利益が出始め、同じ建物内でスペースを拡大した。

2
気づき

感染症拡大で店舗に客が来られなくなり、商品が倉庫にたまっていった。一方で店を応援したい人は多く、買い物の形を変えれば需要は取れると判断した。

打ち手

ライブ配信で服を紹介しその場で販売する方法に切り替えたところ、1回で約150万円($10,000)の売上を達成。さらにネットショップも整備し、ロサンゼルス以外からも購入できる体制を構築した。

3
気づき

マーシーのテレビ業界の人脈から、有名人やSNS発信者が撮影後に着なくなった服を大量に抱えているが自分で売る時間がないことがわかった。

打ち手

有名人やSNS発信者から着なくなった服を預かって委託販売する仕組みを作り、高級ブランドの在庫品やサンプル品も手ごろな価格で販売。手放す側・買う側・店の三者が成り立つ循環モデルを確立した。

月500ドルの倉庫から始めた小さな実験が、やがてロサンゼルスのコミュニティを支える店になった。

サイズがない、選べない、試せない。そんな「服選びの常識」に傷ついてきた人は少なくない。ジェンとマーシーは、その不自由さを"服の循環"という方法でほどいていく。

そして世界が止まったとき、店が空でも売上約150万円($10,000)をつくる手段を見つけた。何が彼女たちをそこまで強くしたのか。

2人の友人が、服選びの「当たり前」を疑った

服の世界には昔から、女性に厳しい理想を押しつける風潮がある。細い体が正しい、というような風潮だ。

体が大きい女性は、そもそもサイズが店にない。あっても選べる種類が少ない。店で嫌な顔をされることもある。そうやって「おしゃれは自分には無理だ」と思わされる人が出てくる。

その空気を変えたくて動いたのが、ジェン・ワイルダーとマーシー・ゲバラ=プレテ。2人が作った店がThe Plus Busだ。ネットでも実店舗でも、サイズに関係なく服を楽しめる場所を目指した。

似合う服が見つからないだけで、自信は削られる

アメリカでは平均的な女性のサイズは大きめだと言われる。それなのに、雑誌や広告に出てくる服は細身の人向けが多い。

「これ着たい」と思って店に行っても、サイズがない。店員の反応が冷たい。そんな体験が重なると、「自分はダメなんだ」と思い込みやすい。服がないだけの話が、いつの間にか「自分はダメな人間だ」という話にすり替わってしまう。

ジェンとマーシーも、その痛みを長い間知っていた。

テレビの現場で、服が人の表情を変えるのを見た

マーシーはロサンゼルスで育ち、テレビの仕事に憧れていた。やがて番組でスタイリングの仕事をするようになり、体型が大きい女性のファッションにも深く関わっていった。

マーシーが大切にしていたのは、試着室の中だけでなく、日常生活でも自信を持てることだ。体型を理由に、ハロウィーンの集まりや正装が必要な場をあきらめてほしくなかった。どんなサイズでも、見た目も気持ちも明るくできる。そう信じていた。

一方ジェンは、ロサンゼルスで体が大きい人向けの服を作るデザイナーだった。2人は考え方が近く、話が合った。ただ、マーシーはこの時点では、店を持つつもりはまったくなかった。

SNSでつながり、クローゼットの悩みが同じだと気づいた

2人が出会ったのはSNSだった。忙しく働くマーシーと、服も買い物も大好きなジェンはすぐに意気投合した。

あるとき2人は、自分たちのクローゼットに「着ない服」が大量にあることに気づく。捨てるのはもったいない。でも、体が大きい人向けの服はただでさえ手に入りにくい。

それなら、みんなで服を持ち寄って交換しよう。そうして始めたのが服の交換会だった。体が大きい人たちが安心して集まり、服の話ができる場にしたかった。

交換会は片づけではなく、「居場所」になっていった

交換会は最初、片づけの延長のつもりだった。ところがふたを開けると、同じ悩みや体験を持つ人が集まり、話し、笑い合う時間になっていた。

マーシーは以前、オーディションの場で「体が大きい女性4人の仲良しグループを連れてきて」と言われたことがある。でも当時、周りには同じ体型の友人がほとんどいなかった。

交換会で初めて、「同じ立場の人がこんなにいる」と実感した。

ただ、問題も起きた。服が余りすぎた。倉庫がいっぱいになるほど残り、運ぶために家族にトラックを出してもらうほどだった。

余った服を見て、店の名前が決まった

余った服をどうするか考えていたとき、ジェンが言った。「いつか車で旅をしながら服を売って回りたい」

そこから話がつながる。「それって、Plus Busみたいだな」

こうして店の名前が決まった。

もちろん、本当に大きな車で全国を回るのは現実的ではない。維持費も駐車場所も難しい。だから2人は、短い期間の小さな販売イベントを繰り返す形に切り替えた。

新品を増やすより、まだ着られる服を再利用したかった

The Plus Busが大切にしたのは、中古の服を預かって売るやり方だった。まだ着られる服を捨てずに生かせる。

マーシーは、服を大量に作って大量に捨てる流れが環境に負担をかけていると感じていた。安い服がすぐ買える裏側で、捨てられる服も増えている。中古の服を循環させる仕組みは、その無駄を減らすことにつながる。

家賃約7万円($500)の小さな倉庫で、店を試してみた

イベントは少しずつ大きくなった。ジェンは自分のデザインした服も並べ始め、それが人気を集めた。

当時2人には別の仕事があり、店を持つのは大きな挑戦だった。それでも交換会から1年もたたないうちに、カリフォルニア州グラッセルパークで小さな倉庫スペースを借りた。家賃は月約7万円($500)ほど。あくまで実験のつもりだった。

「誰も来なかったら、家賃分だけの損で済む」

そう考えて始めたが、結果は逆だった。店は利益を出し始めた。

やがて同じ建物の別の借り手が出ていき、スペースを広げることができた。口コミとコミュニティのつながりで売れていたが、もっと多くの人に知ってもらうには、人通りの多い場所が必要になった。

やっと見つけた理想の場所で、世界が止まった

2人はロサンゼルスのハイランドパーク周辺を車で走り、店に合う場所を探した。条件ははっきりしていた。人通りが多いこと。店の考えを広げられること。古着店やカフェが並ぶ大通りにあること。

そして理想の場所が見つかった。

ただ、ちょうどその頃、世界的な感染症が広がり始めていた。人が外出しづらくなり、店に来てもらう計画は崩れた。またしても、やり方を変えなければならなかった。

店が空でも、ライブ配信なら服を届けられた

店を応援したい人は多かった。でも買い物の形は変わった。マーシーとジェンは、商品が倉庫にたまっていく不安を抱えながら、ライブ配信で服を紹介してその場で販売する方法を試した。

結果は大成功だった。短い時間で在庫が一気に減り、売上は1回で約150万円($10,000)に達した。その後もライブ配信を続け、同じくらいの売上が出ることが多かった。

さらにネットショップも整え、ロサンゼルス以外からも買えるようにした。販売の中心は、ライブ配信や短い動画投稿へと移っていった。

テレビのつながりが、店に新しい服を運んできた

マーシーにはテレビの仕事で築いた人脈があった。そのつながりが店にも生きた。体が大きい有名人が着なくなった服を店に預けて販売してもらうこともある。スタッフが袋に入れて持ち込むこともあった。

SNSで発信する人たちも、服をたくさん受け取る。写真を撮った後はクローゼットに眠りがちだが、自分で売る時間はない。そこで店が預かって販売する。

手放す側も買う側も助かり、店も成り立つ。無理のない循環が生まれていった。

試着できるだけで、救われる人がいる

体が大きい女性向けの服は、ネットだけで売られていることが多い。試せないからサイズ違いを何着も注文して、合わない分を返品する。時間も手間もかかる。

The Plus Busのように、店で試着しながら相談して選べる場所は貴重だ。ネットで気になっていたブランドを実物で試せる。そこで新しい出会いも生まれる。

ゆっくり積み上げたから、強い店になった

最初の数年間は、利益がほとんど出ない時期もあった。それでも続けるうちに流れをつかみ、2015年ごろから売上が大きく伸びていった。

売れれば売れるほど、次に売る服が必要になる。商品はコミュニティから集まるものが多く、ブランドとの協力も増えていった。地元の作り手のアクセサリーやTシャツを扱い始めるなど、店の幅も広がった。

高級ブランドの在庫品や撮影で使ったサンプル品、返品された品などを手ごろな価格で販売する取り組みも始まった。値段を理由に諦めていた人にも、選択肢が広がった。

どんな体型でも自信を持てる雰囲気を、もっと広げたい

ジェンとマーシーにはまだ大きな目標がある。体型に関係なく、おしゃれを楽しめる文化をもっと広げたい。

The Plus Busは、服を売る店で終わらない。「どんな体でも堂々としていい」。その空気を作るために、今日も服を集め、並べ、届けている。


3層インサイト

ジェン・ワイルダーとマーシー・ゲバラ=プレテは、サイズに関係なく服を楽しめる場所を目指してThe Plus Busを作った。
2人はSNSで出会い、意気投合した。
2人は自分たちのクローゼットに着ない服が大量にあることに気づき、服の交換会を始めた。
交換会には同じ悩みや体験を持つ人が集まり、安心して服の話ができる場になった。
交換会の結果、服が余りすぎて倉庫がいっぱいになり、運搬のために家族にトラックを出してもらうほどだった。

当事者の未解決課題は、コミュニティ型の場づくりを起点に事業化できる。

根拠

-2人は自分たちのクローゼットに着ない服が大量にあることに気づき、服の交換会を始めた。

-交換会には同じ悩みや体験を持つ人が集まり、安心して服の話ができる場になった。

-ジェン・ワイルダーとマーシー・ゲバラ=プレテは、サイズに関係なく服を楽しめる場所を目指してThe Plus Busを作った。

初期は損失上限を小さく設計した実験で、需要と採算性を検証できる。

根拠

-交換会開始から1年もたたないうちに、カリフォルニア州グラッセルパークで月約7万円($500)の倉庫スペースを借り、実験として店を試した。

-倉庫スペースで始めた店は利益を出し始め、同じ建物で空いたスペースに拡張した。

うまくいかない制約が見えたら、理想にこだわらず実際に動かせる形に素早く切り替える。

根拠

-全国を車で回って服を売る案は維持費や駐車場所の問題で現実的ではなく、短期間の小さな販売イベントを繰り返す形に切り替えた。

-人通りの多い理想の場所を見つけた頃に感染症拡大が起き、来店前提の計画を変更する必要が生じた。

-ライブ配信で服を紹介してその場で販売する方法を試し、1回で売上約150万円($10,000)に達し、その後も同程度の売上が出ることが多かった。

すでに持っている人脈や発信者とのつながりは、商品の仕入れと販売の両方で事業を回す力になりうる。

根拠

-マーシーにはテレビの仕事で築いた人脈があった。

-体が大きい有名人が着なくなった服を店に預けて販売してもらうこともある。

-SNSで発信する人たちが写真撮影後に使わなくなった服を、店が預かって販売することがある。

特定の顧客層が共通して抱える不満があるが、事業アイデアとして確信が持てない。

1当事者が集まりやすい小規模イベント(交換会・相談会など)を開催し、参加者の悩みと行動を観察して記録する。
2イベント後に「継続参加したい理由」と「次に欲しい提供価値」を参加者から回収し、その場が一度きりの需要なのか、継続的に集まりたい人がいる場なのかを見極める。
3イベント運営で発生する余剰(在庫・問い合わせ・紹介)を、次の提供形態(販売・委託・会員制など)の仮説として整理する。

固定費リスクを抑えながら、実店舗や拠点の需要を検証したい。

1家賃や人件費など固定費の上限を先に決め、撤退条件(損失許容額・期間)を明文化したうえで、小さな拠点でテストする。
2まずは短期間・小面積で運用し、利益が出た場合のみ同一条件内で段階的に拡張する。
3売上以外の情報(なぜ来たか、また来たいか、誰かに紹介したか)を定期的に集め、次の場所や規模を決める判断材料にする。

来店や対面が制限され、在庫や売上の目詰まりが起きている。

1商品をリアルタイムで紹介し、その場で購入につながる販売枠(ライブ形式の販売会など)を設計して実施する。
21回ごとの販売枠で「売れた点数」「在庫減少量」「売上」を記録し、再現できる運用手順に落とし込む。
3対面が戻っても継続できるよう、遠方顧客向けの購入導線(オンラインでの注文・配送)を整備する。

供給(商品・素材・案件)が安定せず、継続的な品揃えが作れない。

1既存の人脈・関係者を棚卸しし、提供できるもの(不要品、サンプル、在庫など)と提供障壁(手間、時間)を特定する。
2提供側の負担が小さい受け入れ方法(預かり販売、まとめて引き取りなど)を用意し、循環が回る条件を作る。
3提供者・購入者・運営者それぞれのメリットが成立しているかを定期的に確認し、条件(価格、受け入れ基準、頻度)を調整する。