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元採用業界の無名社員が 「会社と慈善団体を同時に立ち上げ」 1年目で大企業の高額契約。 共感で勝つ禁断の全手口

7 min read2026年3月2日
元採用業界の無名社員が 「会社と慈善団体を同時に立ち上げ」 1年目で大企業の高額契約。 共感で勝つ禁断の全手口

ビジネス概要

事業タイプ

Agency

フェーズ

拡大期

規模感

1年目の終わりには大きな売上を達成

概要

企業の若手採用・育成の仕組みを点検して作り直し、背景の異なる若者が活躍できる採用に変える支援を提供する。

ターゲット

従業員100人以上の大手企業の人事部長

主な打ち手

案件数を追わず一社ごとに深く入り込む支援に振り切り、既存顧客の継続と紹介を中心に契約を積み上げた。

ストーリーの流れ

Problem

採用業界で利益優先の判断が信頼を削り大事なお客を失う現場を見て違和感を抱いた。

  • 人を助けるより利益が先に来る空気を6年見続けた。
  • 売上や手数料が優先される判断が続くと信頼が消えると感じた。
Action

同じやり方を続けないために会社を辞めて会社と慈善団体を同時に立ち上げた。

  • 顔の見えない大企業が相手でも共感を武器にする方針を選んだ。
  • 売上と若者支援の両方を前に進める狙いを置いた。
Action

慈善団体The Early Careers Foundationで低所得家庭の若者に企業の世界を知る機会を提供した。

  • メンター制度を中心に社会人が伴走して働くことやキャリアの考え方を教えた。
  • 大学の学費を助けるための助成金も用意した。
  • 協力企業にセールスフォースやブリティッシュ・エアウェイズのような大手が入った。
Action

The Early Careers Companyで企業の若手採用と育成の仕組みを点検し作り変える支援を始めた。

  • 多様な背景の若者が活躍できる採用に変えることを重視した。
  • 若手採用の仕組みチェックや改善提案を行った。
  • 採用育成プログラム設計や選考評価ルール作りや採用キャンペーン運営まで踏み込んだ。
Insight

案件数で稼ぐのではなく一件を深くやり切る品質重視が大企業の高額契約につながると掴んだ。

  • 丁寧で手厚い支援を受けた企業が満足しより大きな契約で戻ってくる流れが生まれた。
  • 売ること中心の会社が多い業界で丁寧さの価値が刺さった。
  • 単なる人材紹介ではなく採用の仕組み全体を良くするところまで一緒に動いた。
Growth

成長の中心は新規営業ではなく既存顧客の継続によって回る状態だった。

  • 既存のお客がまた頼みたいと継続してくれたことが成長の核になった。
  • 評判が広がり大企業との契約にもつながっていった。
Insight

短い結果より長く価値を生む仕組みづくりに集中するため独立を決めた。

  • 創業者の近くで働き会社を立ち上げて育てる感覚を身につけた。
  • 世の中が大きく揺れた時期をきっかけに独立へ踏み切った。
Action

同分野で始められるまでの待機期間を準備に全投入し開始日に全て揃った状態を作った。

6か月事業開始までの待機期間
  • 価格の決め方やサービスの形や発信の材料や合言葉や価値観を整えた。
  • 社内の成長の仕組みや給料の考え方や事業計画まで詰めた。
Monetize

開始初日に以前の取引先が来て契約が決まり短期間で売上が積み上がった。

  • 貯金が多くない中でも開始日に商談機会を得た。
  • 1週間以内に入金があった。
Team

新規顧客が増え始めたタイミングでゾーイを採用し役割分担で創業者の集中領域を作った。

  • ゾーイが実務を担いダニエルは発信と関係づくりと新サービスづくりに集中した。
  • 必要な道具はクレジットカードでそろえ少人数で走り出した。
Growth

目的と価値観を前面に出す発信が紹介や相談を呼び開始直後から仕事の声が届いた。

  • 過去のつながりが紹介や相談につながった。
  • 発信を見た人から連絡が増え一緒に仕事がしたいという声が届いた。
  • 若者の人生を良い方向へ変えるという目的が信頼になった。
Monetize

企業満足と若者支援を両立しながら売上も伸び事業資金で財団活動を広げた。

1年目の終わり初年度の売上達成タイミング
  • 1年目の終わりに大きな売上を達成した。
  • 得た資金を財団の活動拡大に回した。
Scale

2022年初めの需要急増で採用と拠点拡大を急ぎ高額契約を断らず受け続けた。

2022年の初め需要急増の発生時期
  • 営業と広報と採用支援の担当者を増やした。
  • 拠点をロンドンとムンバイに広げた。
Problem

急成長の代償として品質維持の長時間労働が続き体力が削られた。

  • 夜遅くまで働く日が増えた。
  • 出社中心で週5日オフィスの働き方になった。
Problem

既存継続に依存して新規開拓の仕組みが弱く売上が落ちる月が出た。

  • 契約が落ち着いた時期に新しいお客を増やす仕組みの弱さが見えた。
  • 年間の数字も当初の予想ほど伸びなかった。
Action

改善の手順を整えて立て直しに向かった。

  • 成長期は目の前の仕事だけでなく新しい仕事を取り続ける力と仕組みも同時に作る必要を学びとして残した。
Insight

事業が安定に向かう中で長期的に会社の売却も視野に入れた。

  • 長時間労働をずっと続けるのは難しいと捉えた。
  • 慈善活動にもっと時間を使いたい思いがある。
Monetize

売却するなら利益だけでなく目的や考え方を大切にする相手に限定する方針を置いた。

  • 数字だけを追わず人と人のつながりや共感を重視する姿勢を守る意向である。
  • 得た利益を社会に返す考え方を前提にした。

「人を助けるより、利益が先に来る」。そんな採用の現場を6年見続けた末に、ダニエルは強い違和感を抱えたまま働いていた。

信頼が削れていく。大事なお客を失う場面もある。このまま同じやり方を続けたくない——そう思っても、次の一歩は怖い。けれど彼は、そこで立ち止まらなかった。

会社を辞め、理想を形にするために「会社」と「慈善団体」を同時に立ち上げる。顔の見えない大企業が相手でも、武器は“共感”だった。その選択は、やがて売上と若者支援の両方を前に進めていく。

顔の見えない大企業に勝つ武器は、「共感」を中心にした会社づくりだった

ダニエル・ボールは、子どものころから母親にこう言われて育った。

「世の中の良いものは受け取りなさい。でも、受け取るだけじゃなくて、もっと良くすることもできる」

18歳で社会に出たとき、ダニエルは信じていた。会社もきっと、人を大事にして動いているはずだ、と。

ところが現実は違った。人材採用の業界で6年働くうちに、助けることより利益を優先する会社を何度も見た。お客にとって大事なことより、売上や手数料が先に来る。そんな判断が続くと、信頼は消える。実際に、高い報酬をくれる大事なお客を失う場面もあった。

「このまま同じやり方を続けたくない」

そう思ったダニエルは会社を辞めた。そして、自分の理想を形にするために、会社と慈善団体の両方を立ち上げることにした。

若者の未来を支える、2つの仕組み

ダニエルの挑戦は、最初から2本立てだった。

1つ目:財団で、チャンスを渡す

慈善団体「The Early Careers Foundation」では、収入が少ない家庭の若者が、企業の世界を知れるように支援する。中心になるのはメンター制度だ。社会人が伴走し、働くことやキャリアの考え方を教える。

協力企業にはセールスフォースやブリティッシュ・エアウェイズのような大手も入った。さらに、大学の学費を助けるための助成金も用意した。

2つ目:会社で、企業の採用を作り変える

もう一つが「The Early Careers Company」。こちらは企業向けの仕事だ。若手を採用し、育て、長く働いてもらうための仕組みを点検し、直していく。

特に大事にしたのは、収入が少ない家庭の出身者など、いろいろな背景の若者が活躍できる採用に変えることだった。

実際にやる仕事は、たとえばこういうものになる。

  • 若手採用の仕組みをチェックし、改善点を出す
  • 新しい採用・育成プログラムを設計する
  • 選考方法や評価のルールを作る
  • 採用キャンペーンを運営する

数で勝負しない。質で勝負する

ダニエルの戦い方は、最初から決まっていた。

「案件をたくさん回して稼ぐ」ではなく、「一つ一つを深くやる」

丁寧で手厚い支援を受けた企業は満足する。そして、より大きな契約で戻ってくる。評判が広がり、気づけば大企業との高額契約にもつながっていった。

企業が驚いた理由はシンプルだ。採用業界には「売ること中心」の会社が多い。サービスの質より契約と手数料が優先され、経験の浅い担当が回されることもある。そんな体験に慣れている企業ほど、丁寧な支援の価値が刺さった。

ダニエルの会社は、相談しやすい連絡体制を作り、社内に入り込むように一緒に動いた。単なる人材紹介ではなく、採用の仕組み全体を良くするところまで踏み込んだ。

成長の中心は、新規営業ではない。既存のお客が「また頼みたい」と継続してくれたことだった。

専門家の道を捨て、創業者の道へ

ダニエルは一時期、イギリスの有名大学で脳科学を学ぶ話もあった。母親が心理学者だったこともあり、その道に進む未来も見えていた。

でも、直前で進学をやめた。いったん立ち止まり、自分の進路を考える時間を取った。

2014年、その空白の時間のスタートとして、若手採用や企業のイメージづくりを支援する会社でインターンを始めた。そこから役職が上がり、会社が少人数から100人規模に成長していく過程を中で経験する。

働き方、会社のお金の見方、チームの動かし方。現場で全部学んだ。創業者の近くで働いたことで、「会社を立ち上げて育てる」感覚も身についた。

そして世の中が大きく揺れた時期をきっかけに、独立を決めた。短い結果を追うより、長く価値を生む仕組みづくりに集中できる会社を作りたかった。

「待つ時間」を、準備の時間に変える

前の職場との契約の関係で、同じ分野で新しい事業を始められるまで6か月待つ必要があった。

普通なら焦る。だがダニエルは、その6か月を準備に全部使った。

価格の決め方、サービスの形、発信の材料、合言葉、会社の価値観。社内の成長の仕組み、給料の考え方、事業計画まで。開始日に「全部そろっている状態」を目指して整えた。

貯金は多くなかった。失敗すれば痛い。それでも、開始したその日に、以前の取引先が話を聞きに来た。そして契約が決まった。1週間以内に入金があり、短い期間で売上が積み上がっていった。

価値観を先に置くと、売上は後からついてくる

新しいお客が増え始めたタイミングで、ダニエルは以前一緒に働いたゾーイを採用した。必要な道具はクレジットカードでそろえ、少人数で走り出した。

ゾーイが実務を担うことで、ダニエルは発信、関係づくり、新サービスづくりに集中できた。

さらに、過去のつながりが紹介や相談につながった。発信を見た人から連絡が増え、「一緒に仕事がしたい」という声が開始直後から届いた。

採用業界は売上中心になりやすい。目的や価値観を前面に出す会社は少ない。だからこそ、ダニエルの会社が掲げた「若者の人生を良い方向へ変える」という目的は目立った。その姿勢が信頼になった。

結果として、企業の満足と若者支援の両方を進めながら、売上も伸びた。1年目の終わりには大きな売上を達成し、事業で得た資金で財団の活動も広げていった。

急成長の裏で、会社が苦しくなる

2022年の初め、需要が一気に増えた。ダニエルは採用を急ぎ、営業、広報、採用支援の担当者を増やした。拠点もロンドンとムンバイに広げた。高額な契約の話が来ると、断らずに受け続けた。

ただ、急成長には代償があった。品質を守るために長時間労働が続き、夜遅くまで働く日も増えた。働き方も出社中心で、週5日オフィス。体力が削られていった。

さらに、契約が落ち着いた時期に別の弱点が見えた。サービスを提供する体制は整っている。でも、新しいお客を増やす仕組みが弱い。

これまでは既存のお客が継続してくれることで回っていた。だから、新規開拓の流れを作れていなかった。その結果、売上が落ちる月が出て、年間の数字も当初の予想ほど伸びなかった。

その後、改善の手順を整え、立て直しに向かった。

ここで残った学びははっきりしている。成長期は、目の前の仕事をこなすだけでは足りない。新しい仕事を取り続ける力と仕組みも、同時に作らないといけない。

いつか会社を売る未来も考える

事業が安定に向かう中で、ダニエルは長期的に会社の売却も視野に入れている。長時間労働をずっと続けるのは難しい。慈善活動にもっと時間を使いたい思いもある。

ただし条件がある。売却する相手は、利益だけではなく、会社の目的や考え方を大切にする組織でなければならない。

世の中の仕組みを使いながら、それを少しでも良くする。数字だけを追わず、人と人のつながりや共感を重視する。そして得た利益を社会に返す。

その姿勢こそが、顔の見えにくい大企業と戦うときの強い武器になった。