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勉強しても頭が真っ白になった経験から高給を捨て、壊れまくる授業現場でOpenClassを育てた男が2年で課題25万件を達成

7 min read2026年6月26日
勉強しても頭が真っ白になった経験から高給を捨て、壊れまくる授業現場でOpenClassを育てた男が2年で課題25万件を達成

ビジネス概要

事業タイプ

SaaS

フェーズ

成長期

どんな事業?

大学やプログラミング講座などの教育機関の先生向けに、過去の授業内容や苦手分野を課題や小テストに自動的に組み込み、先生が特別な工夫をしなくても復習が授業の流れに組み込まれる学習管理ツールを提供している。料金は授業に登録した生徒の人数に応じて課金される。

💰 いくら儲かった?

試験運用開始から約2年でOpenClass上の登録課題数が10万件に達し、2022年12月には25万件まで増加。売上も伸びているが具体的な金額は非公開。

💡 成功の気づき × 打ち手
1
気づき

大学は「まず無料で試してから契約」が多く、組織としての意思決定に時間がかかるため、すぐには売上につながらなかった。

打ち手

プログラミング講座やデータ学び直し講座など、責任者が自分で予算を決められる小規模な教育機関にメールで営業し、オンラインで短い説明をして契約につなげた。この売上を足がかりに、並行して大学側の契約も進めた。

2
気づき

2020年春の試験運用では課題が送れない・点数が反映されない・途中で止まるなどトラブルが絶えず、その後の数年よりずっと壊れる回数が多かったが、先生が困る瞬間を目の前で見ることで、直すべき箇所を現場の事実として把握できた。

打ち手

先生の研究室に何度も通い、問題が起きたらその場で修正するサイクルを繰り返して製品の安定性を高めた。

3
気づき

学期途中で授業がオンラインに切り替わった際、多くの先生が対応に苦労する中、OpenClassを使っていた先生は前半と同じように復習課題を作り続けられた。教室でもオンラインでも機能することが実証された。

打ち手

「あると便利」から「ないと困る」存在になったことを営業の訴求ポイントにし、2020年秋には合計10の授業(アリゾナ大学以外の大学含む)での利用に拡大した。

何時間も勉強したのに、試験が終わるころには頭が真っ白になる。そんな経験に心当たりはないだろうか。

アレックも同じ壁にぶつかり続けた。だからこそ彼は、「忘れるのが当たり前なら、忘れない仕組みを作れないか」と発想を切り替える。

高い給料の仕事を辞め、生活費の安い場所で短期集中の開発に専念した結果、待っていたのは壊れまくる現場と、そこで磨かれていく手応えだった。

勉強したのに、試験が終わるころには消えていた

大学で何時間も勉強したはずなのに、学期末になると頭の中が空っぽになる。アレックはそれを何度もくり返した。

先生のせいにするのは簡単だ。でもアレックは違う方向を見た。「忘れるのが当たり前なら、忘れない仕組みを作れないか」

脳のはたらきや学習に関する研究を調べ、心理学とコンピューターの知識も組み合わせて考えた。そして、先生が「復習」を授業に自然に組み込めるツールを作り始めた。名前はOpenClass。

OpenClassの仕組みはシンプルだ。新しい内容だけを進めるのではなく、前にやった単元を課題や小テストの中に混ぜて出す。暗記で終わらせず、思い出して使える状態に戻す。

さらに、前のテストで苦手だった分野に合わせて復習問題を出しやすくする。先生が特別な工夫をしなくても、復習が授業の流れに自然と入り込む仕組みにしたかった。

卒業前から名前を押さえたのに、すぐ起業しなかった

アレックは2017年の卒業前から、OpenClassを作る気持ちが強かった。名前の準備まで先に進めていた。

それでも、いきなり事業にはしなかった。まずアメリカ西海岸のIT企業が集まる地域で働き、貯金を積んだ。生活を支える土台がないと挑戦は長く続かない、と分かっていたからだ。

18か月ほど働くうちに、気持ちははっきりしていった。技術を、教育のために使いたい。その思いが消えなかった。

高い給料と引き換えに、毎日がすり減っていった

給料は高く、人間関係も悪くない。

でも通勤は長く、毎日くたくたになった。作ること自体は好きでも、「これが自分のやりたいことか」と問われると答えられなかった。

週末、アレックはカフェにノートを持ち込み、教育で役立つサービスのアイデアを書き続けた。心理学とコンピューターを学んできた自分なら、学び方を変えるツールが作れる。そう信じていた。

そして、副業で少しずつ作る道は選ばなかった。仕事を辞め、バリ島へ移った。

バリ島で、短期決戦の開発に専念した

バリ島は生活費が安く、ネットも速い。部屋でも海辺でも作業できる。

アレックは貯金を切り詰め、短期間で形にすると決めた。時差が大きいのも都合がよかった。アメリカの友人や家族からの連絡が入りにくく、集中できたためだ。

3か月で試作品を作り、大学時代の先生に試してもらうためアリゾナへ戻った。

コロナの春、壊れまくる現場で鍛えられた

大学時代に受けた、言語研究とコンピューターを組み合わせた授業。そのつながりをたどってアレックは担当の先生に連絡した。

先生が紹介したのがガス・ハーン=パウエル。元助手で、当時は教える立場になっていた。ガスは2020年春の学期でOpenClassを試すことに同意した。

学期のはじめ、アレックは何度もガスの研究室に通った。問題が起きたらその場で直すためだ。

課題が最後まで送れない、点数が反映されない、途中で止まる。トラブルは絶えなかった。後から振り返っても、この時期はその後の数年よりずっと壊れる回数が多かったという。

それでも、この時期は重要だった。先生が困る瞬間を目の前で見られたからだ。どこを直すべきか、机上の想像ではなく現場の事実として理解できた。

授業がオンラインに変わった日、ツールの価値がはっきりした

学期の途中で授業はオンライン中心に切り替わった。

多くの先生が対応に苦労する中、ガスはOpenClassで前半と同じように復習課題を作り続けられた。OpenClassは「あると便利」から「ないと困る」存在に変わった。

この経験で一つのことが見えた。教室でも、教室とオンラインの組み合わせでも、オンラインだけでも役に立つ。

口コミで広がる一方、無視されることも多かった。それでも手を止めなかった

使ってみたい先生は増えていった。授業を受けていた学生の中には、別の授業で教える手伝いをしている人もいて、自分の教室でも使いたいと言い出した。ガスも同僚に良さを伝えた。

アレックも、面識のない先生にメールを送り続けた。

2020年秋には合計10の授業で使われた。アリゾナ大学だけでなく、別の大学でも試された。広がりの速さに驚きながら、アレックはフィードバックを集め、改善を続けた。

ただ、現実は甘くない。大学は「まず無料で試して、それから契約」が多く、すぐ売上につながりにくい。

決断が早い相手を探し、まず売上を作った

大学が組織として契約する場合、決まるまでに時間がかかりがちだ。そこでアレックは、プログラミング講座やデータの学び直し講座など、比較的小さな教育機関にも目を向けた。

こうした場では、責任者が自分で予算を決められることがある。話が早い。

2020年秋、アレックは講座の責任者にメールを送り、オンラインで短い説明をして契約につなげた。料金は、授業に登録した生徒の人数に応じて決まる仕組みにした。

収入が入るようになると、別の教育プログラムにも広げていった。並行して大学側の契約も少しずつ進み、使える先生が増えていった。

伝え方は磨けても、最初の一通は報われないことが多い

説明はだんだん上手くなった。先生が小テストや復習課題を作り、生徒が忘れかけた内容を思い出せる。前のテストで点が低かった分野があれば、その分野の復習を授業に入れて次はできるようにする。言葉にすると強い。

それでも、最初の連絡で返事をもらうのは難しかった。返事が来ないのは普通だと割り切り、同じ学校の中でも複数の人に連絡する、定期的にもう一度送るといったやり方を整えた。

中には「教育の未来に合わない」と否定する人もいた。そういう声に傷つきすぎない強さも必要だった。

それでもアレックは作り続けた。教育を良くしたいという目的を、他人の言葉で止めたくなかった。その情熱がなければ、途中でやめていたかもしれない。

会社を売るためじゃない。教室の中で長く使われるためだ

OpenClassはアメリカの複数の学校だけでなく、ブラジル、インドネシア、南アフリカなどでも使われ始めた。できるだけ多くの先生と生徒を助けるため、世界での普及を目指している。

利用も大きく伸びた。試験運用が始まってから2年ほどで、OpenClass上に登録された課題は10万件に達した。2022年12月には25万件まで増えた。

売上も伸び、さらに増やす目標を立てている。新しい機能を加え、学び直し講座などへの営業も続ける。

ただし、会社を大きくして手放すことが目的ではない。教育に意味を感じていて、できる限り長くOpenClassを続けたい。毎日この課題に取り組めること自体が、いちばんのやりがいになっている。

この記事の要点

  • 復習がない学びは、思った以上に早く抜け落ちる
  • OpenClassは、復習中心の課題や小テストを先生が作りやすくするツール
  • 高い給料の仕事を辞め、生活費の安い場所で短期集中の試作に振り切った
  • 試験運用で壊れまくった経験が、使いやすさを一気に高めた
  • 大学だけに頼らず、決定が早い教育機関でも売上を作った
  • 否定や無視があっても、教育を良くしたいという情熱が続ける力になった

3層インサイト

アレックは大学で何時間も勉強しても学期末には内容を思い出せない経験を何度も繰り返した。
アレックは「忘れるのが当たり前なら、忘れない仕組みを作れないか」と発想を切り替え、学習研究を調べ心理学とコンピューターの知識を組み合わせてOpenClassを作り始めた。
OpenClassは新しい内容だけでなく過去単元を課題や小テストに混ぜ、前のテストで苦手だった分野に合わせて復習問題を出しやすくする設計にした。
アレックは2017年の卒業前からOpenClassの名前準備まで進めていたが、すぐ起業せず西海岸のIT企業で働いて貯金を積んだ。
アレックは副業で少しずつ作る道を選ばず、高い給料の仕事を辞めてバリ島へ移り、貯金を切り詰め短期間で形にすると決めた。

学習や業務の定着課題は、個人の努力不足ではなく「仕組み」で解決できると再定義することで、プロダクト要件に落とし込める。

根拠

-アレックは大学で何時間も勉強しても学期末には内容を思い出せない経験を何度も繰り返した。

-アレックは「忘れるのが当たり前なら、忘れない仕組みを作れないか」と発想を切り替え、学習研究を調べ心理学とコンピューターの知識を組み合わせてOpenClassを作り始めた。

-OpenClassは新しい内容だけでなく過去単元を課題や小テストに混ぜ、前のテストで苦手だった分野に合わせて復習問題を出しやすくする設計にした。

短期間で試作品を作り、実運用の現場で問題が起きる状況に身を置くと、改善点を推測ではなく観察で特定できる。

根拠

-アレックはバリ島で3か月で試作品を作り、大学時代の先生に試してもらうためアリゾナへ戻った。

-2020年春の学期にガス・ハーン=パウエルがOpenClassを試すことに同意し、学期のはじめアレックは問題が起きたらその場で直すため何度も研究室に通った。

-2020年春は課題が送れない・点数が反映されない・途中で止まるなどトラブルが絶えず、後から振り返ってもその後の数年より壊れる回数が多かった。

外部環境の変化で「なくてはならないもの」になる瞬間が訪れると、何が本当の価値でどこまで使えるかが明確になる。

根拠

-学期途中で授業がオンライン中心に切り替わり、ガスはOpenClassで復習課題を作り続けられたため、OpenClassは「あると便利」から「ないと困る」存在になった。

契約までに時間がかかる市場だけに頼ると売上が立つのが遅れるため、すぐ決断できる小規模な顧客を先に狙って売上を作る進め方が有効だ。

根拠

-2020年秋には合計10の授業で使われ、大学だけでなく別の大学でも試されたが、大学は「まず無料で試してそれから契約」が多く売上につながりにくかった。

-アレックは決定が早い小さめの教育機関(プログラミング講座やデータ学び直し講座など)にも目を向け、2020年秋に責任者へメールし短いオンライン説明で契約につなげ、料金は登録生徒数に応じて決まる仕組みにした。

最初の連絡に返事がないことを前提に、同じ組織内の複数の担当者への連絡と定期的な再送を仕組みとして整えると、継続的に話を進める機会を作れる。

根拠

-それでも、最初の連絡で返事をもらうのは難しかった。

-返事が来ないのは普通だと割り切り、同じ学校の中でも複数の人に連絡する、定期的にもう一度送るといったやり方を整えた。

うまくいかない原因が「本人の努力不足」と思われており、何を改善すればいいかはっきりしないままになっている。

1ユーザーが失敗する典型場面を1つに絞り、観測できる行動・状態(例:思い出せない、作業が止まる)として言語化する。
2失敗の再発を防ぐために、作業の流れに自然に組み込める「定期的に思い出す・復習する・やり直す」仕組みを、作るべき機能として明確にする。
3過去の結果(テスト・評価・達成度など)に基づき、弱点領域に合わせて出題・タスクを変えられる設計にする。

プロダクトはあるが、机上の想像で改善しており、本当の不便が特定できない。

1短期間の期限を決めて試作品を用意し、実運用で使ってもらう場を確保する。
2利用現場に同席し、障害や詰まりが起きた瞬間をその場で観察して原因と影響範囲を記録する。
3発生頻度の高い不具合・詰まりから優先順位を付け、修正→再観察のサイクルを回す。

ターゲット市場の意思決定が遅く、無料試用が長引いて売上化が進まない。

1同じ課題を持つが意思決定者が近い小規模セグメントを洗い出し、優先的にアプローチする。
2責任者に対し短時間デモで価値が伝わる説明手順を作り、メール→オンライン説明→契約の最短導線を用意する。
3生徒数や利用量に応じた料金にするなど、始めやすくしながら使う量が増えるほど収益も伸びる仕組みを作る。

アウトバウンドの初回連絡が無視されがちで、営業活動が属人的に止まりやすい。

1「最初の連絡に返事はない前提」で、同じ組織内の複数の担当者に同時に連絡するやり方を決めておく。
2一定間隔での再送・再提案をスケジュール化し、接触履歴と次アクションを運用として固定する。
3反応が得られた相手から得た言い回し・導入理由を記録し、次の連絡文と説明に反映する。