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買収で息苦しくなった元テック社員が「共同創業者に全員解雇されても1人で続ける」で27か国・顧客4,600。コミュニティSaaS運営の禁断のルール

6 min read2026年3月22日
買収で息苦しくなった元テック社員が「共同創業者に全員解雇されても1人で続ける」で27か国・顧客4,600。コミュニティSaaS運営の禁断のルール

ビジネス概要

事業タイプ

SaaS

フェーズ

拡大期

規模感

顧客数4,600

概要

企業や団体がファン・顧客コミュニティを作って運営し、収益化までつなげる仕組みをまとめて提供するサービス。

ターゲット

コミュニティを運営して収益化したい企業・団体の運営責任者

主な打ち手

相手の業種・目的ごとに訴求の言葉と提案ページを変え、飛び込み営業からターゲットを絞ったメール・動画の営業に切り替えた。

30秒で分かる

1高給社員が独立し月370万円。

27か国で利用

顧客数4,600

共同創業者に壊されかけたが立て直した。

2大企業化で自由が減り動いた。

買収後に決定が遅くなった。

自分の事業に賭けると決めた。

3SaaSで「人の集まり」を支えた。

企業のコミュニティ運営を一式で提供。

会員・イベント・専用サイトなどを統合。

4相棒が全員解雇し崩れた。

社員と外部協力者を相談なく解雇。

資金不足で撤退を選ばれた。

初顧客はジャマイカ政府だった。

51人で土台と集客を作り直した。

貯金から約1,200万円を投じた

支援で約1,500万円を獲得した

荒れたコードを学び直して修復。

飛び込み営業1年から広告へ転換。

月50〜60件の通話が入った。

6本質は相棒と売り方の確認だ。

共同創業者は能力より相性が重要。

撤退時の決め事を先に話すべきだった。

製品だけでは売れず営業が要だった。


ストーリーの流れ

Problem

会社が買収されて大企業の一部になったことで自由が減り意思決定が遅くなる息苦しさを感じた。

  • 高給で貯金もできていたが安定の代わりに手足を縛られていく感覚があった。
Action

同僚が立ち上げたSaaSのラクレットに共同創業者として加わり自分の事業に賭けた。

  • 企業がファンや顧客のコミュニティを作り育て収益につなげる仕組みをまとめて提供する構想だった。
  • 会員制度やイベント運営や専用サイトやブランド付きアプリなど分散したツールを一つに集約するサービスだった。
Insight

事業計画や将来の数字ばかり話して共同創業者との相性を確かめないまま始めたことが大きな穴になった。

  • 価値観やモチベーションの源泉や描く未来が合うかを確かめないと後でズレが爆発する。
Team

役割分担を決めて相棒がCEOとして開発を続けゲルチェクが資金調達と顧客獲得も担った。

  • ゲルチェクはフロントエンドとデザインとUXを担当した。
  • 互いの領域に口を出しすぎないようにして自由に任せる形を好んだ。
Action

ベルリンのアクセラレータープログラムに採択され拠点をベルリンへ移した。

  • アクセラレーター自体が大金をくれるわけではないがクラウド利用の支援や起業家が集まる環境を得た。
Monetize

ベルリンへ渡る前に貯金から約1,200万円を投じ別の支援プログラムで約1,500万円を獲得した。

  • 資金を元にサイトを作り直しSEOや広告で小さい企業でも使える点を前面に押し出した。
  • 見込み客が喜びそうな外部サービスとの連携も拡充しようとした。
Problem

共同創業者が相談なしに社員と外部協力者を全員解雇して事業の土台が崩れかけた。

  • ゲルチェクが初めての顧客獲得を知った直後に起きた出来事だった。
  • 理由は資金不足で共同創業者は追加の資金調達や別の手を探すより事業から手を引くことを選んだ。
  • 協力者の中にはゲルチェクの兄弟も含まれていた。
Insight

撤退時の方針や最悪の状況で何を守るかを事前に話し合っていなかったことが危機を深めた。

  • 話し合いなしに土台を引き抜かれた形になった。
Growth

検索でラクレットを見つけたジャマイカ政府が顧客になったことが踏みとどまる支えになった。

  • 製品を信じていたことに加えて初めての顧客の存在が大きかった。
Action

生活費の重さを受けてベルリンから費用を抑えられるトルコへ移った。

  • 貯金を切り崩しながら暮らす中でベルリンの生活費が重くのしかかった。
  • 友人がいる場所を選んだ。
Action

荒れ放題のバックエンドを前に中堅エンジニアを雇って状態を確認し修復方針を定めた。

  • コードはどこから手をつければいいか分からないほどだった。
  • 返ってきた評価は厳しいものだった。
Action

必要な技術を吸収しながら過去のミスを一つずつ潰してプロダクトを立て直した。

  • プログラミングとクラウドとC#を必死に学びながら修復を進めた。
Action

顧客を増やすために「コミュニティ」の伝え方を相手に合わせて言葉と提案内容を変えた。

  • 卒業生組織にはメンター制度や就職機会やキャリアの話が響くと捉えた。
  • 聖職者には信者同士のつながりに合う別の言葉が必要だと考えた。
  • 見せるページも提案内容も変えて相手の頭の中にある言葉に合わせた。
Action

飛び込み営業を1年間続けた末に規模化のためターゲットを絞ったメールや動画の営業へ切り替えた。

  • 飛び込み営業は手間がかかり反応も薄かった。
  • 伸ばすには人手が必要だがその費用がないと判断した。
  • 切り替え後に少しずつ見込み客が増えていった。
Growth

通話の見込み客が月に50〜60件ほど入り27か国で顧客数4,600まで回復した。

顧客数4,600顧客規模
月に50〜60件ほど、見込み客との通話商談流入
  • ターゲットを絞った営業への切り替えが見込み客増加につながった。
Monetize

月の売上が約370万円($25,000)に達するまで立て直した。

月の売上が約370万円($25,000)月次売上
  • このペースなら数年後にはさらに大きな売上も狙えると見ている。
Team

基本は1人運営に切り替え必要なときだけ外部の協力者を起用する形にした。

  • 共同創業者に壊されかけた経験が正社員を増やすことへの慎重さにつながっている。
Insight

売上をもたらすのはプロダクトだけでなくマーケティングと営業でもあると考えが変わった。

  • 以前はデザイナーやエンジニアこそが事業の中心だと思っていた。
  • どれだけ優れた製品でも知られなければ存在しないのと同じだと捉えた。
Insight

相性を確かめずに共同創業者を選ぶ危険が当事者にとって忘れられない教訓になった。

  • 解雇された兄弟は恨みを抱くことなく自分の事業を始めた。

高給のテック企業で働き、家賃も物価も高い街で貯金までできていた。それでも、会社が買収されて大企業の一部になった瞬間、自由が減り、意思決定が遅くなる空気に息苦しさを感じた。

「このままでいいのか」。迷いと焦りの中で、彼は自分の事業に賭ける道を選ぶ。だがその挑戦は、思わぬ形で崩れかける。共同創業者が、相談もなく社員と外部協力者を全員解雇してしまったのだ。

それでも踏みとどまり、壊れた土台を作り直した先に待っていたのは、27か国・顧客数4,600、月の売上が約370万円($25,000)に達するまでの回復だった。何が崩れ、何を変えたのか。その過程に、続きを読む理由がある。

共同創業者の危機:相棒に壊されかけた事業を立て直した創業者の話

ゲルチェク・カラクスは、サンフランシスコのテック企業で働いていた。給料は高く、北カリフォルニアの家賃や物価の高さをものともせず、生活しながら貯金もできていた。

だが会社が買収され、大企業の一部になった途端、空気が変わった。意思決定は遅く、動きは重く、自由は減る。安定はあるのに、手足を縛られていくような感覚があった。

ゲルチェクは決めた。自分の事業をやる、と。

同僚が立ち上げたSaaSに共同創業者として加わった。サービス名はラクレット。企業がファンや顧客のコミュニティを作り、育て、収益につなげるための仕組みをまとめて提供するサービスだ。会員制度、イベント運営、専用サイト、ブランド付きアプリ、コミュニティ機能——バラバラのツールを一つに集約する構想だった。

使い道は幅広い。信者に連絡を取りたい聖職者、生徒に情報を届けたいヨガ講師、卒業生をつなぎたい学校。「人を集めて続けたい」という需要があれば、どこでも使える。

ただ、最初から大きな穴があった。2人は事業計画や将来の数字ばかり話し、肝心の相性を確かめていなかった。

共同創業者選びは、恋人選びに似ている

起業の相棒選びは、能力だけで決めると危ない。価値観、モチベーションの源泉、描いている未来が合うかどうか。そこを確かめないと、後になってズレが爆発する。

ある投資家は、共同創業者の関係を恋人関係に例える。お金の使い方、家族観、何を大切にして生きるか——根っこの話を避けたまま走り出すと、順調なうちは気づかない。だが苦しい局面で、一気に壊れる。

ゲルチェクたちは、その会話をしないままスタートしてしまった。

最初はうまく回っていた。ゲルチェクはフロントエンド、デザイン、UXを担当し、相棒はバックエンドを作り続けた。相棒がCEOで株の比率も高く、ゲルチェクは資金調達や顧客獲得も担う役割だった。

ラクレットはベルリンのアクセラレータープログラムに採択され、2人はベルリンへ移った。そこから、少しずつ歯車がずれ始めた。

高給を捨てて夢を追った

ゲルチェクは子どもの頃から、自分の事業を持ちたいと思っていた。会社員の枠を出て、学びながら作る道を選んだのは、その延長線上にある。

アクセラレーター自体が大金をくれるわけではない。それでも、クラウド利用の支援や、起業家が集まる環境を得られた。ベルリンへ渡る前に、ゲルチェクは貯金から約1,200万円(約8万ドル)を投じ、さらに別の支援プログラムに応募して約1,500万円(約10万ドル)を獲得した。

ゲルチェクは走り続けた。サイトを作り直し、SEOや広告で「規模の小さい企業でも使える」点を前面に押し出した。見込み客が喜びそうな外部サービスとの連携も拡充しようとした。

2人は互いの領域に口を出しすぎないようにしていた。細かく管理せず、自由に任せる。ゲルチェクはその自由が好きだった。会社員の頃は、上の都合で仕事が止まり、努力が無駄になることがあった。あの感覚には戻りたくなかった。

ある日、すべてが崩れた

転機は突然やってきた。

ゲルチェクが見込み客との打ち合わせから戻ると、嬉しい知らせが届いていた。問い合わせメールから、初めての顧客を獲得できたのだ。

ところが喜びはすぐに消えた。共同創業者が、社員と外部の協力者を全員解雇していた。協力者の中にはゲルチェクの兄弟も含まれていた。理由は資金不足。共同創業者は追加の資金調達や別の手を探すより、事業から手を引くことを選んでいた。

しかもこの判断は、ゲルチェクへの相談なしに下されていた。

最初に「撤退するときはどうするか」「最悪の状況で何を守るか」を話し合っていれば、こうはならなかったかもしれない。だが現実は、話し合いなしに土台を引き抜かれた。

多くの人はここで終わる。だがゲルチェクは踏みとどまった。製品を信じていたこともある。何より、初めての顧客の存在が大きかった。検索でラクレットを見つけたジャマイカ政府が顧客になっていたのだ。

ただし生活は苦しい。貯金を切り崩しながら暮らす中で、ベルリンの生活費は重くのしかかった。ゲルチェクは費用を抑えられ、友人もいるトルコへ移った。

壊れた土台を作り直す

トルコでバックエンドを確認したゲルチェクは、言葉を失った。コードは荒れ放題で、どこから手をつければいいか分からないほどだった。

修復できるか判断するため、中堅エンジニアを雇って状態を見てもらった。返ってきたのは厳しい評価だった。

それでもゲルチェクは逃げなかった。プログラミング、クラウド、C#——必要なことを必死に吸収しながら、過去のミスを一つずつ潰していった。

顧客を増やすため、言葉を変えた

同時に、売上を作らなければならない。ラクレットが扱う「コミュニティ」というテーマは対象が広い。だからこそ、伝え方を相手に合わせる必要があった。

卒業生組織の担当者には、メンター制度や就職機会、キャリアの話が響く。一方、信者同士のつながりを作りたい聖職者には、別の言葉が必要だ。見せるページも提案内容も変える。相手の頭の中にある言葉に合わせる。

飛び込み営業から広告へ

ゲルチェクは最初、昔ながらの方法を選んだ。スーツを着て、飛び込み営業を1年間続けた。手間はかかり、反応も薄い。街が静まり返っているように感じる日もあった。それでも続けた。

だが飛び込み営業は、規模を拡大しにくい。伸ばすには人手が必要で、その費用がない。そこで、ターゲットを絞ったメールや動画を使った営業に切り替えた。少しずつ見込み客が増えていった。

やがて月に50〜60件ほど、見込み客との通話が入るようになった。ラクレットは27か国で使われ、顧客数は4,600。月の売上は約370万円($25,000)に達した。このペースなら、数年後にはさらに大きな売上も狙えると見ている。

1人運営で学んだこと

ラクレットは基本的に1人で運営し、必要なときだけ外部の協力者を起用する形になった。共同創業者に壊されかけた経験が、正社員を増やすことへの慎重さにつながっている。

もう一つ、大きく考えが変わったことがある。マーケティングと営業の価値だ。

以前は、デザイナーやエンジニアこそが事業の中心だと思っていた。だが売上をもたらすのは、マーケティングと営業でもある。どれだけ優れた製品でも、知られなければ存在しないのと同じだ。

解雇された兄弟は、恨みを抱くことなく自分の事業を始めた。

この出来事は、相性を確かめずに共同創業者を選ぶ危険を、はっきりと示した。ゲルチェクにとっても兄弟にとっても、忘れられない教訓になった。