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ガレージ机2つの無名コンビが 「写真サイトで携帯番号を集めてSMSだけ残した」 年商120億円。 投資家を入れない禁断の全手口

6 min read2026年2月28日
ガレージ机2つの無名コンビが 「写真サイトで携帯番号を集めてSMSだけ残した」 年商120億円。 投資家を入れない禁断の全手口

ビジネス概要

事業タイプ

SaaS

フェーズ

拡大期

規模感

年間売上は約120億円規模(約8,000万ドル)

概要

企業が顧客や関係者にSMSを大量・安定配信できるクラウド通信プラットフォーム。

ターゲット

SMSで顧客連絡・通知・販促を行う法人(小売・銀行・学校など)の担当者

主な打ち手

Blue Worldで集めた登録者データを起点にSMS送信の仕組みを作り、サイトは売却してもSMS事業に集中し、止まらない・不具合を出さない運用品質を徹底した。

ストーリーの流れ

Insight

才能よりもやめない力を支える情熱に一点集中する方針を貫いた。

約20年情熱の集中継続
  • チャールズ・ストレッチとジェームズ・ピアースは約20年、同じ場所に情熱を注ぎ続けた。
Action

大学で出会った2人はガレージの机2つから事業を始めた。

  • 出会いの場は南アフリカのネルソン・マンデラ大学である。
  • 起業の場所はジェームズの父のガレージである。
Insight

写真サイト運営で登録者の連絡先が集まりSMSに事業機会を見出した。

  • 地元のパブやナイトクラブで撮影した写真をBlue Worldに掲載し登録ログインを必須にした。
  • 半年ほどで主催者から登録者への宣伝依頼が来た。
  • 携帯電話の普及を見て連絡手段としてSMSに目をつけた。
Action

集めた電話番号へメッセージを送れる仕組みを作りSMSPortalを立ち上げた。

  • ジェームズがシンプルだが動く送信の仕組みを実装した。
Monetize

Blue Worldを売却しつつSMS事業だけは手放さず法人向けへ転換した。

  • 2004年にサイトとデータベースを南アフリカのメディア企業に売った。
  • クラブ向け宣伝から離れ小売店や銀行や証券取引所などへ広げた。
Growth

派手な賭けを避けて1社ずつ実績を積み上げ信用を獲得した。

  • まず1社を取り小さく売上を作り実績を持って次の1社へ行く循環を回した。
  • 若い2人が信用を得るには口より結果が必要だと捉えた。
Insight

顧客にとって一番いい価値を軸にプロダクト改善を続けた。

  • 最初の顧客は不動産担当者で約1,000人への一斉送信ニーズがあった。
  • 学校では保護者連絡に使われ顧客増とともに必要機能が見えた。
Scale

送信速度と安定性と使い心地を地道に磨き長期利用の理由を作った。

  • 初期はSMS1通に8秒かかったが今は1秒に11,000通送れる。
  • 止まらないことや不具合を出さないことや申し込み後に困らせないことを徹底した。
Team

最初の3年間は2人だけで回し必要なときに採用して売上の取りこぼしを減らした。

  • チャールズが営業や宣伝や問い合わせ対応まで担いジェームズが開発を担った。
  • 外から資金を入れない方針のため人件費を簡単に増やせなかった。
  • 最初の営業担当の採用で電話営業や見込み客フォローが進み売上が作れた。
Growth

慎重さを選んだ結果として約20年にわたり毎年成長を続けた。

約20年毎年成長継続
  • 背伸びよりも確実さを優先した判断だと2人は語る。
Scale

24人のチームで何十億通もの送信を支え世界190か国へ届ける体制になった。

24人チーム規模
世界190か国提供国数
  • 成長に合わせてチーム作りも必要だと腹に落ちた。
  • 世界へ届ける運用を維持している。
Insight

目標を明確にして注意を分散させずSMSに集中し続けた。

  • 目標は「アフリカで最大の提供者になる」ことである。
  • 派手で早く儲かりそうな別事業の話は関わらないと決めた。
  • 社内でも得意なSMSのマーケティングに集中し製品をむやみに増やさなかった。
Monetize

利益で成長できていたため投資家を入れず意思決定速度を守った。

  • 投資家を入れると手続きや会議が増え決定が遅くなると捉えた。
  • 投資提案はいくつもあったが断った。
Scale

アフリカ最大級のクラウド通信プラットフォームとして約12,000社が使う規模に到達した。

約12,000社利用企業数
  • ガレージの机2つから始まった事業が最大級へ育った。
Monetize

年間売上が約120億円規模まで伸び事業の強さを示した。

年間売上は約120億円規模(約8,000万ドル)年商規模
  • 約8,000万ドル規模としても示されている。
Scale

近年はアメリカとイギリスへの進出準備を進め世界市場を取りに行った。

  • アメリカでは感染症の流行以降SMS利用が広がったと捉えた。
  • 注文状況連絡や買い物かご通知や割引コード配布など用途が日常に入り込んだ。
Action

メッセージから少ない操作で購入まで完了できる体験を目指して機能拡張を狙った。

  • リンク先で支払い情報がまとまった画面へ移る導線を構想した。
  • 小さな不便を消すことが利用拡大の鍵だと見ている。
Growth

次の目標として世界で上位5社に入るメッセージ提供者になることを掲げた。

  • ガレージから始まった挑戦を世界の舞台へ進めようとしている。

起業は、始めるより続けるほうが難しい。うまくいかない日が積み重なるほど、迷いも不安も増えていく。

チャールズ・ストレッチとジェームズ・ピアースも、最初はガレージに置いた小さな机2つからのスタートだった。派手な資金も、確かな勝ち筋もない。それでも、目の前の一歩をやめなかった。

やがてSMSPortalは、約12,000社が使い、年間売上は約120億円規模(約8,000万ドル)へ。どうやって20年近く、集中を切らさず積み上げてきたのか。

情熱を一つにしぼれば、ガレージから年商80億円規模まで届く

起業は、気楽な遊びじゃない。毎日、思い通りにならないことが起きる。環境も変わる。そこで試されるのは、才能よりも「やめない力」だ。

続ける力を支えるのが情熱だ。情熱が強いほど、むずかしい日でも踏ん張れる。チャールズ・ストレッチとジェームズ・ピアースは、その情熱を約20年、同じ場所に注ぎ続けた。

2人が作ったSMSPortalは、最初はガレージの小さな机2つから始まった。それが今では、アフリカ最大級のクラウド通信プラットフォームになった。約12,000社が使い、年間売上は約120億円規模(約8,000万ドル)。数字は派手だが、本当にすごいのは、長い時間ずっと集中を切らさなかったことだ。

大学で出会い、ガレージで始めた

2人が出会ったのは南アフリカのネルソン・マンデラ大学。チャールズは商学、ジェームズは情報技術を学んでいた。チャールズの姉の紹介で知り合い、話が合った。

2003年、チャールズ19歳、ジェームズ20歳。起業の場所は、ジェームズの父のガレージだった。テーブルを2つ置き、パソコンを並べる。そこが会社のすべてだった。

写真サイトが、思わぬ武器になった

当時は、スマホもSNSも今ほど当たり前じゃない。デジタルカメラが出てきたばかりの時代だ。

2人は地元のパブやナイトクラブへ行き、客の写真を撮った。次の日、その写真をBlue Worldという自分たちのサイトに載せた。写真を見るには登録してログインする必要がある。つまり、登録者のメールアドレスや携帯番号が集まっていった。

半年ほどすると、店やイベントの主催者から連絡が来た。「その登録者たちに、イベントの宣伝をしたい」

2人は考えた。連絡手段は何がいい? そこで目をつけたのがSMSだった。携帯電話が広がり始めていて、これからもっと伸びると感じたからだ。

ジェームズは、集めた電話番号にメッセージを送れる仕組みを作った。シンプルだが、動く。使える。ここがSMSPortalの始まりだった。

サイトは売って、SMSだけは手放さなかった

2004年、2人はBlue Worldのサイトとデータベースを南アフリカのメディア企業に売った。でも、SMSの事業は売らなかった。むしろ、ここからが本番だった。

クラブ向けの宣伝から離れ、いろいろな業界の会社に向けた法人サービスへ広げていった。小売店、銀行、証券取引所。相手は一気に固くなった。

2人には大きな経営経験があったわけじゃない。だからこそ、派手な賭けはしない。できることを一歩ずつ積み上げた。

まず1社を取る。小さく売上を作る。実績を持って次の1社へ行く。その繰り返しだった。若い2人が信用を得るには、口より結果が必要だった。

「顧客にとって一番いい」を軸にした

2人が中心に置いた考えはシンプルだった。

顧客にとって、一番いいサービスと価値を出す。

最初の顧客は不動産の担当者で、約1,000人に一斉にSMSを送りたがっていた。次は学校で、保護者への連絡に使われた。顧客が増えるほど、必要な機能も見えてくる。

たとえば送信スピード。初期の仕組みはSMS1通に8秒かかった。今は1秒に11,000通送れる。

ただ速くするだけじゃない。止まらないこと、不具合を出さないこと、申し込み後に困らせないこと。使い心地をなめらかにすること。そういう地味な部分を徹底した。それが「長く使い続けてもらえる理由」になり、競合との差になった。

2人だけで回し、必要なときに人を増やした

最初の3年間、会社は2人だけで回した。チャールズが営業、宣伝、問い合わせ対応まで全部やる。ジェームズが開発を全部やる。体力勝負だった。

後から振り返ると、もっと早く人を雇うべきだったとも思う。ただ、外から資金を入れない方針だったから、人件費を簡単に増やせなかった。

それでも最初の営業担当を雇ったとき、効果はすぐ出た。電話営業や見込み客へのフォローが進み、2人だけでは届かなかった売上が作れた。成長に合わせて、チーム作りも必要だと腹に落ちた。

2人は自分たちを慎重なタイプだと言う。もっと早く採用を増やしたり、広告やブランドにお金をかけたり、外部の専門家を頼ったりしていれば、さらに世界で大きくなれたかもしれない。でも2人は、背伸びよりも確実さを選んだ。

その結果、SMSPortalは約20年、毎年成長を続けた。今は24人のチームで、年間に何十億通ものメッセージ送信を支え、世界190か国へ届けている。

目標を見失わないことが、集中を守った

2人を動かしたのは、お金そのものより「最高の製品」と「最高のサービス」だった。勝ちたい気持ちも強かった。目標ははっきりしていた。「アフリカで最大の提供者になる」

長く続けていると、別の事業の話も来る。もっと派手で、早く儲かりそうな話もある。でも2人は、関わらないと決めていた。注意がそれた瞬間に、SMSPortalの成長が止まるのが怖かったからだ。

会社の中でも同じだった。得意なSMSのマーケティングに集中し、むやみに製品を増やして力を分散させない。

投資家を入れなかった理由

投資家を入れれば、お金は増える。でも手続きや会議も増える。決定も遅くなる。2人なら短い電話で決められることが、関係者が増えるほど「確認」が必要になる。

しかもSMSPortalは、利益で成長できていた。資金に困っていなかった。投資の提案はいくつもあったが断った。結果的に、その判断は正しかったと2人は振り返っている。

アフリカから、世界の上位へ

SMSPortalはアフリカ最大級になった。だが2人の視線は、もう外に向いている。近年はアメリカとイギリスへの進出準備を進めてきた。

アメリカでは感染症の流行以降、SMSの利用が強く広がった。注文状況の連絡、買い物かごに商品が残っている通知、割引コードの配布。SMSは「すぐ届く連絡手段」として日常に入り込んだ。

2人は、SMSでできることも広げようとしている。メッセージからリンク先へ移り、支払い情報がまとまった画面で、少ない操作で購入を終えられるようにする。小さな不便を消すことが、利用を広げる鍵だと見ている。

チャールズは、これまで他の会社に雇われた経験がない。SMSPortalが最初の情熱で、今も同じ熱量で走っている。次の目標は「世界で上位5社に入るメッセージ提供者になる」こと。ガレージから始まった挑戦は、世界の舞台へ進もうとしている。