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「コードは書けるのに作品にならない」講師が作ったお題1つのサイトが、登録者2,500人を超えるまで

7 min read2026年6月24日
「コードは書けるのに作品にならない」講師が作ったお題1つのサイトが、登録者2,500人を超えるまで

ビジネス概要

事業タイプ

Other

フェーズ

立ち上げ期

どんな事業?

デザインに自信がない駆け出し・現役の開発者向けに、デザイン素材付きのお題を渡して「現場と同じ流れでコードを書き、ポートフォリオに載せられる作品を仕上げる」練習の場を提供するサービス。基本のお題は無料、月額課金で本格的なお題・追加素材・目的別学習ルートを利用できる。

💰 いくら儲かった?

登録者は合計2,500人超。ただし有料転換率は全体の1%未満。具体的な売上金額の記載なし。

💡 成功の気づき × 打ち手
1
気づき

プログラミングスクールの受講生が繰り返し「コードは書けるが完成品の見た目が弱く、ポートフォリオに載せられない」と訴えていた。デザイン投稿サイトを紹介しても解決せず、受講生が本当に欲しいのは参考画像ではなく「そのまま使える素材と、それを画面にするお題」だった。

打ち手

画像・文章などの素材付きお題を1つだけ載せた小さなサイトを作り、週2回の授業に来る受講生に試してもらった。デザインを考えずコードに集中できる形にしたところ即座に「もっとお題が欲しい」と反応があり、お題を増やしていった。

2
気づき

完成作品をSNSに投稿してもらう仕組みにしたところ、「誰かに見てもらえる」ことで最後まで作り切る人が増えた。さらに動画で教えるクリエイターにとっても、見た目を考える手間が省けてお題が重宝されたため、口コミと協力者の両方が広がった。

打ち手

投稿者にはマットが直接コードレビューする約束をつけ、動画教育者や他の学習サービスとも連携してお題を共有。利用者層が初心者から実務経験のある開発者にまで拡大した。

3
気づき

登録者2,500人超に対し有料転換率が1%未満。分析すると、登録後に最初の1作品すら完成できずに離脱する人が多く、無料から有料に移る動機も弱かった。

打ち手

登録直後の案内を作り直し、最も小さく簡単なお題から始めて「作れた」という実感を早く得られる導線に変更。さらに目的別の学習ルートや利用者同士の助言・感想交換の場を整備し、「お題の置き場」から「続けて通える場所」への転換を進めている。

「コードは書けるのに、完成品がかっこよくならない」という壁に、学び始めたばかりの開発者はぶつかりやすい。履歴書に書けることは増えても、面接で見せられる作品がないまま時間が過ぎていく。

教える側にいたマットも、受講生から同じ悩みを何度も聞いた。参考画像を見せても解決しない。受講生が欲しいのは、現場のように素材が渡され、手を動かして形にする練習の場だった。

小さなお題を1つ載せただけのサイトから始まった試みは、利用者の声で少しずつ姿を変えていく。無料で育て、のちに課金へ。だが数字が伸びるほど、新しい課題も見えてきた。

デザインに自信がない開発者でも、見せられる作品を作ることができる

大学を出ても、すぐに仕事が決まるとは限らない。特に経験が少ないと、「何ができるのか」を示す材料が足りない。履歴書に書けることはあっても、面接で出せる作品がない。これが一番つらいところだ。

プログラミングスクールで教えていたマットは、その壁にぶつかる受講生を何度も見てきた。修了証はある。でもポートフォリオが弱い。しかも多くの受講生は、画面の見た目を自分で考えるのが苦手だった。

「コードは書けるのに、完成品がかっこよくならない」

その一言が、マットの中に残った。

パーソナルトレーナーとしての限界が、新しい道を開いた

マットは2009年からパーソナルトレーナーとして働いていた。人に教えるのが得意で、仕事にも手応えを感じていた。

しかし2014年ごろ、はっきりした問題が見えてきた。予約が埋まると、それ以上は稼げない。1日は24時間しかないし、料金も簡単には上げられない。ジムを持つ道も考えたが、失敗したときのリスクが大きすぎる。

そのころマットには、やりたい事業のアイデアもあった。ただ、実現するにはネットの仕組みが必要で、自分にはプログラミングができない。誰かに頼めばお金がかかるし、思い通りに仕上がる保証もない。

ならば、自分で作れるようになったほうがいい。そう決めて、マットはプログラミングの勉強を始めた。

学んで、働いて、教えているうちに「同じ悩み」が見えた

マットはロンドンで3か月の集中講座を受け、開発者として働き始めた。翌年からは教える側にも回り、仕事と講師を両立しながら、受講生の悩みを一番近くで見続けた。

講座が終わるころ、受講生はよく同じ質問をした。

「次に何を作ればいい?」
「自信を持って見せられる作品って、どう作る?」

講師としては、「自分用のアプリを作ろう」「友達や家族のために作ろう」と言いたくなる。けれど、返ってくる答えはだいたい同じだった。

「何を作ればいいか分からない。作っても見た目が弱くて、作品に見えない」

マットは、デザイナーが作品を投稿するサイトを紹介したこともある。だが受講生が本当に欲しいのは、参考画像ではなかった。

「そのまま使える素材が欲しい」

実際の現場では、デザイン担当から素材が渡され、開発者はそれを画面にする。ならば、その流れを練習できる場所を作ればいい。マットはそう考えた。

最初は「お題が1つだけの小さなサイト」だった

マットには、試せる相手がいた。週に2回授業に来る、やる気のある受講生たちだ。

まず作ったのは、お題が1つだけ載った小さなサイト。画像や文章などの素材を渡し、「これを元に画面を作ってみよう」という形にした。受講生はデザインを一から考えなくていい。コードを書くことに集中できる。

反応はすぐ返ってきた。

「これ、いい。もっとお題が欲しい」

マットが作りたかったのは、手順を読んで終わる教材ではない。お題を渡して、手を動かして、作品を仕上げる場所だ。見るだけより、作りながらのほうが身につく。受講生の様子が、それを証明していた。

SNSで作品を広げ、マットが直接レビューした

広め方も、ただの宣伝ではなかった。完成した作品をSNSで共有しやすくし、投稿した人にはマットが直接レビューする約束をした。

誰かに見てもらえると、最後まで作り切りやすい。直すポイントも分かる。投稿は増え、口コミも広がった。

さらにマットは、動画で教える人や別の学習サービスとも協力した。お題が最初からあると、動画を作る側も助かる。見た目を考える時間が減り、作る過程の説明に集中できるからだ。見る側も、現場の開発者がどう考えて進めるのかを追体験できる。

こうして利用者の層は、初心者だけでなく、すでに仕事をしている開発者にも広がっていった。実務経験があっても「ここが弱い」と気づいた部分を、お題で集中的に練習できる。

8か月後、仲間が増えてチームになった

サービスを始めて8か月ほどたったころ、同じ学校で教えていたマイクが手伝いを申し出た。2人で進めるうちに相性の良さが分かり、マイクは技術面の責任者として正式に参加した。

マットが現場の悩みを拾い、マイクが技術で支える。役割が自然に分かれ、サービスは前に進みやすくなった。

無料のまま育てて、あとから課金に切り替えた

しばらくの間、2人は本業と並行してサービスを育てた。利用者は増えたが、最初は無料のままだった。2020年になって、ようやく収益化の形を整えた。

基本のお題は無料で残しつつ、月額課金の人にはより本格的なお題や追加の素材を用意した。就職・転職で見せやすい作品を作れるようにする狙いもあった。

登録者は合計で2,500人を超え、売上も伸びた。ただ、有料に移る人は全体の1%未満だった。無料プランを設けているサービスでは、よくあることだ。

「最初の1作品」を作り切れない問題が見えてきた

数字が増えると、弱点もはっきりしてくる。課題は2つあった。

1つ目は、登録した人が最初の1作品を作り切るところまで進めないこと。
2つ目は、無料の人が有料に移る理由が弱いこと。

1つ目への対策として、2人は登録直後の案内を作り直した。いきなり難しいお題を渡さない。一番小さくて簡単なお題をすすめ、早く「作れた」という実感を得られるようにした。

小さくても、現実に近い題材で作品を仕上げると、自分の成長が分かりやすい。だから続く。

2つ目については、有料の人が「毎月使い続ける理由」を増やす方針を立てた。目的別の学習ルートを用意し、利用者同士で感想や助言をやりとりしやすくする。サービスを「お題の置き場」から「続けて通える場所」に変えていく考えだ。

努力の見える化が、就職につながる未来を作る

利用者のやる気を上げるために、サービス内にはポイントの仕組みも入れた。お題を解いたり、他の人に助言したりするとポイントがたまる。週・月・年ごとに上位者も表示される。

チャットのコミュニティもあり、質問や相談、感想を交わせる。他の人の解き方を見ると、「そんな進め方があるのか」と新たな学びにもなる。

マットとマイクは、多くの利用者が「就職や転職のために作品が欲しい」と考えていることも把握している。だから将来的には、ポイントや作品の積み重ねが採用側にも伝わる形にしたいと考えている。

企業がスキルや経験などの条件で人材を検索できる仕組みを作り、条件に合う人を見つけやすくする。ポイントが高い人ほど上位に表示されれば、企業は多くの作品をまとめて確認できる。利用者にとっても、努力が数字と作品で伝わる仕組みになる。

完璧を目指さず、小さく出して直し続けた

このサービスはまだ発展途中だが、マットが大事にしている考えはぶれない。

最初から完璧を狙わない。まず小さく作る。人に使ってもらう。意見を集める。直す。それを繰り返す。

実際、最初のバージョンは見た目が良いとは言えなかった。マットは色の識別が苦手で、デザインにも自信がなかった。それでも利用者の声を頼りに改善を重ね、少しずつ「作品を増やせる場所」に育てていった。

画面の見た目を全部自分で考えられなくても、良い作品は作れる。必要なのは、作る練習を積み重ね、見せられる形に整え、少しずつ良くしていく姿勢だ。


3層インサイト

マットは2009年からパーソナルトレーナーとして働いていた。
2014年ごろ、予約が埋まるとそれ以上稼げず、1日は24時間で料金も簡単には上げられないという制約が問題になった。
マットはネットの仕組みが必要な事業アイデアを持っていたが、自分でプログラミングできず、外注は費用と品質保証の不確実性があったため、自分で作れるようになると決めて学習を始めた。
マットはロンドンで3か月の集中講座を受け、開発者として働き始め、翌年からは講師も兼ねて受講生の悩みを継続的に観察した。
受講生は「次に何を作ればいいか分からない」「作っても見た目が弱くて作品に見えない」と繰り返し悩み、参考画像の提示では解決しなかった。

学習者がつまずく原因が「情報不足」ではなく「実務に近い練習環境の欠如」の場合、教材よりも実践形式の場を設計したほうが解決しやすい。

根拠

-受講生は「次に何を作ればいいか分からない」「作っても見た目が弱くて作品に見えない」と繰り返し悩み、参考画像の提示では解決しなかった。

-マットは現場では素材が渡され開発者が画面にする流れがあると捉え、その流れを練習できる場として、画像や文章などの素材付きでお題を出すサイトを作った。

小さなプロトタイプを実ユーザーに試してもらい、反応をもとに拡張することで、提供価値の方向性を早期に確かめられる。

根拠

-初期版は「お題が1つだけ載った小さなサイト」で、週に2回授業に来る受講生に試し、受講生から「もっとお題が欲しい」という反応を得た。

-完成作品をSNSで共有しやすくし、投稿者にはマットが直接レビューすると約束した結果、投稿が増え口コミが広がった。

利用者数が増えると、継続率や最初の成功体験などのボトルネックが可視化され、オンボーディング設計の改善が必要になる。

根拠

-課題として「最初の1作品を作り切れない」「無料から有料に移る理由が弱い」の2点が見え、登録直後の案内を作り直して最小で簡単なお題を最初に勧めた。

-2020年に収益化し、基本のお題は無料のまま、月額課金で本格的なお題や追加素材を提供したが、登録者合計2,500人超のうち有料移行は全体の1%未満だった。

サブスクリプション型の収益化では、支払い後に「毎月使い続ける理由」をプロダクト内に増やす設計が重要になる。

根拠

-2020年に収益化し、基本のお題は無料のまま、月額課金で本格的なお題や追加素材を提供したが、登録者合計2,500人超のうち有料移行は全体の1%未満だった。

-継続利用の理由を増やす方針として、目的別の学習ルートと利用者同士のやりとりを促す仕組みを用意し、ポイント制度とランキング表示、チャットコミュニティも導入した。

役割分担が明確な共同体制を作ると、課題発見と実装の流れが安定し、改善のペースを上げやすい。

根拠

-開始から8か月ほどで同じ学校の講師マイクが参加し、マイクが技術面の責任者となり、マットが課題発見・マイクが技術で支える形で役割分担ができた。

学習・研修・コミュニティ運営で、参加者が「何を作ればいいか分からない」「完成物が弱い」と停滞している。

1完成形をイメージしやすいよう、素材(文章・画像・要件)をセットにした実務に近いお題を用意する。
2参加者が提出できるアウトプット形式(成果物の共有導線)を設計し、提出物に対するレビュー機会を提供する。
3「見る教材」よりも「手を動かして完成させる」ことをゴールにした課題フローを用意する。

新規登録者が最初の成果物まで到達できず、継続率が上がらない。

1登録直後は難易度の低い最小課題を提示し、短時間で「作れた」体験を得られる順序に並べ替える。
2初回課題の完了条件を明確化し、完了までのステップを短く区切って案内する。
3初回完了後に次の一手が自動的に決まる導線(次の課題提案)を用意する。

無料ユーザーは増えるが、有料移行や継続課金の理由が弱い。

1無料と有料の差分を「追加コンテンツ量」だけでなく、目的別の学習ルートなど継続利用を生む体験差に置く。
2利用者同士のフィードバック交換が起きる仕組み(感想・助言の導線)を設計し、毎月戻ってくる理由を作る。
3活動量が可視化される仕組み(ポイントやランキング等)で、継続行動が積み上がる設計にする。

個人でプロダクトを進めていて、課題発見・実装・改善が回らない。

1課題発見(ユーザーの声の収集)と実装(技術責任)など、必要な役割を洗い出して担当を明確にする。
2一定期間の協働を通じて相性と責任範囲を確認し、継続的に意思決定できる体制にする。
3「小さく出す→使ってもらう→意見を集める→直す」の流れを固定し、定期的に繰り返す。