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「固定給は払えない。だから“利益を分けよう”」2016年ひとり創業→2人で作った成果連動採用

7 min read2026年2月27日
「固定給は払えない。だから“利益を分けよう”」2016年ひとり創業→2人で作った成果連動採用

ビジネス概要

事業タイプ

Agency

フェーズ

拡大期

規模感

南アフリカで特定の検索語で検索1位

概要

会社や店のオンライン集客とWeb制作をまとめて支援するデジタルマーケティング会社。

ターゲット

ネット集客やWebサイト改善を外部に依頼したい会社・店舗の担当者

主な打ち手

固定給中心の採用を避け、売上の大きな割合を成果に応じてチームへ分配する報酬設計にした。

ストーリーの流れ

Problem

小さな会社にとって採用は固定給とミスマッチのリスクが重く怖い課題である。

  • 合わない人を入れると時間もお金も一気に消える状況である。
  • 広告に大金をかける余裕もなく成果までの耐久戦になりやすい。
Insight

小さな会社ほどスキルより会社の目標に本気で乗れる人を見つけることが重要である。

  • 気持ちが合わないと途中で失速しやすい。
  • 小さな会社には失速を取り返す体力がない。
Action

Wowwは高品質なデジタルマーケティング支援を手の届く形で提供する方針で立ち上がった。

  • サイト制作から検索対策、デザインや文章、動画までまとめて支える体制である。
Team

2016年にフェリックスがひとりでWowwを立ち上げた。

2016年創業年
  • 学生時代からサイト制作で収入を得ており仕事として成立すると判断した。
  • 父親のサイト制作が実績になり紹介で顧客が増えていった。
  • 当初は会社というよりフリーランスに近い状態である。
Team

ガーネットとの出会いで互いの弱点を補完し会社が形になった。

  • フェリックスは会計や税金などお金の管理に自信がなかった。
  • ガーネットは金融や小さな会社を伸ばす仕事の経験があった。
Monetize

固定給が払えない課題を利益分配の約束で乗り越えパートナーになった。

  • 高い固定給を払う余裕がないため利益を分ける形を選んだ。
  • 会社が育てば2人とも報われる設計である。
Growth

広告に金を使えないため検索で見つけてもらう力を時間をかけて育てた。

  • 広告は早いが資金が必要である。
  • 検索上位の工夫は時間がかかるが積み上がると崩れにくい武器になる。
Growth

南アフリカで特定の検索語で上位に入り最終的に1位を取った。

  • コツコツ続けて時間を味方にした結果である。
Problem

集客に時間がかかるため資金がきつく採用しても売上に繋がるか分からない不安が残った。

  • 人を増やしたいが高い給料が払えない状況である。
  • 外した場合に会社が沈むため借金して雇うのは避けたい判断である。
Action

会社が生み出した価値に合わせて報酬を増やす成果連動の分配制度を作った。

  • 創業時の利益分配の約束をチームにも広げた形である。
  • 成果が出ない場合に会社の負担がふくらみすぎない設計である。
Team

成果連動の仕組みが文化となり会社が伸びればチームも伸びる考え方が根付いた。

  • 偶然の会話から生まれた工夫が中心の考え方になった。
Action

成果だけに頼らず基本給を用意して安心できる土台を加えた。

  • 病気や休暇でも収入が不安定になりにくく入社のハードルが下がる。
  • 成果の上乗せは残し工夫や成長の動機を維持した。
  • 長く働くほど基本給が上がる仕組みで定着につなげた。
Team

経験年数より価値創出を重視し若手でも早く評価される環境を作った。

  • 価値を生み出せると示せば経験が短くても評価されやすい。
  • 若手にとって成長スピードが上がる設計である。
Team

最低限の労働時間を定めつつ働き方の自由度を持たせた。

  • 収入を増やすために多く働くか生活とのバランスを優先するかを選べる。
  • 音楽活動を続けながら安定収入も得る開発者がいる。
Insight

利益最大化よりチーム還元を選び定着率の高さを強みと捉えた。

  • 外部の専門会社から仕組みをやめれば利益が増えるかもしれないと指摘された。
  • 成功を分け合う方がやる気が続き辞める人が減ると考えた。
Scale

創業から数年で毎年大きく成長し外部投資なしで持ち分を守って伸ばした。

  • 新型感染症の拡大時は契約を止めたり休んだりする客が出て厳しい局面があった。
Monetize

オンライン集客の需要増で仕事が次々に入りその年は過去最高の売上になった。

  • 流れが変わりオンライン集客の重要さに気づく会社が一気に増えた。
Scale

リモートが当たり前になりオフィスを手放して海外展開に力を入れやすくなった。

  • オンライン会議に慣れた客が増え遠隔のチームでも問題なく回るようになった。
Scale

次の目標として海外比率を上げチームをさらに大きくし毎月安定して入る売上を増やす計画である。

  • 判断軸は人、戦略、実行、お金の管理の4つである。
  • 強い経済圏の客から収入を得て比較的コストの低い場所で運営する方針である。
Insight

南アフリカの時差と言語の優位性を生かし競争力のある価格で高品質を提供する狙いである。

  • ヨーロッパやイギリスと時差が近く英語でのやり取りもしやすい。
  • 極端に安いわけではないがヨーロッパの制作会社よりコスト面で有利になりやすい。

小さな会社にとって、採用はいつも怖い。いい人を迎えたいのに、固定給を払い続けられる確信がない。もし合わない人を入れてしまえば、時間もお金も一気に消えてしまう。

それでも事業は前に進めたい。広告に大金をかける余裕もない。成果が出るまで耐える時間が長いほど、不安は大きくなる。

南アフリカのデジタルマーケティング会社Wowwは、そんな状態から出発し、「成果に応じて分ける」仕組みで採用のリスクを下げていった。少しずつ積み上げた工夫が、やがて会社の文化になっていく。

予算が少なくても優秀な人を採用する方法

お金に余裕のない小さな会社にとって、採用はこわい。いい人を雇いたい。でも正社員の給料を払い続けられる自信がない。しかも、チームに合わない人を入れてしまうと、時間もお金も一気に消える。

だから大事なのは、スキルだけでなく「この会社の目標に本気で乗れる人」を見つけることになる。気持ちが合わないと、最初は頑張れても途中で失速する。小さな会社ほど、その失速を取り返す体力がない。

南アフリカのデジタルマーケティング会社Wowwは、この壁を工夫で越えてきた。

Wowwが始まった日

Wowwは、会社や店がネットで成長するのを助けるチームだ。見やすくて速いサイトを作り、検索で見つけてもらえるように整え、デザインや文章、動画までまとめて支える。高品質なサービスを、できるだけ手の届く形で出す。それが目標だった。

創業者フェリックスは、大学でコンピューターやゲームデザインを学びながら、学生のころからサイト制作でお金を稼いでいた。卒業して考えた。「これ、仕事としてやっていける」。そして2016年、ひとりでWowwを立ち上げた。

最初の仕事は身近なところから始まった。父親のためのサイトを作った。それが実績になり、紹介が紹介を呼んで、少しずつ客が増えていった。

当時のフェリックスは、起業家が集まって暮らすシェアハウスのような場所に住んでいた。家賃を割り勘にして、それぞれが自分の事業を育てる。Wowwもまだ「会社」というより、ほとんどフリーランスだった。

ガーネットとの出会いで、会社が形になる

ある日、その家にガーネットがやって来た。話してみると、ガーネットは前の職場に強い不満を抱えていた。仕事の多くを背負っているのに、上司はあまり働かない。給料もボーナスも上がらない。そんな状況だった。

一方のフェリックスにも弱点があった。事業をちゃんとした会社にしたいのに、お金の管理が得意ではない。会計、税金、事務。どれも自信がなかった。

ガーネットは金融や、小さな会社を伸ばす仕事の経験がある。気づけば2人は、互いの足りない部分を埋め合える関係になっていた。

ただ、問題がひとつあった。フェリックスには、ガーネットに高い固定給を払う余裕がない。そこで2人は別の約束をする。「利益を分けよう」。会社が育てば、2人とも報われる。今は耐えて、未来を取りにいく。そう決めてパートナーになった。

広告に金を使えないなら、時間で勝つ

2人になったWowwが最初に選んだ作戦はシンプルだった。広告に大金を突っ込むのは無理。だから、検索で見つけてもらう力を育てる。

広告はお金を払えば早い。だが資金がいる。検索で上位に出る工夫は時間がかかる。けれど積み上がると、簡単には崩れない武器になる。

Wowwはコツコツ続けた。南アフリカで特定の検索語で上位に入り、ついには1位まで取った。時間を味方にした結果だった。

採用がこわい。本当に稼いでくれるのか分からない

検索での集客は、成果が出るまでに時間がかかる。つまり最初のWowwはずっと資金がきつい。人を増やしたいのに、高い給料が払えない。

しかも、採用には別のこわさがある。高い給料を求める人を雇っても、その人が本当に売上につながる働きをするかは分からない。もし外したら、会社が沈む。借金して雇うのは、できれば避けたい。

採用の失敗は、期待したレベルの仕事ができないことから起きやすい。Wowwはそこを正面から見た。そして、発想を変えた。

「成果で分ける」仕組みが生まれる

Wowwが考えたのは、会社に生み出した価値に合わせて報酬を増やすやり方だった。フェリックスとガーネットが最初に交わした「利益を分ける」という約束。それを、チームにも広げた形になる。

Wowwでは、会社が得た売上のうち大きな割合を、成果に応じてチームに分ける。価値を生み出せば、その分だけ報われる。逆に、成果が出ないなら、会社の負担がふくらみすぎない。

偶然の会話から生まれた工夫だったが、いつの間にか会社の中心の考え方になった。「会社が伸びれば、チームも伸びる」。その文化が根っこに残った。

成果だけにしない。安心できる土台も作る

会社が少しずつ安定してくると、Wowwは仕組みを改良した。成果だけに頼るのではなく、基本給も用意するようになった。

基本給があると、病気で休むときや休暇を取りたいときでも、収入がいきなり不安定になりにくい。安心できるから、入社のハードルも下がる。

ただし成果の上乗せは残す。スキルを伸ばす、効率を上げる、工夫する。その動機が消えない。長く働くほど基本給が上がる仕組みも作り、定着につなげた。

若手が早く評価される

この仕組みの強さは、結果を出す人を早く評価できる点にもある。

たとえば開発の仕事は、年数が長いほど給料が上がる会社が多い。だがWowwでは、「会社に価値を生み出せる」と示せば、経験年数が短くても評価されやすい。若手にとっては、成長のスピードが上がる環境になる。

働き方に余白ができる

Wowwは働く時間にも自由度を持たせた。最低限の労働時間は決める。そのうえで、もっと働いて収入を増やすか、生活とのバランスを優先するかを選べる。

音楽活動を大事にする開発者もいる。ツアーやバンドを続けながら、安定した収入もほしい。その人は、会社員の安定とフリーランスの自由の両方に近い形で働けている。

利益を最大化するより、チームに返す

この成果連動の仕組みは、誰もが褒めるわけではない。外部の専門会社に業務の流れを点検してもらったとき、「この仕組みをやめれば利益はもっと増えるかもしれない」と言われた。

それでもフェリックスとガーネットは、チームへの還元を選んだ。成功を分け合う方が、やる気が続く。辞める人が減る。結果として強いチームが残る。業界の中でも定着率が高いことを、仕組みの強みだと考えた。

南アフリカから世界へ

Wowwは創業から数年で毎年大きく成長した。外部の投資を受けず、2人の持ち分を守ったまま伸ばしてきたのも特徴だ。

新型感染症が広がったときは、さすがに苦しかった。契約を止めたり休んだりする客も出て、厳しい話し合いが続いた。

だがその後、流れが変わる。オンライン集客の重要さに気づく会社が一気に増えた。仕事が次々に入った。その年は過去最高の売上になった。

同時に、リモートで仕事を進める形も当たり前になった。オンライン会議に慣れた客が増え、遠隔のチームでも問題なく回る。Wowwはオフィスを手放し、海外展開に力を入れやすくなった。

次の目標は、海外比率を上げること

Wowwは毎月多くの客と仕事をしている。国内案件も海外案件もある。これからは海外の割合を増やし、チームもさらに大きくする計画だ。毎月安定して入る売上も増やしたい。

成長のために大事だと考えている判断軸が4つある。人、戦略、実行、お金の管理。文化や価値観、必要な人材がそろったら、次は戦略と実行の精度を上げていく。

さらに、国によるコストの差も生かす。強い経済圏の客から収入を得て、比較的コストの低い場所で運営する。そうすれば競争力が上がる。

南アフリカの強みで戦う

外注先として人気の国は他にもある。だが南アフリカには別の強みがある。ヨーロッパやイギリスと時差が近い。英語でのやり取りもしやすい。時差や言葉の壁が小さいと、仕事は速く進み、客も安心する。

値段が極端に安いわけではない。それでもヨーロッパの制作会社と比べると、コスト面で有利になりやすい。高い品質を、競争力のある価格で出せれば、会社の利益も伸びるし、チームの生活も良くなる。Wowwはそこに大きなチャンスがあると見ている。

まとめ

  • 予算が少ない会社ほど、採用の失敗が致命傷になりやすい
  • Wowwは「成果に応じて分ける」仕組みで、採用のリスクを下げた
  • 会社の成長をチームに返す文化が、やる気と定着を支えた
  • リモート化と海外展開で、南アフリカの強みを生かして世界を狙っている