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51歳でクビになった無名の男が 「退職金を全部ぶっ込んで1人で作った」で 1年でプラットフォーム公開。 教育業界をひっくり返す全手口

7 min read2026年3月1日
51歳でクビになった無名の男が 「退職金を全部ぶっ込んで1人で作った」で 1年でプラットフォーム公開。 教育業界をひっくり返す全手口

ビジネス概要

事業タイプ

Marketplace

フェーズ

拡大期

規模感

The Faculty Clubの公開から1年

概要

教育者と企業が直接つながり、企業研修プログラムの相談・提案まで進められる場を提供する。

ターゲット

従業員数100人以上の企業の人事部門や研修担当者

主な打ち手

1対1コーチングから、企業と教育者が直接やりとりできるプラットフォームへ作り変えた。

ストーリーの流れ

Problem

2020年の終わりに突然解雇され、積み上げた経験の生かし方が見えなくなった。

  • 会社全体で多くの人が職を失い、次の仕事やキャリアの足場が揺らいだ。
  • 感染症の流行で会社の体制が変わり、解雇の衝撃が大きかった。
Insight

退職金を元手に仕事を探すのではなく、教育者と企業が自然に出会える仕組みを作ると決めた。

  • 当時51歳で起業への迷いもあったが、次を作る道を選んだ。
  • 昔の取引先や教育者からの相談が増え、業界に必要な変化を起こしたい気持ちが強くなった。
  • 仕事のオファーを2つ断って計画を進めた。
Action

解雇後は教育者を個別に支援し、オンライン授業への切り替えや授業設計を伴走した。

  • 支援を続けるうちに、これを事業にしてほしいという声が集まっていった。
Insight

1対1支援では時間が足りず、支援を広げるには仕組み化が必要だと気づいた。

  • 助けたい人が増えても届けられる範囲が広がらない課題があった。
  • 支援をもっと多くの人に届ける形を模索し始めた。
Action

2021年2月に会社登録を行い、The Faculty Clubを個別コーチングとして立ち上げた。

2021年2月個別コーチング開始
  • 当初は教育者が年額の定額料金を払い、業界で働くための知識や進め方を学ぶサービスだった。
Insight

教育者は学ぶだけでは前に進めず、企業と出会える導線が必要だと分かった。

  • 登録者が増えるにつれ企業ともつないでほしいという要望が出てきた。
  • 大きな組織が間に入ることで企業と教育者の距離が遠くなりやすく、情報も届きにくい状況があった。
Action

2021年3月の取引先からの相談を契機に、企業と教育者が直接やりとりできる場へ舵を切った。

2021年3月転換の相談
  • 研修プログラムの提案まで進めたいという具体的なニーズが、価値の確信につながった。
Scale

2021年7月にコーチング収益と退職金を投じてプラットフォームへ作り変え、2021年10月に公開した。

2021年10月The Faculty Club公開
  • 企業と教育者が直接話し、合意し、進められる場所を形にした。
Problem

教育者が集まっても企業が増えなければ市場が回らず、営業とマーケティングが壁になった。

  • 運営中心の経験だったため、1人起業で営業まで担う必要が生まれた。
  • サイトに来た人がすぐ帰り、興味は持たれても信頼まで届かなかった。
Action

信頼を作るために検索で見つかる記事を増やし、質問への回答をコンテンツとして積み上げた。

  • 写真や動画だけでなく、疑問に答える記事を用意する方針に切り替えた。
  • 同じ質問が繰り返されるなら記事にして残し、会話から素材を拾って情報を整備した。
  • SNSでの発信も始め、営業の学習や連絡文の改善も進めた。
Monetize

立ち上げ初期は収入が追いつかず、最初の半年は自分の給料をほとんど出せなかった。

  • 集客と信頼形成の遅れが収入に直結し、家計が苦しい時期が続いた。
Scale

2022年7月ごろから顧客管理の仕組みを導入し、連絡や日程調整を自動化した。

2022年7月ごろ顧客管理と自動化導入
  • 手作業の送信から計画的な企業アプローチへ切り替えた。
  • 浮いた時間を記事やニュースレター作りに回し、依頼が少しずつ増えて流れが変わった。
Growth

公開から1年で教育者と企業が出会える場を作れた手応えを得て、次の成長段階を見据えた。

公開から1年手応えの獲得
  • 業界の仕組みをより開くためには、さらに成長が必要だと捉えた。
Monetize

一定のラインを超えたことで売上目標を上方修正し、より大きな成長を目指す段階に入った。

  • 次の成長に向けて、手作業の多さを減らし支援に時間を振り向ける必要があると整理した。
Team

発信を専門にする担当者の採用も視野に入れ、運用を仕組み化していく方針を固めた。

  • 利用開始時の説明を動画で用意する案も検討している。
  • データをもとに相性のよい組み合わせを提案し、1人ずつ推薦しなくてもマッチングが進む状態を目指している。

突然の解雇は、積み上げてきたキャリアの足場を一気に崩す。次の仕事は見つかるのか。これまでの経験は、どこで生きるのか。そんな不安の中で立ち止まってしまう人も少なくない。

2020年の終わり、51歳だったマルコス・ゴルゴホも同じ状況に立たされた。けれど彼は、退職金を元手に「探す」より「作る」道を選ぶ。教育者と企業が、もっと自然に出会える仕組みを。

最初は1対1の支援から。やがてプラットフォームへと形を変え、2021年10月にThe Faculty Clubを公開するまでに至る。1人起業の壁と向き合いながら、彼が何を積み上げていったのか。

何歳からでも、業界は変えられる

2020年の終わり。マルコス・ゴルゴホは突然、会社を解雇された。本人だけじゃない。会社全体で多くの人が職を失った。

普通なら落ち込んでもおかしくない。だがマルコスは、退職金を握りしめて別の道を選んだ。

「ここで終わりにするより、次を作ろう」

ねらったのは、社会人が学ぶための教育の世界だった。もっと言えば、企業研修や人材育成のやり方そのものを変えることだった。

当時51歳。頭をよぎったのは年齢のことだ。今から起業なんて遅すぎるのではないか。そんな迷いもあった。それでもマルコスは、仕事のオファーを2つ断って、計画を進めた。

背中を押したのは、昔の取引先や教育者たちから届く相談だった。「これから誰に相談すればいい?」という声が増えていく。マルコスの中で、ただ働き口を探すよりも「この業界に必要な変化を起こしたい」という気持ちが強くなっていった。

教育者と企業が、直接つながれる場所を作る

解雇されたあと、マルコスは何人もの教育者を個別に支援していた。オンライン授業への切り替えを手伝ったり、授業の組み立て方を一緒に考えたりした。

だが、1対1の支援には限界がある。時間が足りない。助けたい人は増えるのに、届けられる範囲が広がらない。

「この支援を、もっと多くの人に届ける形にできないか」

そこでマルコスは、仕組みそのものを作ることを考え始めた。

好きな仕事でも、安心は買えない

マルコスは1990年代にビジネススクールでMBAを取り、父の背中を追うようにキャリアを積んだ。最初から起業したわけではない。イタリアで管理職として働き、その後スペインに戻って母校でも仕事をした。

国際プログラムの運営に関わり、世界各地を飛び回って学びの場を作ってきた。2014年からは別の組織に移り、教育者が企業向け研修を作れるよう支援する役目を担った。

教育者の募集、受け入れ、配置、評価。仕事は幅広い。企業と教育者の間に立ち、両方の事情を調整する存在だった。

だからこそ、感染症の流行で会社の体制が変わり、解雇されたときの衝撃は大きかった。積み上げてきた経験を、どこでどう生かせばいいのか。答えが見えなくなる。

そんなとき、教育者たちから連絡が来た。「これから誰が相談に乗ってくれる?」と不安をぶつけてくる人もいた。マルコスは手を止めなかった。支援を続けるうちに、「これを事業にしてほしい」という声が集まっていった。

まずは小さく始め、形を変えていった

スペインではサービス提供の前に会社登録が必要になる。そこで2021年2月、The Faculty Clubはまず個別コーチングとして動き出した。教育者に1対1で支援を届ける形だ。

当初は、教育者が年額の定額料金を払い、社会人教育の業界で働くための知識や進め方を学べるサービスだった。ところが登録者が増えるにつれ、要望が変わっていった。

「企業ともつないでほしい」

マルコスは気づいた。教育者が学ぶだけでは足りない。仕事に出会えなければ、前に進めない。しかもこの世界では、間に入る大きな組織が強く、企業と教育者の距離が遠くなりやすい。企業の情報が教育者に十分届かないこともある。

だったら、企業と教育者が直接話し、合意し、進められる場所が必要だ。

決定打は、一本の相談だった

2021年3月。以前の取引先から連絡が入った。

「教育者を紹介してほしい。研修プログラムを作って提案まで進めたい」

マルコスが企業と教育者を結びつける中で、はっきりしたことがある。両者が直接やりとりできる場には、強い価値がある。

そこで2021年7月、コーチングの収益と退職金を投じて、サービスを本格的なプラットフォームへ作り変えた。そして2021年10月、The Faculty Clubを公開した。

51歳の1人起業でぶつかった壁

教育者は集まりつつあった。だが企業が増えなければ、市場は回らない。必要になったのは営業とマーケティングだった。

マルコスのこれまでの中心は運営だった。営業は別の担当がやることが多かった。だが1人で起業すると、逃げられない。全部、自分でやるしかない。

マルコスは営業の本を読み、経験者に電話の進め方や初めての連絡文の書き方を聞いた。SNSでの発信も始めた。

それでも現実は厳しい。サイトに来た人がすぐ帰ってしまう。興味は持たれても、信頼まで届かない。

そこでマルコスは、別の答えにたどり着く。

「役に立つ情報を出し続けないと、信頼は生まれない」

写真や動画だけではなく、検索で見つかる記事を増やす。人が疑問に思うことに答える内容を用意する。同じ質問が何度も来るなら、その答えを記事にして残す。会話から素材を拾い、必要な情報を積み上げていった。

ただ、この遅れは収入に直結した。最初の半年は自分の給料をほとんど出せず、家計が苦しい時期が続いた。

少しずつ仕組み化し、前に進んだ

改善は止めなかった。2022年7月ごろからは顧客管理の仕組みを取り入れ、連絡や日程調整などを自動化した。

1通ずつ手作業で送るのではなく、計画的に企業へアプローチできるようになる。その分、記事やニュースレター作りに時間を回せた。少しずつ依頼が増え、流れが変わっていった。

年齢よりも、始めることが大事

マルコスは、50歳を超えてからでも前向きに起業できると感じている。若い方が学ぶスピードが速い、と言われることはある。だが本当に大事なのは、自分を止めないことだと考えた。

起業家の平均年齢は思われているより高い、という調査結果も知った。若い起業家は目立つ。だが実際は40代半ばで始める人も多い。成功する起業家の年齢の目安が50歳前後という話もあり、マルコスは驚いたという。

さらにマルコスはこう考える。経験年数が長いことより、同じ経験をただ繰り返していないかが重要だ。業界にもっと価値を足せると思ったなら、先延ばしにせず作り始めるべきだ。

これからの成長に向けて

The Faculty Clubの公開から1年。マルコスは、教育者と企業が出会える場を作れた手応えを感じている。

ただ、業界の仕組みをもっと開かれたものにするには、さらに成長が必要になる。人を雇い、作業を自動化し、規模を広げる準備が欠かせない。

売上目標も上方修正した。一定のラインを超えたことで、次はもっと大きな成長を目指す段階に入った。

今は、顧客との会話、記事作成、営業など、多くが手作業で時間を取られる。そこを仕組み化し、教育者の支援により多くの時間を使いたい。

発信を専門にする担当者を迎えることも考えている。利用開始時の説明を動画で用意する案もある。さらに、データをもとに相性のよい組み合わせを提案できれば、マルコスが1人ずつ推薦しなくても、マッチングが進む。

起業でいちばん高い壁は、始めることだと言われる。マルコスは経験不足を理由に止まらず、業界を良くするための場を形にした。年齢に関係なく、必要だと思う変化を作りにいく。その姿勢が、この物語のいちばんの核になる。