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2021年2月、中学の親友に電話した。未完成のサービスが5社に「使いたい」と言われるまで

ビジネス概要

事業タイプ

Agency

フェーズ

成長期

どんな事業?

マーケティングの判断・企画に集中したい企業向けに、フィリピンなど海外から厳選した上位人材をチームとして月額契約で提供し、動画編集、文章の下書き、メール更新など、手間はかかるが高度すぎない作業を代行するサービス。

💰 いくら儲かった?

立ち上げから約100日後にはアメリカ側の正社員を雇う前の少人数体制で大きな売上を達成し、利用開始まで半年待ちの状態になった。具体的な金額は不明。

💡 成功の気づき × 打ち手
1
気づき

投資先や周囲の会社を観察すると、多くの企業がマーケの作業をすべて社内で抱え込んでおり、本来3か月かかる作業を海外委託メンバーを使えば1か月以内で進められるのに、その選択肢を持っていなかった。

打ち手

海外の優秀な人材を採用・育成し、企業のマーケチームに月額契約で組み込める仕組みを構築した。職種を広げず「マーケティング作業」に絞ることで質を担保した。

2
気づき

最初の採用で必須条件を盛り込みすぎた結果、候補者がほとんど見つからなかった。実際には画像作成などはツールで短期間に習得可能であり、「絶対に必要な条件」と「あると助かる条件」を分ければ候補者の幅が大きく広がると気づいた。

打ち手

採用基準を再設計し、大学卒+複数回の試験・面接を約2週間で完了するプロセスに整えた。常時採用パイプラインを動かし、必要になる前から候補者とつながっておく体制にした。

3
気づき

有名な発信者兼経営者のチーム作りを手伝ったところ、ニュースレターやSNSで紹介され申し込みが急増した。サービスが完成する前でもジェシーの既存の人脈に電話するだけで1日で5社が契約を希望するなど、実績と人脈による信頼が初期の顧客獲得を加速させた。

打ち手

サービス完成前から既存人脈への直接電話で初期顧客を獲得し、有名人物の案件実績をてこにして認知を一気に拡大。結果、利用開始まで半年待ちの状態を作った。

社内だけでマーケを回そうとすると、なぜかいつも手が足りない。判断や企画を進めたいのに、動画編集や文章の下書き、メール更新といった作業に時間を吸い取られていく。そんな実感を持つ人は多いはずだ。

2021年2月、マーケティングの世界を走ってきたジェシーは、その「遅さ」を解決する構想を形にするため、中学時代からの親友に一本の電話をかけた。サービスはまだ完成していない。けれど、その電話をきっかけに、世界中の人材でマーケを加速させる仕組みが動き出す。

経験も肩書きも十分とは言えない状態から、どうやって信頼される体制を作り、申し込みが殺到するサービスへと育てていったのか。その道筋には、採用と時間の使い方に関する、意外なほど実務的なヒントが詰まっている。

中学の親友への一本の電話から始まった

2021年2月。起業家としてマーケティングの世界を走ってきたジェシーは、一本の電話をかけた。相手は中学時代からの親友、アドリアンだ。

ジェシーの頭には、何年も前から温めてきた構想があった。海外の優秀な人材を集めて、成長したい会社のマーケティングを速く回す——そんな新しい形のサービスだ。

ただし、アイデアだけでは会社は立たない。採用と育成に強く、信頼できる相棒が必要だった。ジェシーが思い浮かべたのが、アドリアンだった。

アドリアンは投資会社で、人を集めて育てる仕事を長くやっていた。子どもが生まれたばかりで、生活のリズムも変わる時期だった。保育の仕事に転じることも考えたが、条件が合わず踏み切れなかった。何か別の道がある気がしていた。

そこにジェシーの電話が来た。アドリアンは10日ほど悩み、共同創業者として飛び込むことを決めた。

マーケの経験も経営の経験もほとんどない。それでもアドリアンは代表として前に立つ役を引き受け、ジェシーは助言役に回って裏から支えた。

社内だけで行うほど、マーケティングは遅くなる

ジェシーは大学卒業後、金融やコンサルの会社で働いた。その後、マーケティング支援の会社を仲間と共同で立ち上げ、成長させた経験がある。

得意としていたのは、広告費を大量に使わずに伸ばすマーケだ。検索で見つけてもらう工夫をしたり、SNSや紹介でじわじわ信頼を積み上げたりして、時間をかけて売上や問い合わせを増やしていく。

やがてジェシーは、家族との時間を増やすために前線の役割を変えた。投資もするようになり、さまざまな会社の話を聞く機会が増えた。

そのとき、同じ光景を何度も見た。多くの会社が、マーケの仕事を「社内の人だけ」で全部回そうとしていたのだ。

ジェシーには、それが非常に遅く見えた。社内チームが3か月かけて行う作業を、以前の自分のチームなら1か月以内で進められることが多かった。

理由はシンプルだ。本来は判断や企画に時間を使うべき人が、動画編集や文章の下書き、メール更新のような手作業まで抱え込んでしまう。結果、全体が詰まる。

ジェシーの以前の会社では、手間はかかるが難しすぎない作業をフィリピンなど海外の業務委託メンバーに任せていた。ところが多くの会社は、その作業も社内で抱えていた。

そこでジェシーは考えた。海外人材を集めて育て、会社に合う形でチームとしてすぐ動けるようにする。月ごとの契約で使えるサービスにする。ただ、採用の専門性が足りない。だからアドリアンが必要だった。

サービスが完成する前に、まず顧客を獲得しに行った

アドリアンが参加を決めると、2人はすぐに動いた。

まずジェシーがつながっている会社を一覧にして、片っ端から電話をかけた。まだサービスは形になっていない。ほぼアイデアだけ。それでも1日で5社が「使いたい」と言った。

最初の契約が決まった瞬間、アドリアンは採用を始めた。海外での採用ルートづくりにはジェシーのつながりも活用しながら、「教えて育てる仕組み」を組み立てていった。

その仕組みは自分たちの会社にもそのまま使った。最初の社員も同じ方法で採用し、今もそのやり方が土台になっている。

採用は、必要になってからやると遅い

アドリアンの考えははっきりしていた。採用は「人が足りない」と気づいてから慌ててやるものではなく、普段から少しずつ続けるものだ。

募集していない時期でも人とつながっておけば、いざ必要になったときに早く良い人にたどり着ける。

一方で、最初の採用は時間をかけすぎたとも振り返る。最初は必須条件を盛り込みすぎて、候補者が見つからなかった。

仕事を理解していくうちに、「絶対に必要な条件」と「あると助かる条件」を分けられるようになった。

たとえば、メールやSNSに載せる簡単な画像づくり。今は使いやすいツールがあり、少し練習すれば多くの人が対応できる。最初から「デザインの専門職レベルもできる人」を必須にすると、候補者は一気に減る。そこに気づいてから、紹介のスピードが上がった。

国をまたいで働くのが当たり前になり、追い風が吹いた

サービスを使った会社の反応は良かった。ジェシーが以前の会社で似た形を長く運用していたため、やり方に再現性があった。

さらに世の中の流れも味方した。在宅勤務が広がり、国をまたいで仕事を進めるのが普通になっていった。海外の人材を活用したい会社が増えた。

2人の強みも噛み合っていた。ジェシーには経験と人脈がある。アドリアンには採用と育成の力がある。そして、何でも屋にはならなかった。「全部の職種をそろえる」とは言わず、マーケティングに絞り、その分だけ質を上げた。

有名な発信者のチーム作りを手伝い、一気に広がった

あるとき、有名な発信者であり経営者でもある人物のチーム作りを手伝う機会が来た。それがきっかけでニュースレターなどで紹介され、名前が一気に広まった。

ジェシーの投稿も拡散し、申し込みが急増した。気づけば、利用開始まで半年待ちの状態になっていた。

立ち上げから約100日後には、少人数の体制でも大きな売上を作れたと発信し、有名企業も使っていることが知られるようになっていった。

「上位の人材だけ」を本気でやると、選び方が変わる

海外の人材に仕事を頼むこと自体は珍しくない。だがこの会社は、「上位の人材だけを紹介する」を前面に出した。

応募は毎週たくさん集まる。仕事探しサイト、SNS、紹介、広告と入り口は多い。

採用されるには、大学卒であることに加え、短い試験と面接を通る必要がある。しかも一回で終わらない。複数回の試験と面接で、仕事の力だけでなく、一緒に働く上での相性も見る。

全体の流れは約2週間で終わるように整えた。速さと厳しさを両立させるための工夫だ。

任せるのが不安なときほど、先に時間を確保する

アドリアンは初めて代表になったタイプとしては珍しく、時間の使い方を強く意識していた。家族との時間を守るためにも、仕事を抱え込みすぎない。

人が仕事を手放せないのは、能力の問題というより不安の問題であることが多い。不安に駆られて動くと、会社の運営はうまくいかなくなる。

だからアドリアンは、必要になる前に補助役を雇い、先に自分の時間を空けるべきだと考えた。時間は一番大切な資源だからだ。

会社の形も、社内の少人数だけで回す形にしなかった。アメリカ側の正社員は少人数にして、世界中の業務委託メンバーが大きく支える。アメリカ側の正社員を初めて雇う前から、すでに大きな売上を作っていた。

国境を越える働き方が普通になれば、助けが必要な仕事は増える

2人は確信している。これからの仕事は、国境を越えて進むのが当たり前になる。

どの会社のどの部署にも、時間がかかる手作業や後回しになりがちな作業がある。そこを支える人材がいれば、社内の人はもっと大事な仕事に集中できる。

ジェシーの構想とアドリアンの実行力は、そこに向かってまっすぐ進んでいる。中学の親友への一本の電話が、そのスタートだった。


3層インサイト

2021年2月、ジェシーは中学時代からの親友アドリアンに電話し、海外人材でマーケを加速させるサービス構想を話した。
アドリアンは投資会社で人を集めて育てる仕事を長く行っており、電話後に約10日悩んで共同創業者として参加を決めた。
アドリアンはマーケ経験と経営経験がほとんどない状態で代表として前に立ち、ジェシーは助言役に回った。
ジェシーは、多くの会社がマーケ業務を社内の人だけで回しており遅いと感じ、社内チームが3か月かける作業を以前の自分のチームなら1か月以内で進められることが多かったと述べている。
ジェシーの以前の会社では、動画編集や文章下書き、メール更新のような手間はかかるが難しすぎない作業をフィリピンなど海外の業務委託メンバーに任せていた。

サービスが未完成でも、既存ネットワークへの直接ヒアリングで需要を素早く検証できる。

根拠

-サービスが完成していない段階で、ジェシーはつながりのある会社を一覧化して電話し、1日で5社が「使いたい」と回答した。

-2021年2月、ジェシーは中学時代からの親友アドリアンに電話し、海外人材でマーケを加速させるサービス構想を話した。

社内の意思決定者が手作業まで抱えると全体の処理速度が落ち、分業・外部活用で速度差が生まれる。

根拠

-ジェシーは、多くの会社がマーケ業務を社内の人だけで回しており遅いと感じ、社内チームが3か月かける作業を以前の自分のチームなら1か月以内で進められることが多かったと述べている。

-ジェシーの以前の会社では、動画編集や文章下書き、メール更新のような手間はかかるが難しすぎない作業をフィリピンなど海外の業務委託メンバーに任せていた。

採用は必要になってから始めると遅れやすく、常時の接点づくりと採用設計の改善が調達速度を上げる。

根拠

-最初の契約が決まった直後にアドリアンは採用を開始し、海外での採用ルートづくりと「教えて育てる仕組み」を構築した。

-初期の採用では必須条件を盛り込みすぎて候補者が見つからず、その後「絶対に必要な条件」と「あると助かる条件」を分けるようになり紹介スピードが上がった。

選考の厳しさと処理スピードは両立でき、短期間で完結する多段選考により品質基準を維持しながら採用を回せる。

根拠

-採用プロセスは大学卒を条件に短い試験と面接を複数回実施し、全体を約2週間で終えるように整えた。

影響力のある事例(著名な顧客・案件)を獲得すると、紹介・拡散を通じて需要が急増しやすい。

根拠

-有名な発信者兼経営者のチーム作りを手伝ったことをきっかけに紹介が広がり、申し込みが急増して利用開始まで半年待ちになった。

新規サービスの需要があるか不明で、開発前に確度を上げたい

1既存の接点(過去顧客・知人企業)を一覧化し、短時間の電話や面談で課題と支払い意思を確認する。
2未完成であることを明示した上で、何を提供するか・どんな形で使えるか・いくらくらいかの仮説を伝え、使いたいかどうかを記録する。
3利用意思が得られた先から優先順位を付け、最初の契約条件と提供範囲を最小単位で確定させる。

意思決定者が実務作業に追われ、マーケや企画のスピードが落ちている

1業務を「判断・企画」と「手作業」に分け、手作業の一覧(動画編集、下書き、更新など)を書き出す。
2手作業のうち難易度が高くないものから外部・委託・分業に切り出し、担当者の稼働を意思決定側に戻す。
3切り出した作業は手順書と成果物の定義をセットで用意し、再現可能な運用単位にする。

採用が遅く、必要な時に人が集まらない/候補者が見つからない

1募集の有無に関わらず、候補者との接点づくり(紹介依頼、コミュニティ参加、情報発信など)を継続タスク化する。
2募集要件を「必須」と「あれば良い」に分け、必須条件を最小化して母集団を確保する。
3短い試験と複数回面談などの多段選考を、全体が短期間で終わるように設計し、品質基準と採用スピードを両立させる。

成長加速のために信頼を一気に獲得したいが、認知が弱い

1影響力のある顧客・案件を特定し、限定的な支援範囲で実績を作る提案を行う。
2成功事例を第三者が紹介しやすい形(要点、成果、再現手順)に整理し、紹介・転載されやすい流れを作る。
3事例公開の可否と範囲を契約時に取り決め、公開可能な実績を継続的に積み上げる。