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元投資会社員が 「わざと売り切れを作る」で 来場者2000人イベント即完売。 毎日注文が入る仕組みの全手口

8 min read2026年3月1日
元投資会社員が 「わざと売り切れを作る」で 来場者2000人イベント即完売。 毎日注文が入る仕組みの全手口

ビジネス概要

事業タイプ

Other

フェーズ

立ち上げ期

規模感

来場者2000人以上のイベントで昼に完売

概要

調理済みのバーベキュー肉(リブなど)を箱詰めして自宅に配送する肉のネット販売。

ターゲット

個人向けに手軽に本格的なバーベキュー料理を楽しみたい都市部在住の30〜50代の食に関心の高い消費者

主な打ち手

動画・写真の広告を複数パターン用意して反応の良いものに絞り込み、メールをテンプレ化して購入後押しを仕組みにした。

ストーリーの流れ

Insight

時間のかかるバーベキューを手軽に食べられる形で届ければ価値が出ると気づいた。

  • ブリスケットやリブはおいしいが作るのに何時間もかかり煙の管理も必要で途中であきらめる人が多いと捉えた。
Problem

肉のネット販売は保管と配送と宣伝の難易度が高く利益も出にくい不安があった。

  • 肉は重く保冷材や容器も必要で早い配送が求められ配送費が最大の課題になった。
  • 最初の数か月は利益が出ない可能性を織り込み耐えられる範囲を計算した。
Action

2022年9月ごろ会社員を辞めて肉のネット販売に踏み出した。

2022年9月ごろ本格始動時期
  • 投資の仕事で成功しているビジネスの共通点を見てきた視点を自分の事業に使いたくなった。
  • コロナ禍で食料品の宅配が広がり傷みやすいものもネットで買う人が増えた流れを機会と捉えた。
Action

正式スタート前に予約販売で需要と売上の手応えを確かめた。

  • 食品は長く置けず最初からある程度の注文がないと作った分が無駄になるため先に注文を集めた。
  • 製造・保管・配送の相談を進めソースのレシピも作り込んだ。
  • 知人の力を借りてサイトを作り宣伝のやり方も学んだ。
Action

まず食べてもらうため秋の週末にスポーツバーの近くで出店して試食を行った。

  • 屋台のような形でリブを焼きうまさを体験してもらうことを優先した。
  • 人件費を増やさないためできる限り自分で作業する方針を取った。
Growth

2022年10月の大型イベントで早々に完売し売り切れが話題と次の売上のタネになると学んだ。

2000人以上イベント来場者数
  • ブルックリンの海兵隊基地のイベントは来場者が2000人以上で食べ物の店が少なく昼の時間帯に一気に売れた。
  • 買えた人が周りに話し買えなかった人が次を待つ構図が生まれると捉えた。
Team

宣伝では小さくて勢いのあるマーケティング会社と組み広告運用を前に進めた。

  • 動画や写真をまとめて撮影し広告を複数パターン用意して反応が良い層に合わせて内容を変えた。
  • 大きな会社に高い固定費を払うよりスタートアップ同士で進む関係を選んだ。
Monetize

個人向け中心の想定を見直し店向けのまとめ買いで広告費を生む循環を構想した。

  • バーが20〜30セットまとめ買いしてくれればその利益を広告費に回せると考えた。
  • 広告でネット注文が増えネットが伸びればまた店向けも強くなる循環を狙った。
Action

年末需要に向けて11月半ばから広告を強めメールで購入を後押しする計画を立てた。

  • ギフト需要を見込み特典を付ける案も検討した。
Growth

11月18日から広告を出してサイト訪問が増え売上も伸びた。

11月18日広告開始日
  • どの動画が刺さるかを見て弱い広告を止め強い広告に集中する運用を徹底した。
  • 12月に入ると注文が跳ねる日も出てきた。
Action

季節施策の遅れを反省し撮影を1か月前倒しするカレンダーを作った。

  • 動画は編集に時間がかかりクリスマス向けの撮影が遅れて本番に間に合いにくかった。
  • 年末年始や大きなスポーツイベントに合わせ前倒しで準備する方針に変えた。
Scale

メールをテンプレート化して自動化し運用の手間を減らした。

  • 新規登録者への案内やカート放棄への通知や確認メールの改善や感想依頼を場面ごとに用意した。
  • 登録者数も短期間で増え次の新商品を知らせる土台ができた。
Action

次の商品候補をブリスケットかプルドチキンに絞りメールやSNSで意見を集めて決めることにした。

  • チキンは価格を抑えやすく用途が広く買う回数が増える可能性があると整理した。
  • ブリスケットは作る面倒を強く解決できるが価格は上がりやすいと比較した。
Growth

賞金付きコンテストで優勝は逃したが紹介による宣伝効果で売上が伸びた週もあった。

  • 最終候補まで残り広告費や新商品準備に使える資金を期待していたため落胆も大きかった。
  • 負けでも次につながる材料が残ると捉え直した。
F
Focus

厨房運営まで任せたい提案を断りレストラン運営ではなく肉を売る事業に集中する判断をした。

  • 店向け販売の提案を進める中で複数の店を運営する人物につながり試食の結果として話が広がった。
  • やることを増やしすぎればどれも中途半端になるため目的に戻って卸売りの可能性を探る方向に切り替えた。
Growth

ポップアップ中心で売上が不安定だった状態から広告で毎日注文が入る形へ変わり始めた。

  • 次の勝負として広告とメールの仕組みを整えることと新商品の投入を当てることと店向け販売を広げることを掲げた。
  • 小さな失敗や想定外を次の成長の材料に変えられるかが焦点になった。

時間のかかるバーベキューを、もっと手軽に食べられないか。そんな素朴な疑問から、アンドリューの挑戦は始まった。

ただ、肉を焼いて届けるのは簡単ではない。保管も配送も難しく、宣伝も必要だ。最初の数か月は利益が出ないかもしれない不安もある。それでも彼は、会社員の仕事を辞めて「肉のネット販売」に踏み出した。

ポップアップ中心で売上が不安定だった状態から、広告を回し、仕組みを整え、毎日注文が入る形へ。小さな失敗や想定外をどう次の成長に変えていったのか、その過程を追っていく。

焼き肉はネットで売れるのか

焼いた肉やスモークした肉を、箱に入れて家まで届ける。そんな店がアーバン・スモークハウスだ。創業者はアンドリュー・ビューラー。

始まりはシンプルな疑問だった。「時間のかかるバーベキューを、もっと手軽に食べられないか」。ブリスケットやリブはうまい。でも作るには何時間もかかる。煙の管理も必要だ。多くの人は途中であきらめる。ならば、こちらで焼き上げて、すぐ食べられる形で届ければいい。

2022年9月ごろ、アンドリューは本格的に動き出した。会社員として投資の仕事を約10年続けたあと、自分の手で「肉のネット販売」に挑戦することに決めた。

エントリー1:2022年9月 仕事を辞めて肉のネット販売を始めた理由

家の中に、料理と商売があった

アンドリューの父はプロの料理人で、食品ビジネスにも関わっていた。家には「料理の空気」と「商売の考え方」が同時にあった。肉を焼くのは特別なイベントではなく、生活の一部だった。

アンドリュー自身も学生のころから、小さな商売を試してきた。安く仕入れて売る。Tシャツを作って売る。やってみると面白い。ただ、続けて大きくするには何が必要かまでは分からなかった。

投資の仕事で身につけた「伸びる商売」の見方

社会人になってからアンドリューが選んだのは投資の世界だった。富裕層のために投資先を調べる仕事を続け、成功しているビジネスをたくさん見た。

見ているうちに、共通点が分かってきた。利益が出やすい形になっているか。繰り返し買ってもらえるか。運営が強いか。仕組みが回るか。そうした視点が、少しずつ自分の中にたまっていった。

そしてある日、その視点を「自分の事業」に使いたくなった。

コロナ禍で、買い方が変わった

コロナ禍で食料品の宅配が広がった。肉や野菜のような傷みやすいものまで、ネットで買う人が増えた。

アンドリューはそこにチャンスを見た。食品のネット販売は伸びる。しかも、バーベキューの中でも「時間がかかる料理」は、面倒で避けられやすい。ならば、調理済みで届ける価値は大きい。

いきなり本番に行かず、予約で確かめた

ただ、肉は簡単な商品ではない。保管も配送も難しい。安全に届ける仕組みが必要だ。アンドリューは製造、保管、配送の相談を進め、ソースのレシピも作り込んだ。

もう一つの壁はネットの店づくりだった。サイトと宣伝が勝負になるのに、アンドリューはデザインや広告の経験が多くなかった。そこで知人の力を借りてサイトを作り、宣伝のやり方も学んだ。

そして正式スタートの前に、予約販売をやった。先に注文を集めて、需要を確かめるためだ。食品は長く置けない。最初からある程度の注文がないと、作った分が無駄になる。予約でまとまった売上が立ち、手応えが出た。

知ってもらうには、まず食べてもらう

秋の週末、アンドリューはスポーツバーの近くで出店した。屋台のような形でリブを焼き、試食してもらう。うまさは言葉より早い。食べてもらえれば、話が進む。

ただし現実は甘くない。最大の課題は配送費だった。肉は重い。保冷材も容器もいる。しかも早い配送が求められる。送料無料にすれば注文のハードルは下がるが、その分のコストがのしかかる。将来は配送方法を工夫して、ここを下げたい。

さらに、最初の数か月は利益が出ない可能性も高い。だからアンドリューは、どれだけ耐えられるかを計算し、できる限り自分で作業して人件費を増やさない方針を取った。

エントリー2:2022年10月 わざと売り切れを作り、次の売上につなげる

売り切れは、失敗ではなく話題になる

10月、ブルックリンの海兵隊基地で大きなイベントが開かれた。来場者は2000人以上。食べ物の店は少ない。アンドリューは多めに用意して出店した。

結果は、昼の時間帯に一気に売れて早々に完売。最初は「もっと用意すべきだった」と思った。

だがあとで気づく。売り切れは、宣伝になる。買えた人は周りに話す。買えなかった人は次を待つ。数をしぼると注目が集まりやすい。完売は、次の売上のタネにもなる。

同じ立場の小さな会社と組む

宣伝では、小さくて勢いのあるマーケティング会社と組んだ。大きな会社に高い固定費を払うより、同じスタートアップ同士で前に進む関係を選んだ。

動画や写真をまとめて撮影し、広告を複数パターン用意する。反応が良い層に合わせて内容を変え、効率よく注文を増やす。やることは地味だが、ここがネット販売の強さになる。

最初の計画にしばられない

当初の想定はこうだった。まず個人向けに売る。将来は大手の取引先へ広げる。

ところが毎週スポーツバー近くで売っているうちに、別の道が見えてきた。近所の店にまとめて売る方法だ。バーが20〜30セットまとめ買いしてくれれば、その利益を広告費に回せる。広告でネット注文が増える。ネットが伸びればまた店向けも強くなる。個人向けと店向けが回り始める循環が作れる。

計画は変えていい。むしろ変えられるほうが強い。アンドリューはそう考えるようになった。

年末に向けて、仕掛けを作る

11月半ばから広告を強め、メールでも購入を後押しする仕組みを整える計画を立てた。年末はギフト需要もある。特典を付ける案も検討した。

エントリー3:2022年11月 小さな負けから次の勝ちを作る

広告で人が来る。売上も動く

11月18日から広告を出すと、サイトへの訪問が増え、売上も伸びた。12月に入ると、注文が跳ねる日も出てきた。

アンドリューがやったのは、当たり前のことを徹底することだった。どの動画が刺さるかを見る。弱い広告は止める。強い広告に集中する。それだけで数字が変わる。

季節の撮影は「早すぎる」くらいでいい

一方で反省もあった。動画は撮ってすぐ使えるわけではない。編集に時間がかかる。クリスマス向けの撮影が遅れ、使えるころには本番が近すぎた。

そこでアンドリューは決めた。「1か月前に撮る」カレンダーを作る。年末年始や大きなスポーツイベントに合わせて、前倒しで準備する。

メールを仕組みにして、手間を減らす

注文確認だけだったメールも、テンプレートを作って自動化する方向に変えた。

新規登録者への案内。カートに入れたままの人への通知。確認メールの改善。感想の依頼。場面ごとに用意する。登録者数も短期間で増え、次の新商品を知らせる土台ができた。

次の商品は、何を選ぶ

リブだけでは足りない。次の商品も出したい。候補はブリスケットかプルドチキン。

チキンは価格を抑えやすい。サラダやサンドにも使える。買う回数が増える可能性がある。ブリスケットは作るのが特に大変だから、「自分で作る面倒」を強く解決できる。ただし価格は上がりやすい。

どちらが求められているか。アンドリューはメールやSNSで意見を集めて決めることにした。

コンテストに負けても、何も失わないとは限らない

小規模事業者向けの賞金付きコンテストにも挑戦し、最終候補まで残った。だが優勝は逃した。広告費や新商品準備に使える資金を期待していた分、落胆は大きかった。

それでも意味はあった。発表の場で紹介され、宣伝効果が出た。売上が伸びた週もあった。負けは負けで終わらない。次につながる材料が残った。

店向け販売が、予想外の広がり方をした

バーへの提案を進める中で、複数の店を運営する人物につながった。試食の結果、別の新店舗で厨房の運営まで任せたいという提案も出た。

魅力的な話に見える。だがアンドリューは断った。今はレストラン運営ではなく、「肉を売る」事業に集中したい。やることを増やしすぎれば、どれも中途半端になる。目的に戻り、店への卸売りの可能性を探る方向に切り替えた。

これからの焦点

ポップアップ中心で売上が不安定だった状態から、広告で毎日注文が入る形へ変わり始めた。

次の勝負ははっきりしている。広告とメールの仕組みを整えること。新商品の投入を当てること。店向け販売を広げること。

小さな失敗や想定外の出来事を、次の成長の材料に変えられるか。アーバン・スモークハウスの物語は、そこからが本番になる。