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家賃も払えないジーンズ事業の挫折から8年、生活のためのWebチャットが会社売却に変わるまで

9 min read2026年5月22日
家賃も払えないジーンズ事業の挫折から8年、生活のためのWebチャットが会社売却に変わるまで

ビジネス概要

事業タイプ

SaaS

フェーズ

売却後

規模感

2022年12月に、会社は従業員も含めて買収された

概要

Webサイト上のチャット・SNS・メールの問い合わせ対応を1つの画面にまとめて、返信対応の手間を減らすサービス。

ターゲット

ネット通販をする中小企業のカスタマーサポート担当者

主な打ち手

旧事業の顧客メールリストに無料トライアルを案内し、チャット画面にサービス名リンクを表示して流入を増やした。

ストーリーの流れをザッとつかむ

事業の転機をタイムラインで一気読み

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6年間続けた事業が行き詰まり、損失がふくらんで家賃の支払いさえ危うくなる。そんな状況から次の一手を探すしかなかった起業家がいる。

理想を抱いて始めた挑戦が壁にぶつかったとき、何を手放し、何を手元に残すのか。過去の失敗や、当時「困っていたこと」そのものが、次の事業の種になることもある。

ロシア出身のヤーコフ・カルダは、ジーンズ事業の挫折を経て、生活のために作ったWebチャットのサービスを育て、やがて会社ごと売却した。そこに至るまでの選択と試行錯誤を追う。

世界を変える前に、まず家賃を払わなければならなかった

大きな発明や成功は、かっこいい計画から生まれるとは限らない。失敗が次の道を開くこともある。

ロシア出身の起業家ヤーコフ・カルダもその一人だ。のちにWebチャットのサービスを作り、会社ごと売却する。だがその前に、6年かけたジーンズ事業で大きくつまずき、何千ドルもの損失を出していた。

しかもそのジーンズ事業は、ヤーコフが5年間学んだ分子生物学とはまったく別の分野だった。遠回りに見える選択の積み重ねが、次の仕事の材料になっていく。

商売も理科の実験のように仮説から始まる

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Photo by Slidebean on Unsplash

ヤーコフは1990年代後半のロシアで育った。国の仕組みが大きく変わり、多くの人の生活が揺れた時代だ。

身近な手本は義理の父だった。技術者として工場で働いていたが、時代の変化で工場が苦しくなる。生き残るために自ら商売を始めるしかなかった。ヤーコフは、環境が変わったときに自分で道を切り開く姿を見て育った。

大学では分子生物学を学んだ。しかし研究者として生きる未来がしっくりこなくなった。努力しても生活が安定しにくく、休みの日も働くことが多い。それでも報われないことがある。ヤーコフは、もっと自由に働いてちゃんと稼げる道を選びたかった。

ただ、理科で培った考え方は捨てたわけじゃない。仮の答えを立て、試し、結果を見る。この流れは事業でも同じだとヤーコフは考えた。

当時の妻も同じ分野の学生だった。二人で話し合い、イタリアへ渡る。妻はデザインを学び、ヤーコフはファッションの売り方を学んだ。

パソコンをカスタムできるなら、ジーンズもできるはずだ

イタリアに移ってから、ヤーコフはあるパソコン会社の仕組みを知る。買う前に部品を選んで注文できるというものだ。

当時のネットでは「自分らしさ」が流行していた。ヤーコフはその考え方をファッションに持ち込みたいと思った。

運も味方した。ヤーコフが通った学校の責任者が、ジーンズで有名な会社の元幹部だった。そのつながりを頼りに仲間を集め、幼なじみをシステム担当の共同経営者に、インドで生産を担当する仲間も加えた。

こうして「ネット上でジーンズを自分好みに選んで注文できる」事業が始まった。

6年やって気づいたのは、みんなが欲しいのは「細かい選択」じゃなかった

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Photo by Daniel Dan on Unsplash

ヤーコフたちは6年間、利益が出る形にしようと粘り続けた。専用サイトに約1,500万円($100,000、約1,500万円)を投じたこともある。

しかし結果は厳しかった。パソコンなら細かく選びたい人が多い。でもジーンズをそこまで細かく選びたい人は、思ったより少なかった。

広がり方の予想も外れた。自分でデザインしたジーンズをSNSで見せれば、友人が興味を持って広がる。そう考えていた。ところが実際には、注文したことをわざわざ人に言いたがらない人が多い。結局、広告に頼るしかなくなり、広告費がどんどん上がった。

価格の面でも苦しかった。インドで作る標準モデルは$99(約1万5,000円)。アメリカや日本で手作りされる高級ジーンズほどの魅力は出しにくい。一方で、有名ブランドの大量生産品の安さとも戦えない。真ん中に挟まれて、選ばれにくい場所にいた。

売り方をいろいろ試しても、使ったお金に見合う伸びは出なかった。

2014年、事業づくりの本を読んだヤーコフは、自分たちが袋小路に入り込んでいると気づく。利用者は少しいるのに大きく伸びず、お金だけが減っていく。

2015年1月、共同経営者と生産の仲間に連絡し、事業を終わらせる決断をした。損失は大きく、家賃の支払いさえ危なかった。

次の仕事は「理想」じゃなく「生活」から始まった

ジーンズ事業が終わったあと、ヤーコフと共同経営者には急ぎの課題があった。生活費を稼ぐことだ。

ヤーコフはイスラエルのテルアビブに移ったばかりで、新しい生活を立て直そうとしていた。そんなとき、前の事業でいつも困っていたことを思い出す。

利用者からの問い合わせに対応するチャット機能が、当時は古くて使いにくかった。ページを更新すると会話が消えてしまう。そんな基本的な部分が弱いものも多かった。

実はジーンズ事業の中で、インドの工場とやり取りするためのメッセージ機能を自分たちで作っていた。リアルタイムで会話できる仕組みだ。ちょうどそのころ、社内連絡を便利にするチャットサービスも注目され始めていた。

ヤーコフたちは考えた。スマホで当たり前になったチャットの使いやすさを、Webサイトの中にも持ち込めないか。

こうして、Webサイトに置けるチャットと、対応する側の管理画面をセットにしたサービスを作った。見た目も操作も、当時の人が慣れてきたチャットアプリに近づけた。

狙いは「問い合わせの窓口を一本化する」ことだった。Webサイトのチャット、SNS、メール。どこから連絡が来ても同じ画面でやり取りできるようにすれば、対応の手間が減り、返事も早くなる。

5か月で作り、公開した。

昔の顧客リストが、最初の命綱になった

Github website on desktop
Photo by Luke Chesser on Unsplash

新しいサービスを広げるとき、ヤーコフには強みがあった。ジーンズ事業の利用者のメールアドレスを持っていたのだ。

しかも、ジーンズを自分で選んで作りたいと思う人たちは、Web制作などをしている人が意外と多かった。ネットのサービスに関心がある層だった。

ヤーコフたちはその人たちにメールを送り、無料で試せる案内を出した。すると2週間ほどで、有料で使い続ける人が出始めた。さらに利用者が職場の同僚に紹介し、少しずつ広がっていった。

その後、製品を紹介するサイトに登録すると注目を集め、アプリのまとめサイトでも上位に入った。上位に入ると見つけてもらいやすくなり、別の場所に出しても勢いがつきやすかった。

タイミングもよかった。同じ種類のチャットサービスはすでに存在していて、「仕事のツールも、使いやすくて見た目がいいものがいい」という意識が広がり始めていた。先行サービスが「こういうものだ」と世の中に広めてくれていたおかげで、後から出す側も受け入れてもらいやすかった。

無料ユーザーが多くても無駄にはならなかった。チャット画面の下にサービス名のリンクを表示し、そこから新しい利用者が入るようにした。表示する言葉を少し変えただけで、そのリンク経由の流入が大きく増えた。

2016年の終わりごろには収入と支出がつり合い、赤字ではなくなった。主な利用者はネット通販をする中小企業だったが、大きな組織が使う例も一部あった。

そして生活できるだけの収入が出始めたころ、思いがけず「会社を売らないか」という話が持ち上がる。

匿名の買い手からメールが届き、話が一気に進展した

サービスは伸びていた。でもヤーコフは次の伸ばし方に悩み始めていた。急激な成長は見込みにくく、打てる手も限られていた。

広告費が上がり続ける問題も重くのしかかった。資金力のある会社が広告に大金を投じると、同じ媒体で宣伝するだけでコストがかさむ。

このまま戦うなら、大企業向けの機能を増やして強い競合と正面から勝負する必要がある。そのために外部から大きなお金を集める道もある。一方で、無理に勝負せず会社を売る選択もある。

ヤーコフは売却も視野に入れ、何人かと話したが、希望する金額には届かなかった。

そんなある日、フランスの投資銀行を名乗る相手からメールが届く。買い手は匿名だが、希望金額の範囲にも納得しているという。

話が進むと、買い手はフランスの会社だった。ネット通販向けに、販売や宣伝の作業をサポートするサービスを提供している会社だ。同じ時期に複数の会社をまとめて買う計画を進めており、その一つとしてヤーコフの会社が選ばれた。

売却の手続きは早く進んだ。買収前に会社の中身を細かく確認する段階がすぐに始まり、ヤーコフは準備不足を反省することになった。買い手側が投資家から資金を集める必要があり、確認作業が二度行われたためだ。

2022年12月、会社は従業員ごと買収された。8年前に家賃を心配していた状況から、景色は大きく変わっていた。

ただし手放すのは簡単ではなかった。そのサービスは、長い時間を共に過ごした場所のような存在だった。一方で、同じことを続けるだけでは自分が止まってしまう感覚もあった。次へ進む必要を感じていた。

成功はゴールじゃない。動いた時間が次の材料になる

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Photo by Markus Winkler on Unsplash

会社を売った後の生活は、思ったより難しかった。忙しい毎日から一転してやることが減り、気持ちの整理も必要になる。ヤーコフは離婚も経験し、買い手の会社で助言役として働きながら、次に何をするか迷い続けた。

それから約2年。ヤーコフはようやく新しい仕事に向き合える状態になってきた。

生活費を稼ぐ必要に追われたからこそ、人の役に立ち、ちゃんとお金を生むサービスを作れた面がある。次はもっと大きく、誰かを助ける仕事にも挑戦したい。いまは起業する人の役に立つ情報を発信する活動も始めている。

ヤーコフが最後にたどり着いた考えはシンプルだ。成功はゴールじゃない。本気で取り組む過程にある。目の前の仕事に力を注いでいれば、遠回りに見えた経験が、いつか本当に作るべきものにつながることがある。


ストーリーの流れ

ヤーコフ・カルダ イスラエル

ロシア出身で、大学では分子生物学を5年間学んだが、研究者としての将来に納得できず、より自由に働いて稼げる道を求めた。妻とともにイタリアへ渡り、ファッションの売り方を学んだ後、ネット上でジーンズをカスタム注文できる事業を6年間運営したが失敗し、2015年に終了した。イスラエルのテルアビブに移った直後に生活費を稼ぐ必要に迫られ、過去の事業での不便をもとにWebチャットサービスを開発・成長させ、2022年12月に会社ごと売却した。

Origin

ヤーコフ・カルダは1990年代後半のロシアで育った。

  • 国の仕組みが大きく変わり、多くの人の生活が揺れた時代だった。
Origin

ヤーコフは義理の父が環境変化に合わせて商売を始める姿を見て育った。

  • 義理の父は技術者として工場で働いていたが、時代の変化で工場が苦しくなった。
Origin

ヤーコフは大学で分子生物学を学んだが研究者としての未来がしっくりこなくなった。

  • 努力しても生活が安定しにくく休みの日も働くことが多いと感じていた。
  • もっと自由に働いてちゃんと稼げる道を選びたかった。
Insight

ヤーコフは仮説を立てて試し結果を見る流れは事業でも同じだと考えた。

  • 理科で培った考え方は捨てたわけではなかった。
Action

ヤーコフは妻と話し合い、イタリアへ渡った。妻はデザインを学び、ヤーコフはファッションの売り方を学んだ。

Action

ヤーコフはネット上でジーンズを自分好みに選んで注文できる事業を始めた。

  • パソコンを買う前に部品を選んで注文できる仕組みを知ったことが発想のきっかけだった。
  • 学校の責任者がジーンズで有名な会社の元幹部だったつながりを頼りに仲間を集めた。
  • 幼なじみをシステム担当の共同経営者にし、インドで生産を担当する仲間も加えた。
Problem

ジーンズ事業は6年間続けても利益が出る形にできなかった。

約1,500万円($100,000)専用サイト投資額
  • パソコンのように細かく選びたい需要がジーンズでは想定より少なかった。
  • 注文をSNSで見せて広がる想定が外れ、広告に頼るしかなくなった。
  • 標準モデルは$99で高級ジーンズの魅力も大量生産品の安さも得られず真ん中に挟まれた。
Insight

2014年に事業づくりの本を読んだヤーコフは自分たちが袋小路に入り込んでいると気づいた。

  • 利用者は少しいるのに大きく伸びず、お金だけが減っていく状態だった。
Action

2015年1月にヤーコフは共同経営者と生産の仲間に連絡しジーンズ事業を終わらせる決断をした。

  • 損失が大きく家賃の支払いさえ危なかった。
Problem

ジーンズ事業の終了後にヤーコフと共同経営者は生活費を稼ぐ必要に迫られた。

  • ヤーコフはイスラエルのテルアビブに移ったばかりで新しい生活を立て直そうとしていた。
Insight

ヤーコフは利用者対応のチャット機能が古くて使いにくかったことを次の種として思い出した。

  • ページを更新すると会話が消えてしまうなど基本的な部分が弱いものも多かった。
  • ジーンズ事業ではインドの工場とやり取りするためのリアルタイムのメッセージ機能を自分たちで作っていた。
Action

ヤーコフたちはWebサイトに置けるチャットと対応側の管理画面をセットにしたサービスを作って公開した。

  • スマホで当たり前になったチャットの使いやすさをWebサイトの中にも持ち込む発想だった。
  • 見た目も操作も当時の人が慣れてきたチャットアプリに近づけた。
  • WebサイトのチャットやSNSやメールの問い合わせを同じ画面で扱えるようにして窓口を一本化する狙いだった。
Scale

ヤーコフはジーンズ事業の利用者メールアドレスを使い新サービスの初期拡大につなげた。

  • ジーンズを自分で選んで作りたい層にはWeb制作などネットサービスに関心がある人が意外と多かった。
  • メールで無料で試せる案内を出し利用者が職場の同僚に紹介して少しずつ広がった。
Growth

製品紹介サイトへの登録やまとめサイトでの上位入りが新サービスの露出を押し上げた。

  • 上位に入ると見つけてもらいやすくなり別の場所に出しても勢いがつきやすかった。
  • 先行サービスが市場を教育しており後から出す側も受け入れてもらいやすかった。
Monetize

無料ユーザーに表示したサービス名リンクの改善でリンク経由の流入が大きく増えた。

  • 表示する言葉を少し変えただけで流入が伸びた。
Monetize

2016年の終わりごろに収入と支出がつり合い赤字ではなくなった。

2016年の終わりごろ損益分岐到達
  • 主な利用者はネット通販をする中小企業だった。
  • 大きな組織が使う例も一部あった。
Problem

サービスが伸びる一方でヤーコフは次の伸ばし方に悩み広告費上昇も重荷になった。

  • 急激な成長は見込みにくく打てる手も限られていた。
  • 資金力のある会社が広告に大金を投じると同じ媒体での宣伝コストがかさんだ。
  • 大企業向け機能を増やして正面から勝負するか外部資金を集めるか売却するかの選択肢があった。
Scale

フランスの投資銀行を名乗る相手からの連絡をきっかけに売却交渉が一気に進展した。

  • 買い手は匿名だが希望金額の範囲にも納得しているという内容だった。
  • 買い手はネット通販向けに販売や宣伝の作業をサポートするフランスの会社だった。
  • 買い手側が投資家から資金を集める必要があり確認作業が二度行われた。
Scale

2022年12月に会社は従業員ごと買収された。

2022年12月会社売却
  • 買収前の確認作業がすぐに始まりヤーコフは準備不足を反省した。
  • サービスは長い時間を共に過ごした場所のような存在だったが次へ進む必要も感じていた。
Team

会社を売った後にヤーコフは買い手の会社で助言役として働きながら次に何をするか迷い続けた。

  • 忙しい毎日から一転してやることが減り気持ちの整理も必要になった。
  • ヤーコフは離婚も経験した。
Action

約2年を経てヤーコフは起業する人の役に立つ情報を発信する活動も始めている。

  • 生活費を稼ぐ必要に追われたことが人の役に立ちちゃんとお金を生むサービス作りにつながったと捉えている。
  • 次はもっと大きく誰かを助ける仕事にも挑戦したいと考えている。

3層インサイト

ヤーコフ・カルダは6年間ジーンズ事業を続けたが、何千ドルもの損失を出した。
ジーンズ事業では専用サイトに約$100,000(約1,500万円)を投じたことがある。
ジーンズ事業は「ネット上でジーンズを自分好みに選んで注文できる」モデルで始まった。
ジーンズ事業では、ジーンズを細かくカスタムしたい需要が想定より少なかった。
ジーンズ事業はSNSでの自然拡散を想定していたが、実際は広がらず広告依存になり広告費が上がった。

製品の価値仮説は、似た分野の成功例をそのまま使うと失敗することがあるため、顧客が本当に求める選択の細かさを確認する必要がある。

根拠

-ジーンズ事業は「ネット上でジーンズを自分好みに選んで注文できる」モデルで始まった。

-ジーンズ事業では、ジーンズを細かくカスタムしたい需要が想定より少なかった。

自然拡散を前提にした成長設計は外れることがあり、外れた場合は広告依存によるコスト上昇が事業継続リスクになる。

根拠

-ジーンズ事業はSNSでの自然拡散を想定していたが、実際は広がらず広告依存になり広告費が上がった。

価格と価値の位置づけが中途半端だと、上位(高付加価値)と下位(低価格)の双方に挟まれて選ばれにくくなる。

根拠

-インド製の標準モデル価格は$99で、高級ジーンズの魅力とも大量生産の安さとも競えず中間に位置した。

撤退判断は「利用者が少しはいるが伸びず、支出だけが増える」状態を言語化できた時に加速し、次の打ち手に時間を振り向けられる。

根拠

-2014年に事業づくりの本を読み、利用者は少しいるが伸びずお金だけが減る袋小路だと気づいた。

-2015年1月に共同経営者と生産担当の仲間へ連絡し、ジーンズ事業を終わらせる決断をした。

過去事業で自社が作った内部ツールや解決した不便は、新規事業の具体的な種になり得る。

根拠

-ジーンズ事業中にインド工場とのやり取りのためリアルタイムのメッセージ機能を自分たちで作っていた。

-ジーンズ事業終了後、Webサイトに置けるチャットと管理画面をセットにしたサービスを5か月で作って公開した。

初期の広げ方は、すでに許諾のある顧客リストや既存ユーザーへの案内を活用すると立ち上がりを早められ、収支均衡に到達しやすくなる。

根拠

-新しいサービスを広げるとき、ヤーコフにはジーンズ事業の利用者のメールアドレスという強みがあった。

-ヤーコフたちはその人たちにメールを送り無料で試せる案内を出し、2週間ほどで有料で使い続ける人が出始めた。

-2016年末ごろに収入と支出がつり合って赤字ではなくなった。

既存の成功モデルを別の分野に持ち込んで新規事業を作ろうとしているが、顧客が本当に求めているかどうかまだ確かめられていない。

1顧客が求める「選択の細かさ(どこまでカスタムしたいか)」を、購入前インタビューと試作品の選択ログで検証する。
2需要検証の段階では、選択肢を意図的に減らした版と増やした版を用意し、購入率や離脱理由を比較する。
3価値が伝わりにくい場合は、カスタム機能の追加より先に「誰のどんな課題を解くか」を1つに絞った訴求に作り替える。

SNSなどの自然拡散を想定していたが広がらず、広告依存で獲得コストが上がっている。

1拡散が起きない前提で、1件あたりの獲得コスト上限と回収期間の基準を設定し、基準を超えたチャネルは縮小する。
2既存ユーザーの利用体験の中に紹介導線を埋め込み、紹介の発生箇所・文言・表示位置を小さく変更して効果を計測する。
3広告以外の流入源として、既存顧客リストや過去の問い合わせ先など、すでに許諾のある相手に段階的な案内を送る。

価格と価値が中間に位置し、上位・下位の競合に挟まれて選ばれにくい。

1高価格帯と低価格帯のそれぞれについて、顧客が選ぶ理由と乗り換える理由を集め、勝てるポイントを1つ決める。
2中間の位置づけのまま戦わず、機能・品質・サポートのどれかを明確に強めて上位に寄せるか、提供範囲を絞って下位に寄せるかを選ぶ。
3価格を変える前に、価値が伝わる説明(利用シーン、成果指標、導入後の変化)を整備し、同一価格での成約率変化を確認する。

既存事業が伸びず資金が減り続け、次の一手として撤退・転換を検討している。

1「利用者数の伸び」「支出の増加」「改善しても伸びない」のように袋小路の条件を定義し、定期的に該当有無を判定する。
2撤退を決めた場合は、次に転用できる資産(顧客リスト、内部ツール、運用ノウハウ)を棚卸しして、新規仮説に転換する。
3新規プロダクトは最短期間で公開できる範囲に絞り、公開後の有料継続や収支均衡までの指標を先に設定する。