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大企業で潰れかけた無名エンジニアが「ペルソナだけを共通言語にした」で4,700社導入。部署の壁を壊すAIマーケの勝ち方

7 min read2026年4月10日

ビジネス概要

事業タイプ

SaaS

フェーズ

拡大期

規模感

4,700社以上が利用

概要

AIで狙うべき顧客ペルソナを特定し、その相手に刺さる発信・提案コンテンツ作成まで支援するサービス。

ターゲット

新規顧客獲得をしたい企業のマーケティング責任者

主な打ち手

調査結果を渡すだけで止まる課題に対し、ペルソナに合う発信戦略とコンテンツ生成までAIで一気通貫にした。

30秒で分かる

1元大企業の開発者が、AIペルソナで4,700社超。

サービス名はCrawlQ

営業・開発・マーケのズレを解消

2停滞の原因は「相手のズレ」だった。

開発は別の相手を想定しがち

営業は別の相手に売りがち

マーケは別の相手に発信しがち

3ペルソナを共通言語にした。

架空の1人に、根拠を集約する。

判断基準が「この人に正しいか」になる。

4AIで調べて、言葉まで作った。

検索結果や掲示板などから集める

AIエンジンAthenaで整理する

調査後のSNS投稿や営業文面も生成する。

5最初はソフトを作らず手で回した。

2019年ごろは表や手順で提供した。

2021年3月に平台として公開した。

売り場で鍛えて、機能追加と再公開を回した。

6この話の核心は「調査だけでは動けない」だ。

顧客像の合意と、次の打ち手まで。

そこまで一気通貫にすると伸びる。


ストーリーの流れ

Problem

営業・開発・マーケが別方向を向くことで、いいプロダクトでも売れない停滞が起きる。

  • 誰に向けて作り、誰に向けて売り、誰に向けて発信するのかの前提がそろわないまま努力が噛み合わない。
Insight

部署ごとに「誰に向けているのか」がズレることが失敗の根因だと見立てた。

  • 開発は別の相手を想定し、営業は別の相手に売り、マーケは別の相手に発信すると顧客のニーズを満たせない。
Insight

ペルソナを宣伝だけでなくチームの共通言語として据える方針を取った。

  • 全員が同じ人物像を共有すれば、開発も営業もマーケも「この人にとって正しいか」を基準に判断できる。
Action

想像ではなく根拠ある情報を集めてペルソナを組み立てる運用を重視した。

  • 市場の傾向を集めて行動パターンや悩み、目標、響く言葉、避けたいことまで盛り込む。
  • 会議で機能や広告の是非を感覚ではなく基準で議論できるようにした。
Action

AthenaというAIエンジンで多様な情報源からデータを収集し、ペルソナへ落とし込む仕組みを作った。

  • 検索結果・掲示板・質問サイト・特定ページ・社内資料などから学習して特徴を整理する。
Action

調査の進め方を3つに分けて、入口から特別調査まで選べる形にした。

  • AI主導で進める調査、用意された調査結果の利用、手作業の特別調査依頼を用意した。
  • 調査後は追加データを重ねて顧客像をより鮮明にしていく。
Insight

対象を絞りすぎても広すぎても収益につながりにくいというバランス課題を明確化した。

  • 狭すぎると市場が小さくなって収益が出にくくなり、広すぎると誰にも刺さらない。
Insight

調査結果だけ渡しても次の打ち手に進めない企業が多いと気づいた。

  • 調査のあとに「で、次は何をすればいい?」となるケースが多かった。
Action

調査結果から意味のつながりをAIに読ませ、コンテンツや企画を生成する機能を追加した。

  • ペルソナに合った発信戦略まで立てられるようにした。
  • SNS投稿、短い紹介文、事例記事、提案資料、営業メールなど場面ごとの伝え方をAIが支援する。
Action

いきなりソフトを作らず、手順を表やチェックリストとして提供する試作品から始めた。

  • 2019年ごろに部署の壁をなくすための手順を整理してサービスとして提供した。
  • 少人数の顧客で試し、フィードバックをもとに少しずつソフト化・自動化を進めた。
Monetize

AIによる調査・コンテンツ生成プラットフォームとして公開し、課金形態も月額へ整えた。

2021年3月プラットフォーム公開
  • 2021年3月にプラットフォームとして公開した。
  • 公開後に顧客を増やし、機能追加と再公開でさらに拡大した。
  • 収益を単発の支払いだけでなく月額課金でも伸ばす形へ整えていった。
Growth

AIで狙うべき顧客像の発掘から企画づくりまで支援するサービスは4,700社以上に使われるまで育った。

4,700社以上利用企業数
  • リモート中心の小規模チームながら着実に収益を伸ばしてきた。
Team

副業OKのパートタイム中心でチームを組み、収益に合わせて増減できる体制にした。

  • 他社の仕事や個人活動を持つことを推奨し、限られた予算で経験豊富な人材を確保しやすくした。
  • 一時期は人数を増やしたがコストが膨らみすぎたため少人数体制へ戻した。
  • 期間や条件を共有し、契約終了後の仕事探し支援や再参加の道も残した。

いいプロダクトを作っているのに、なぜか売れない。営業・開発・マーケがそれぞれ別の方向を向いてしまう。そんな停滞は、現場では珍しくありません。

CrawlQを立ち上げたハリシュ・クマールも、大企業で「部署の壁」に何度も直面してきました。誰に向けて作り、誰に向けて売り、誰に向けて発信するのか。その前提がそろわないまま動いても、努力は噛み合わない。

そこで彼が軸に据えたのが「ペルソナ」でした。宣伝のためだけでなく、チームを同じ方向へ揃えるための共通言語として。AIで「狙うべき相手像」を掘り起こし、言葉に落とし込む仕組みは、やがて4,700社以上に使われるサービスへと育っていきます。

ペルソナが、バラバラのチームを一つにした

新規顧客を獲得したいとき、マーケターはよく「ペルソナ」を作る。ペルソナとは、理想の顧客を一人の人物として描いた架空のモデルだ。何に困り、何を大切にし、どんな言葉に反応するか。そこまで想像できると、売り方や伝え方が決めやすくなる。

ただ、ペルソナの力は宣伝だけにとどまらない。

CrawlQを作ったハリシュ・クマールは、ペルソナこそが「営業」「マーケティング」「開発」を同じ方向へ向ける道具になると考えた。

CrawlQは、AIで狙うべき顧客像を見つけ、その相手に刺さるコンテンツや企画づくりまで支援するサービスとして生まれた。利用企業は4,700社以上。リモート中心の小規模チームながら、着実に収益を伸ばしてきた。

大企業で見た「部署の壁」

ハリシュは18年以上、プロダクトデザインエンジニアとして働いてきた。大企業での経験を通じて、繰り返し目にしてきた光景がある。開発チームと営業・マーケティングの間に、ほとんど会話がない状態だ。

開発は製品の内側だけを見て機能づくりに集中しやすい。売り方や伝え方の意思決定には関われないのに、売上や評価の責任だけは背負わされることもある。

一方、営業やマーケティングは市場の声を聞いているのに、それが製品づくりに反映されない。こうして部署ごとに考え方が分かれ、連携が難しくなっていく。

スタートアップが失敗するとき、「製品が悪かった」と言われがちだ。だがハリシュは、別の原因を何度も見てきた。伝え方、売り方、そしてチームの足並み。ここがそろわなければ、いい製品でも届かない。

特に危ういのは、「誰に向けているのか」が部署ごとにズレていることだ。開発は別の相手を想定し、営業は別の相手に売り、マーケは別の相手に発信する。これでは顧客のニーズを満たせない。

だからこそ必要なのは、全員が同じ人物像を共有することだ。ペルソナが共通言語になれば、開発も営業もマーケも「この人にとって正しいか」を基準に判断できるようになる。

ペルソナは「架空の一人」だが、根拠がある

ペルソナは想像だけで作るものではない。狙う市場にいる人々の傾向を集め、一人の人物としてまとめる。行動パターン、よくある悩み、目標、響く言葉、避けたいこと。こうした情報が盛り込まれる。

すると会議で、「この機能は必要か」「この広告は伝わるか」を、感覚ではなく基準で議論できるようになる。誰かの好みではなく、「この人ならどう感じるか」で判断できる。

ハリシュが目指したのは、立場が違っても同じ相手を見て動けるチームだった。見ている相手が同じなら、判断のズレは自然と減っていく。

AIで調べ、AIで伝える

CrawlQの中核には、AthenaというAIエンジンがある。人にアンケートを取る代わりに、ネット上の検索結果・掲示板・質問サイト・特定のページ・社内資料など、さまざまな情報源からデータを収集して学習する。

それらを統合し、「こういう特徴を持つ相手がいる」という形に整理して、ペルソナへと落とし込んでいく。

調査のやり方は3つ

  • AI主導で進める調査:入口の調査なら短時間で完了する
  • 用意された調査結果を使う:多くの分野でテンプレートが揃っている
  • 手作業の特別調査を依頼する:専門家が調査し、短期間で結果を届ける

調査が完了すると、収集した情報からペルソナが生成される。さらに追加データを重ねることで、顧客像をより鮮明にしていく。

ここで難しいのは、対象を絞りすぎないことだ。狭くしすぎると市場が小さくなって収益が出にくくなり、広すぎると誰にも刺さらない。CrawlQはそのバランスを見つけるところまで支援しようとした。

この分析は、現在の事業が正しい方向にあるかの確認にも、新製品のアイデア出しにも、新市場への参入判断にも活用できる。つまり「今いる顧客」と「これから狙う顧客」への理解を同時に深められる。

調査だけ渡しても、次に進めない会社が多かった

初期のCrawlQは調査が中心だった。だがハリシュはあることに気づく。調査結果を渡しても、「で、次は何をすればいい?」となる会社が多いのだ。

そこでCrawlQは、調査結果をAIに入力して意味のつながりを読み取らせ、コンテンツや企画を生成する仕組みを加えた。

調査のあと、ペルソナに合った発信戦略まで立てられるようにする。SNS投稿、短い紹介文、事例記事、提案資料、営業メール。場面ごとの「伝え方」を作るところまで、AIがサポートする。

いきなりソフトを作らず、まず手でやった

ハリシュは最初からソフトウェアを作り始めたわけではない。2019年ごろ、部署の壁をなくすための手順を整理し、表やチェックリスト、作業フローとしてまとめてサービスとして提供していた。これが最初の試作品になった。

まず少人数の顧客で試して本当に役立つかを確かめ、そこで得たフィードバックをもとに少しずつソフト化・自動化を進めた。時間をかけて形を整え、別の顧客でも試しながら改善を続けた。

そして「調査結果を見たあと、どう動けばいいか分からない」という課題が浮かび上がったことで、相手の心理や興味に合わせたコンテンツ生成の自動化にも力を広げていった。

売り場で鍛えられ、作り直した

2021年3月、CrawlQはAIによる調査・コンテンツ生成プラットフォームとして公開された。最初は、多くのユーザーが集まりやすい販売の場で試した。短期間で一気に利用者が増える一方、目的がバラバラな人も集まるため、狙う市場にまっすぐ届けるのが難しい面もあった。

その場では複数のツールを同時に使うユーザーも多く、継続利用を促すのは簡単ではない。ただ、新しい技術に慣れたユーザーが多く、細かい不具合にも理解があり、改善のフィードバックも集まりやすかった。

厳しい環境ではあったが、製品を強化する材料が豊富に手に入った。

公開後の短期間で顧客を増やし、機能追加と再公開でさらに拡大。収益も、単発の支払いだけでなく月額課金でも伸ばす形へと整えていった。

副業OKのパートタイムでチームを作った

CrawlQは少人数でスタートし、収益に合わせて人を増やしてきた。ここでもハリシュは独自の方針を取った。メンバーには他社の仕事や個人の活動を持つことを推奨し、CrawlQの業務はパートタイム中心にしたのだ。

こうすることで生活の不安が減り、会社側も限られた予算で経験豊富な人材を確保しやすくなる。メンバーも、自分の仕事が成長に直結する実感を持ちやすい。

ある時期には人数を増やして改善スピードを上げたが、コストが膨らみすぎたため、のちに少人数体制へ戻した。

ただし、急に切り捨てるやり方はしなかった。最初から期間や条件を共有し、契約終了後は次の仕事探しも支援する。会社が次のフェーズへ進んだ際に戻れるよう、再参加の道も残した。

状況に応じてチームを拡縮できることは、長く続けるための強みになる。大人数でなくても、少人数で大きな成果は出せる。

CrawlQは、部署の壁を壊し、理想の顧客を見つけ、伝わる言葉を生み出す。その支援をAIで広げながら、次の成長を狙い続けている。