記事一覧に戻る

無名の21歳起業家が「最初の顧客を1か月タダで回す」で年1億9,000万円。社長の発信を資産化する勝ち方

7 min read2026年4月11日
無名の21歳起業家が「最初の顧客を1か月タダで回す」で年1億9,000万円。社長の発信を資産化する勝ち方

ビジネス概要

事業タイプ

Agency

フェーズ

拡大期

規模感

年間の継続売上は約1億9,000万円(130万ドル)

概要

CEOや創業者のSNS発信を設計・運用し、信頼形成を通じて「この人から買いたい/この会社で働きたい」状態を作る支援を提供する。

ターゲット

SNSで信頼を築きたい企業のCEO・創業者

主な打ち手

最初の顧客に1か月無料でSNS運用を提供し、満足した推薦コメントを実績として公開して次の見込み客の獲得に使った。

30秒で分かる

1ひとり創業が年商1億9,000万円。

イギリスのひとり創業者が始めた会社が、社員16人まで成長した。

2狙いは「忙しい社長のSNS」。

SNSをやりたい経営者は多い

でも運用する時間がない

前職のスタートアップ破綻で需要を確信した。

3作ったのは「社長の発信支援」。

投稿の方針づくり

データ分析

写真撮影

デザイン

文章づくり

発信を会社の信頼と採用に変えた。

4最初の受注は1か月無料。

満足したら推薦コメントをもらう条件にした。

貯金約19万円を入れて外注し、実績を作った。

5推薦コメントで有料契約に進んだ。

無料実績を見せて信頼を積み上げた。

初の有料顧客は月約8万円、3か月契約だった。

6この話の核心は「信用の見える化」。

最初は無料でも実績と推薦を形にした。

それが次の顧客獲得を連れてきた。


ストーリーの流れ

Growth

ひとり創業のWOAWは社員16人、年間の継続売上が約1億9,000万円規模まで成長した。

社員16人組織規模
年間の継続売上は約1億9,000万円(130万ドル)継続売上規模
  • ジョーが21歳で立ち上げたWOAWはイギリスを拠点にCEOや創業者のSNS発信を支援する会社である。
Insight

ジョーは才能の差よりやり方と粘りの差が結果を分けると学んだ。

  • 周囲から「たいしたことはできない」と見られていた時期があった。
Insight

大学でのYouTube運営で、人に覚えてもらい信用され続けるための感覚を掴んだ。

フォロワーは2万人を超えフォロワー規模
再生回数は200万回以上視聴実績
  • 学生生活をテーマにしたチャンネル運営を通じて動画編集以外の学びを得た。
Problem

SNSマーケのスタートアップは納品の仕組みが弱く半年ほどで資金が尽きてジョーは職を失った。

  • 営業力はあるものの納品が弱いという構造が失敗の要因として見えた。
Insight

忙しくて時間がない経営者が多いからSNS運用をサービスとして提供する仕事は成立すると確信した。

  • SNSに取り組みたいニーズ自体は強いと捉えた。
Action

2018年1月にジョーはWOAWをひとりで立ち上げた。

2018年1月創業時点
  • 創業時はジョーひとりで事業を始めた。
Action

WOAWは創業者やCEOの個人ブランドを会社の資産として育てる支援を提供した。

  • SNSでファンや読者のコミュニティを作り信頼を積み上げる方針である。
  • 投稿方針づくりやデータ分析、写真撮影、デザイン、文章づくりまで支援範囲は広い。
Problem

起業直後のジョーは顧客獲得から納品の仕組みづくりまで全てを抱え込み精神的にきつかった。

  • ロンドン中心部のコワーキングスペースを回り人に会いながら顧客を探す日々だった。
  • 当時は「個人ブランド」という言葉が一般的ではなく必要性の説明から始める必要があった。
Monetize

最初の顧客は1か月無料で運用し満足したら推薦コメントをもらう設計にした。

  • YouTubeの実績だけでは仕事がすぐ取れない現実を受けて発想を切り替えた。
  • 推薦コメントを実績として公開し次の見込み客に提示する流れを作った。
Action

貯金から約19万円を会社に入れてフリーランスのライターやデザイナーに支払い最初の案件を形にした。

  • 外部人材を使って納品の品質を担保した。
Growth

推薦コメントを実績として示しながら信頼を少しずつ積み重ねた。

  • 顧客が大満足し推薦コメントが手に入ったことが次の営業材料になった。
Monetize

無料実績の後に初めて有料顧客を月約8万円で獲得し継続収入が生まれた。

月約8万円(425ポンド)初の月額単価
  • 契約は3か月で毎月入ってくる収入の見通しが立った。
Insight

ケンブリッジ卒の信用や家賃負担のなさなど恵まれた条件がリスクを取りやすくしたと認めた。

  • 誰もが同じ条件で起業できるわけではないと明言している。
Scale

顧客獲得が難しかった2018年を経て今は顧客のほうから相談が来るようになった。

  • 推薦コメントが積み上がり個人ブランドの重要性が広く認知されるようになったことが背景にある。
Team

顧客獲得より成長に追いつくための採用が大きな課題になった。

  • 事業のフェーズが変わりボトルネックが採用に移った。
Team

最初の1年半はほぼひとりで回しつつ必要な部分だけ外部に頼った。

  • その後の採用期は入社と退社が続き試用期間で別れることもあり精神的にきつかった。
Team

マネジメントは厳しく言えば動くという思い込みを捨て反応型から予防型へ切り替えた。

  • 伝え方や対話、フィードバックの出し方を意識して改善した。
Team

全員に好かれなくても会社は回せると理解し必要な判断を優先した。

  • 嫌われたくない気持ちが強いと言うべき改善点を言えなくなりチームも会社も弱くなると捉えた。
Team

フィードバックを特別なイベントにせず日常的に共有する運用にした。

  • 大きな失敗のあとにまとめて伝えるのではなくうまくいった点も改善点もこまめに共有する方針である。
  • 率直に話せる空気があると大事な場面でもきちんと言葉にできると考えた。
Scale

ひとりで始めた会社はひとりでは続かず限られたエネルギーの配分が会社の未来を決めると捉えた。

  • ひとり創業者は問題も疑問も最終的にすべて自分に返ってくる構造である。
  • チームを支えるには心の余裕と体力が欠かせないと述べている。

社員16人、年間の継続売上は約1億9,000万円(130万ドル)。そんな会社が、たったひとりの創業から始まった。

もちろん、最初から順風満帆だったわけではない。営業も提案も納品も、すべてひとりでこなす日々。「個人ブランド」という言葉すら今ほど浸透していなかった時代に、なぜ事業として成立させられたのか。

21歳で起業したジョーが、最初の顧客をどう獲得し、どう信頼を積み上げ、「ひとりでは限界」という段階へどう進んでいったのか。その過程には、再現性のある工夫が詰まっている。

21歳、ひとりで会社を始めた

会社を立ち上げるとき、多くの起業家は仲間を探す。営業が得意な人、ものを作るのが得意な人、数字に強い人。互いの弱点を補い合うためだ。

でも、最初から最後まで「ひとり」でやり切る人もいる。

ジョー・バインダーは21歳でWOAWを立ち上げた。WOAWはイギリスを拠点に、CEOや創業者がSNSで信頼を築き、「この人から買いたい」「この会社で働きたい」と思われる状態を作る支援をする会社だ。

創業時はジョーひとり。そこから社員は16人に増え、年間の継続売上は約1億9,000万円(130万ドル)を超える規模になった。

商売好きの少年、でも成績は最悪だった

ジョーは子どものころから商売に興味があった。14歳のときには中国からヘッドホンやスマホケースを仕入れ、学校で売っていた。

ただ、勉強は得意ではなかった。周囲から「たいしたことはできない」と見られていた時期もある。

転機は、数学の成績がこのままでは最低評価になると気づいた瞬間だった。そこで火がついた。必死に勉強して成績を上げ、最終的にケンブリッジ大学に合格する。

ここでジョーが学んだのは、才能の差より、やり方と粘りの差のほうが大きいことがある、ということだ。

YouTubeで「人に覚えてもらう力」を手に入れた

大学では友人とYouTubeチャンネルを運営した。テーマは学生生活。フォロワーは2万人を超え、再生回数は200万回以上に達した。

そこで身についたのは、動画編集の技術だけではない。

  • どう見せれば人に覚えてもらえるか
  • どうすれば信用されるか
  • どうすればSNSで注目が続くか

つまり「個人ブランド」を作る感覚そのものだった。

卒業後、ジョーはYouTuber一本の道は選ばず、SNSマーケのスタートアップに入社した。しかしその会社は営業力はあるものの納品の仕組みが弱く、半年ほどで資金が尽きた。ジョーは職を失う。

それでも、この失敗から見えてきたものがあった。

SNSに取り組みたい経営者は多い。でも忙しくて時間がない。だから「SNS運用をサービスとして提供する」仕事は成立する。そう確信した。

2018年1月、ジョーはWOAWをひとりで立ち上げた。

WOAWの仕事は「社長の発信」を会社の武器に変えること

WOAWがやるのは、創業者やCEOの個人ブランドを「会社の資産」として育てることだ。SNSでファンや読者のコミュニティを作り、信頼を積み上げていく。

支援の内容は幅広い。

  • 投稿の方針づくり
  • データ分析
  • 写真撮影
  • デザイン
  • 文章づくり

目指すのは「いいねを増やす」だけではない。誰に向けて、なぜ発信するのかが重要だ。

資金調達が目的なら投資家に届く見せ方を設計し、採用を強化したいなら会社の文化が伝わる発信にする。オンラインの反応だけでなく、リアルの評判まで含めて戦略を組み立てる。

いちばんきついのは、やる気を切らさないこと

起業直後は、あらゆることが一気に押し寄せる。

  • 顧客を探す
  • 提案資料を作る
  • サイトを用意する
  • 価格を決める
  • 納品の仕組みを作る
  • お金の計算をする

ジョーは当時を苦しかったと振り返る。自信のなさと、自分を信じたい気持ちがぶつかり続けた。

ケンブリッジの友人たちは安定した仕事で給料をもらっている。一方のジョーは、ロンドン中心部のコワーキングスペースを回り、人に会い、つながりを作り、顧客を探す日々を送っていた。

前に進んでいるのか、同じ場所をぐるぐる回っているのか分からない。そんな感覚もあった。

加えて当時は「個人ブランド」という言葉自体が今ほど一般的ではなかった。契約を取るには、まず「なぜ必要なのか」から説明しなければならなかった。

最初の顧客は、無料で作った

ジョーは最初、YouTubeの実績があれば仕事はすぐ取れると思っていた。現実は違った。

そこで発想を切り替えた。最初の顧客には、1か月無料で運用する。

条件はひとつ。満足したら推薦コメントを出してもらい、それを実績として公開させてもらう。

手元の貯金から約19万円(1,000ポンド)を会社に入れ、フリーランスのライターやデザイナーに支払い、最初の案件を形にした。

結果、顧客は大満足。推薦コメントが手に入った。その言葉を次の見込み客に見せ、少しずつ信頼を積み重ねていった。

無料の実績がいくつか集まったあと、初めて有料の顧客を月約8万円(425ポンド)で獲得する。契約は3か月。毎月入ってくる継続収入が生まれた瞬間だった。

ジョーはここで、ようやく「次が見える」状態になった。

運が良かったことも、ちゃんと認めた

ジョーは、自分が恵まれていた点も隠さない。

  • ケンブリッジ卒という学歴が信用につながった
  • ロンドンで家族と暮らし、家賃の負担がなかった

こうした条件があったからこそ、リスクを取りやすかった。誰もが同じ条件で起業できるわけではない。その点はっきり言う。

2018年は顧客獲得が本当に難しかった。しかし今は、顧客のほうから相談が来るようになった。推薦コメントが積み上がり、個人ブランドの重要性も広く認知されるようになったからだ。

すると課題も変わる。顧客獲得より、成長に追いつくための採用のほうが大きな問題になった。

リーダーは、生まれつきじゃない

最初の1年半、ジョーはほぼひとりで事業を回し、必要な部分だけ外部に頼った。

その後、採用を進めた時期は決して楽ではなかった。入社と退社が続き、試用期間で合わないと判断して別れることもあり、精神的にきつかった。

若い創業者は目立つ。でも、未熟な経営者のもとで働く側はもっと大変だ。ジョーは初期メンバーへの敬意を口にしている。

ジョー自身も、最初はマネジメントを分かっていなかった。ドラマに出てくる強いリーダー像に影響され、「厳しく言えば人は動く」と思っていた。しかし現実では通用しない。

やり方を変えた。問題が起きてから対応する「反応型」から、先回りして整える「予防型」へ。伝え方、対話の仕方、フィードバックの出し方を意識して改善していった。

好かれることより、必要なことをやる

大きな学びはこれだ。

全員に好かれなくても、会社は回せる。

嫌われたくない気持ちが強いと、言うべき改善点を言えなくなる。するとチームも会社も弱くなる。だから、好かれることを優先しすぎず、会社とチームに必要な判断を下す。

フィードバックを「特別なイベント」にしない

WOAWではフィードバックを日常にしている。大きな失敗のあとにまとめて伝えるのではなく、うまくいった点も改善点もこまめに共有する。

普段から率直に話せる空気があると、本当に大事な場面でもきちんと言葉にできる。

ひとりで始めた会社は、ひとりでは続かない

ジョーはCEOとして成長し続けてきた。しかし会社が大きくなるほど、学ぶべきことも増える。

ひとり創業者は、問題も疑問も最終的にはすべて自分に返ってくる。毎日さまざまなことが起き、チームを支えるには心の余裕と体力が欠かせない。

限られたエネルギーを何に使うか。その選択が、会社の未来を決める。