Summary
アプリを作る人は、目標と伸ばし方、稼ぎ方がぶれやすい。年商100万ドル(約1.6億円)で満足すると、小さな市場での勝ちに収まりやすい。大事なのは、最初は数を作って上達し、最後は一生かける一本に集中することだ。さらに資金調達は、お金以上に強い人脈を連れてくる。UGCは取引ではなく、仲間づくりとして進める。そして今後は、アプリ単体の課金が弱まり、広告か物販で回収する発想が必要になる。

若いアプリ開発者に向けた、かなり辛口の助言だ。アプリを1本に絞るか、量産するか。自己資金で進めるか、投資を受けるか。広告で伸ばすか、UGCで伸ばすか。迷いやすい論点を整理して、考え方を切り分ける。
年商100万ドルで満足すると伸びが止まる
まず釘を刺したい。年商100万ドル(約1.6億円)相当の売上ペースは、退屈な目標だ。ちゃんと価値のあるものを作り、ある程度の期間やり切れば、そこには届きやすい。問題は、その地点で「大物になった気がする」ことだ。
その数字は、大きな世界での勝ちではない。小さな市場で目立っているだけになりやすい。生き延びるのに必死な時期は、それでも十分すごい。だが「やっと到達した」と思った瞬間に、夢が小さいことが、そのまま次の限界になってしまう。
10本作るのは練習 目的は一本に絞ること
次に、結論だけ言うと作るべきは1本だ。ただし矛盾するようで、そこに行くまでに10本、場合によっては100本作ることになる。最初の作品は、だいたい出来が悪い。それでいい。
大事なのは「当たりを引くまで試す」ことではない。ジムに通って体を鍛える感覚で作ることだ。1本ごとに、前より必ず良くする。設計、使い心地、見せ方、伸ばし方。全部を少しずつ良くしていく。
これは運試しではない。カジノでも、配られたカードで勝負するゲームでもない。状況を読み、できる手を一つずつ積み上げる勝負だ。だから最後は、実力が十分ついた状態で、意味のある課題に向き合う。その時点で量産は終わりだ。一生かけて育てる一本に集中する。
投資はお金より人脈 ただし条件と覚悟が要る
投資を受けるか迷うなら、条件がよければ受けたほうがいい。理由は単純で、投資の価値は現金だけではないからだ。経験者が味方に入り、相談できる。採用につながる紹介も出る。発想の幅も広がる。
こうしたネットワークは、普通に働いているだけでは作りにくい。もちろん、投資を受けるなら「大きく狙う」姿勢が前提になる。中途半端に守りに入ると、誰も助けにくい。少なくとも大きな資金調達の前は、本気で大きな成果を取りに行く覚悟が要る。
UGCは取引にしない 少数の本命を仲間にする
利用者自身に投稿してもらって広げるやり方(UGC)やインフルエンサー活用も、よくあるやり方だと費用が膨らむ。ここでの発想は逆だ。投稿を買うな。仲間を増やせ。インフルエンサーも人で、チームの一員として扱う。
具体的には、目的を共有し、日々の打ち合わせに招く。場合によっては持ち分も渡す。「投稿1本いくら」の関係は、最悪の運用になりやすい。人数も増やしすぎない。30人を薄く回すより、業界で一番影響力のある人を口説いて、深く組むほうが強い。
SNSは流行り廃りがあるが、今も大きなプラットフォームは強い。フォロワーが多いページなら、毎月1億回規模の表示を自然に出せることもある。しかもリンクのクリックが取れる。伸びを数字で追えるのは武器だ。
アプリは単体で売りにくくなる 広告か物販を考える
最後に、これから起きる変化の話をしておく。アプリ作りがどんどん簡単になれば、似たものが一気に増える。そうなると、アプリ単体の価値は下がる。課金の値段も下がり、定額課金は通りにくくなる。
それでも人は、便利なものを使い続けるし、面白い情報も読む。つまりアプリは、だんだん記事や動画のような、情報を届けるものに近づく。稼ぎ方は、アプリ内の広告か、物理の商品(現物)に寄っていく。アプリは「本命の商品を売るための入り口」になっていく。
だからこそ、目先の課金だけで設計を固めない。無料で巨大な利用者を集められたとき、初めて作れるビジネスがある。結局、勝負を決めるのは小技ではない。大きく狙い、腕を上げ、一本に集中する。その順番を間違えないことだ。
この話を、あなたのビジネスに移すためのアクション。
- 01年商目標を「100万ドルで満足」にしないと決めておく
- 02小さなアプリを10本作り、毎回1つ改善点を入れる
- 03本気で一生育てたい一本の課題を言語化する
- 04投資を受けるなら条件と覚悟を先に整理する
- 05UGCは少数の本命に絞り、取引ではなく協業で組む
原文のフル日本語訳を読む
今のアプリ作りについて、世の中には本当にひどい助言があふれてる。
「最高のアプリを1本作るべき? それとも100本の寄せ集め?」
「自己資金でやる? それとも投資家からお金を集める?」
「広告を回す? それともユーザー発の投稿で広げる?」
21歳のZ世代アプリ開発者のみんなに言いたい。昔の俺は、まさに君たちだった。
俺は20歳になる前にFacebookでフォロワーを50万人まで増やした(今思うとキツい)。当時は“雰囲気でコードを書く”みたいな流行はなかったけど、Alibabaとドロップシッピングはあった。若い人がSNSをやるだけの代理店を作って、年上世代向けに運用してた。
今の俺は32歳。ほぼおじいちゃんみたいなもんで、もうすぐ第一子が生まれる。Sunflowerが有料会員1万人を超えた記念に、頼まれてもない助言を置いていく。
まず1つ目。年商100万ドルペースって、びっくりするほど退屈だ。
意味のあるものを、ちゃんとした期間作り続ければ、たぶん年商100万ドルペースには届く。何度も何度も見てきた。君もきっと行く。本当に。
でも、そこに着いた瞬間に気づく。「小さな池でイキってるだけだった」って。
周りは平凡だらけ。その中で泳いでるだけになる。
売上100万ドルって、別にカッコよくない。売上10億ドルはカッコいい。
わかるよ。君は生き残るのに必死で、そんな大金を見たこともないんだろう。俺もそうだった。ネットショップの在庫を買ったせいで食べ物が買えず、何日も腹を空かせた。ラーメンも尽きて、親の家に夕飯を食べに行ったこともある。
でも「やっと成功した」と思ったとき、君は気づく。自分の可能性は年100万ドルどころじゃないって。君を一番縛ってるのは、夢の小ささと、「すごいものを作りたい」という欲の弱さだ。
2つ目。アプリは10本じゃなく、1本を作れ。
ただしコツがある。「その1本」を作れるようになるまでに、たぶん10本は作る。もしかしたら100本。しかも、だいたい全部ひどい出来だ。
でも目的は「当たりを探す」ことじゃない。筋トレなんだよ。
10本作るなら、前より少しでも良くする。次も、その次も、また次も。とにかく毎回、前より良くする。
これは運試しじゃない。
そこを勘違いしないでほしい。君はカジノにいるわけじゃない。投資家が何と言おうと、これはポーカーじゃない。チェスだ。
世界一のチェスの名人になる方法は、運よくいい手札を引くことじゃない。本物の実力を身につけることだ。
いつか君は技術を身につけきって、ちゃんと意味のある課題に集中できるようになる。そうなったら、そこで初めて「次々作る」のをやめればいい。
そこからは「たった1本のアプリ」を作る時間だ。死ぬまで作り続けるアプリ。ほかの何よりも大事なアプリ。
それが年100万ドルを生むか、年10億ドルを生むかは本質じゃない。自分が取り組んでいるもののほうが、売上より大事だとわかってるはずだ。
本当にすごいものを作る唯一の道は、1か月で“当たりくじみたいな商品”を出すことじゃない。気が遠くなるほどの時間と労力を注いで、次の世代まで残るレベルのプロダクトを作ることだ。
3つ目。たぶん投資家のお金は受けたほうがいい。
投資家のお金は、ただの現金以上の意味がある。俺は技術者でもないし、アイダホ出身の無名。州立大は6回も中退してる。
それでも、うちの株主の一覧にはYCがいる(うちはGPのGarryと直接やってる)。RevenueCatのCEOのJacobもいる。BeehiivのCEOのTylerもいる。SaaStrのCEOのJasonもいる。A16Z Speedrunにも入ってる。とにかく、めちゃくちゃ強い顔ぶれだ(俺が知る最高の起業家が80人以上)。
俺の憧れの人たち(たぶんアプリを作ってる君の憧れでもあるはず)が、俺の成功に賭けてくれてる。助けてくれるし、質問にも答えてくれる。考え方の幅も広げてくれる。重要な採用候補も紹介してくれる。プロダクトや取引の特別枠も回してくれる。
こういう人脈を作る方法は、基本的に投資家から資金を集める以外にない。
うちは会社の決定権を全部持ってる。取締役会もないし、誰かに意思決定をされてもいない。約束したのはただ1つ。「とんでもなく大きい勝負をして、次の世代まで残るものを狙う」ってこと。
大きな資金調達をする前の段階で、求められるのはほぼこれだけだ。とにかく全力で、すごいものを目指せ。
条件が悪くないのに「投資家の資金は受けるな」と言う人は、正直おかしい。チャンスがあるなら、やるべきだ。
4つ目。インフルエンサーやユーザー発の投稿について、君が知ってることはたぶん間違ってる。
Sunflowerは「ユーザー発の投稿を増やす仕組み」で、月に軽く1億回以上の再生を出してる。これは世の中でもかなり大きい部類だと思う。
そのコストは、再生1000回あたり約0.10ドル。再生1000回あたり1ドルみたいな世界でやってない。
「どうやったの?」
インフルエンサーも人間だ。チームの他のメンバーと同じ。取引相手みたいに扱うな。君が何を目指していて、何のためにやっているのか。その目的に本気で乗ってもらう必要がある。
仲間として扱え。毎日の短い進捗共有にも呼べ。株も渡せ。投稿1本いくら、みたいなやり方は最悪の運用だ。
それと、投稿してくれる人を増やしすぎだ。30人もいらない。
業界で一番影響力がある人を探し出して、口説いて、チームに入ってもらえ。ユーザー発の投稿やインフルエンサーで圧勝するのは、そういうやり方だ。
あと、Facebookはダサいと言われがちだけど、それでも地球上で最大のSNSだ。フォロワー100万人のページが1つあるだけで、広告なしでも月に1億以上のリーチを出せる。しかもリンクのクリックが取れる。直接クリックされて、追跡もできるリンクのクリックが。
最後。アプリはもうすぐ「価値が出にくいもの」になる。
この不機嫌なおっさんが若者より有利な点が1つある。アルゴリズム変更やプラットフォームの方針転換に何度も殴られてきたから、「また来るな」って匂いでわかる。
この記事を書くのに、1〜2時間くらいしかかかってないよな?
じゃあ、一般向けのアプリを作るのが「雰囲気でコードを書いて1時間」みたいなものになったら、何が起きる?
禁酒や禁煙のアプリが1000個並ぶ世界になったら? ちょっとでも利益が出てるものは、雰囲気でコードを書く人たちが片っ端から真似して量産するようになったら?
答えはこうだ。ソフトウェアはメディアみたいなものになる。
たぶん聞いたことはあると思う。でも、その意味を腹落ちさせてる人は少ない。
つまり、ユーザーは「その程度のアプリ」に毎月お金を払わなくなる。アプリでお金を取るのは、徹底的に厳しくなって、限界まで下がる。
でもユーザーは、良い記事なら読む。アプリも使い続ける。
ただし、お金の作り方は2つに寄っていく。プロダクト内の広告(注意を集めて売る)か、モノを売るか。
5年後(もしかしたら1年後)には、アプリはコンテンツとしての集客手段になる。世の中に価値として出して、代わりに「本当に売りたい商品」を売るためのものだ。
Sunflowerアプリも、結局それだ。今うちがサブスクで稼げてるのは、むしろ皮肉なくらい。うちが10億ドル規模の会社になる道は、年34.95ドルの年額プランや、月8.95ドルを課金することじゃない。
でも、もし1億人が無料で使うアプリを作れたら?
そのレベルの注目の下には、何かとんでもなく価値のあるものを作れる余地があるかもしれない。