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1万人の有料ユーザーを作った起業家が語るアプリ開発の誤解と次の勝ち方

X2時間前

Summary

若いアプリ開発者は「1本に絞るか量産か」「自己資金かVCか」「広告かUGCか」で迷いがちだ。だが多くの開発者が目標に掲げる年間売上100万ドルは、長期では通過点にすぎない。量産は当たりを探す宝くじではなく鍛錬であり、いずれ一生かけて磨く1本に全力を注ぐ段階が来る。VCは資金より人脈を得る手段で、UGCは投稿を買う取引ではなくチームを作る感覚で伸びる。さらにアプリはコモディティ化が進み、収益の軸は広告収入か物販へ移っていく。

1万人の有料ユーザーを作った起業家が語るアプリ開発の誤解と次の勝ち方

有料ユーザーを1万人抱えるアプリ「Sunflower」を作った起業家が、若いアプリ開発者に向けて"いま出回る助言の危うさ"を語った。結論はシンプルで、目標の置き方・作り方・伸ばし方・儲け方を根本から見直せ、という話だ。

彼自身、10代でFacebookのフォロワーを50万人まで増やし、年上世代のSNS運用を代行する仕事もした。流行の波やプラットフォームの仕様変更に振り回される痛みも、散々味わってきた側だ。

まず言い切る。年間売上換算100万ドルは凡庸だ、と。重要なものを相応の期間作り続ければ、そこには自然と到達してしまう。そして到達した瞬間に「井の中の蛙」だったと気づきやすい。

100万ドルは生活を救うし、初めて目にする規模の金額でもある。彼も在庫に資金を全部つぎ込み、食費が底をついて実家で夕飯を食べた経験がある。それでも最終的に伸びを止めるのは、能力不足ではなく、描く夢の小ささだと言う。

次の助言は「10個ではなく、渾身の1個を作れ」。ただし、その"1個"は最初からは作れない。だからまず10個、時には100個を作ることになる。けれど目的は「当たり探し」ではなく、鍛錬だ。

量産は宝くじではない。カジノでも、運任せのポーカーでもない。彼はチェスに例える。チェスで勝つには強くなるしかなく、運の入る余地はない。だから10個作るなら、毎回ひとつ前より良くする。改善の積み重ねで腕が上がる。

技術が十分に身につき、意味のある問題に向き合えるようになったとき、それが「数を増やすのをやめるタイミング」だ。そこからは死ぬまで作り続ける1本に張る。売上が100万でも10億でも、「取り組む価値がある」と腹の底から納得している状態で。

3つ目は資金調達だ。彼は「おそらく、VCから調達したほうがいい」と言う。理由は金そのものより、株主構成が人脈になるからだ。投資家や起業家が、採用・提携・意思決定の相談相手として効いてくる。

実際に彼の株主にはYCや著名プロダクトのCEO、A16Z Speedrunなどが並ぶ。質問に答え、思考を広げ、採用候補を紹介し、プロダクトや取引へのアクセスも開いてくれる。こういう布陣は、VCを入れることでしか作りにくいという。

もちろん条件はある。少なくともシリーズA前は、果たすべきことはひとつ、業界の常識を塗り替えるような規模を狙うこと。彼は「取締役会もなく意思決定は自分」としつつ、投資家には"世代を代表するものを作りにいく"と約束している。

4つ目はユーザー自身が作るコンテンツ(UGC)とインフルエンサー施策だ。Sunflowerは月1億回以上の視聴をオーガニックUGCで生み、コストはCPM約0.10ドルだという。ここで多くの人がやり方を間違える。

インフルエンサーを「投稿を買う取引先」と扱うと失敗する。彼の答えは、チームメイトとして人間関係を築くことだ。ミッションに共感してもらい、定例の場に招き、場合によっては株式も渡す。現金で投稿を買うのは最悪の運用だと断じる。

さらに人数を増やしすぎるな、とも言う。30人を浅く広く抱えるより、業界で最も影響力のある1人を口説いて仲間にする方が効く。加えて、古く見えてもFacebookは依然最大級の媒体で、リンクのクリックも取りやすい現実がある。

最後に未来予測だ。彼は「アプリはこれから価値が下がる」と言う。感覚的な指示だけでコードを書けるツールが普及して短時間に量産でき、類似アプリが溢れれば、消費者の支払い意欲は下がり、サブスクの単価は底に張り付く。

そのときソフトウェアはメディアに近づく。人は記事を読み、アプリも使うが、課金には渋くなる。だから収益化は、アプリ内広告(注意の販売)か、物理的な商品の販売へ軸が移っていく。

数年後、アプリは「それ自体で儲ける商品」というより、注目を集めて本命を売るためのコンテンツになる。彼にとっても、いまのサブスク価格(年34.95ドル、月8.95ドル)は"本丸"ではない。1億人に無料で使われる規模の先に、本当の価値が生まれると見ている。

次の一手

この話を、あなたのビジネスに移すためのアクション。

  1. 01売上目標を「通過点」と「最終目標」に分け、最終目標を業界を塗り替える規模に置き直す
  2. 02小さなアプリを10本作り、毎回「前作より良くする」改善点を1つ決める
  3. 03「一生磨く1本」に集中するタイミングの判断基準を「技術が十分に身につき、取り組む問題が大きい」と定める
  4. 04VC調達は資金だけでなく、助けてくれる人脈を得る投資として検討する
  5. 05UGCは投稿を現金で買うやり方をやめ、少数精鋭をチームとして巻き込む設計に変える
原文のフル日本語訳を読む

今のアプリ作りには、ひどい助言が山ほど出回ってる。

「最高のアプリを1本作るべき? それとも100本の寄せ集め?」

「自己資金でやる? それとも投資家からお金を集める?」

「広告を回す? それともユーザー発の投稿で伸ばす?」

21歳のZ世代アプリ開発者へ。わかってほしいのは、昔の自分がまさに君だったってことだ。

20歳になる前にFacebookでフォロワーを50万人まで増やした(今思うとキツいけど)。当時は“雰囲気でコード書く”みたいなのはなかったけど、Alibabaとドロップシッピングはあった。若い人が代わりにSNSをやってあげる、みたいな代理店も作った。相手はだいたい年上世代。

今の俺は32歳。ほぼおじいちゃんみたいなもんで、もうすぐ第一子も生まれる。Sunflowerが有料会員1万人を超えた記念に、頼まれてもいない助言を置いていく。

まず1つ目。年商100万ドルペースって、びっくりするほど退屈だ。

何かしら意味のあるものを、ちゃんとした期間作り続ければ、たぶん年商100万ドルペースには届く。何度も何度も見てきた。君もきっと行ける。本当に。

でも、そこに着いた瞬間に気づく。小さな池でイキってるだけの大きな魚だったって。

周りは平凡だらけ。

売上100万ドルは別にカッコよくない。10億ドルはカッコいい。

わかるよ。今は生き残るのに必死で、そんな大金を見たこともないだろう。俺も、食費を削ってネット通販の在庫を買ったせいで何日も腹を空かせた。ラーメンも尽きて、親の家に晩飯を食べに行ったこともある。

でも「やっと成功した」と思ったとき、気づくはずだ。君の可能性は年100万ドルなんかじゃ終わらない。君を一番縛ってるのは、夢の大きさと、すごいものを作りたいという欲の弱さだ。

2つ目。アプリは10本じゃなく、1本作れ。

ただしコツがある。「その1本」を作れるようになる前に、たぶん10本は作ることになる。もしかすると100本。しかも出来はだいたいひどい。

でも目的は「当たりを探す」じゃない。練習だ。鍛えるためにやってる。

10本作るなら、毎回、前より良くしろ。少しずつでいいから、良くして、良くして、また良くしていく。

これは運試しじゃない。

そこを勘違いしないでほしい。カジノじゃない。投資家が何を言おうと、これはカードゲームじゃない。君がやってるのはチェスだ。

世界一のチェスの名人になる方法は、たまたま良い札を引くことじゃない。本当に強くなることだ。

そしていつか、腕が上がって、取り組む価値のある問題に集中できるようになる。そのときが、アプリを増やすのをやめるタイミングだ。

そこからは「一生作り続ける1本」を作れ。死ぬまで作り続けるやつだ。他の何よりも、そのアプリが大事になる。

売上が年100万ドルでも10億ドルでも、正直どっちでもいい。自分が取り組んでることのほうが、売上より大事だとわかってるはずだから。

本当にすごいものを作る唯一の道は、1か月で宝くじみたいなプロダクトを出すことじゃない。気が遠くなるほどの時間と労力を注ぎ込んで、次の世代まで残るプロダクトを作ることだ。

3つ目。たぶん投資家のお金は受け取ったほうがいい。

投資家から入るお金は、お金以上のものだ。俺は技術者でもないし、アイダホ出身の無名だ。州立大学も6回中退してる。

それでも、株主の一覧にはY Combinatorがいる(担当はGarryで、直接やり取りしてる)。RevenueCatのCEOのJacobもいる。BeehiivのCEOのTylerもいる。SaaStrのCEOのJasonもいる。A16Z Speedrunにも入ってる。要するに、めちゃくちゃ強い顔ぶれだ(俺が知る最高の起業家が80人以上)。

俺のヒーローたち(たぶんアプリを作ってる君のヒーローでもあるはず)が、俺の成功に投資してくれてる。相談に乗ってくれるし、考え方の幅も広げてくれる。重要な採用候補を紹介してくれるし、特別な製品や条件にもアクセスできるようにしてくれる。

こういう人脈を作る方法は、基本的に投資家から資金を集めることしかない。

俺は会社を完全に自分で動かしてる。取締役会もないし、他人が意思決定してるわけでもない。みんなに約束したのは、「とにかく大きく狙って、次の世代に残るものを作る」ってことだけだ。

大きな資金調達をする前の段階で、ほぼそれが唯一の義務みたいなものだ。とにかく本気で、すごいものを目指す。

「投資家のお金なんて受け取るな(条件が良くても)」って言う人は、正直おかしい。チャンスがあるなら、やったほうがいい。

4つ目。インフルエンサーやユーザー投稿について、君が知ってることはたぶん間違ってる。

Sunflowerは「ユーザー投稿を自然に増やす仕組み」で、月に軽く1億回以上の再生を出してる。たぶん業界でもかなり大きい部類だ。

そのコストは、再生1000回あたり約0.10ドル。再生1000回あたり1ドル払う、みたいな世界でやってない。

「どうやったの?」

インフルエンサーも人間だ。チームの他のメンバーと同じ。取引相手みたいに扱うな。やってることの目的や意味に共感してもらう必要がある。

仲間として扱え。毎日の短い進捗共有に呼べ。株も渡せ。投稿1本いくら、みたいなやり方は最悪だ。

それと、ユーザー投稿の協力者を増やしすぎだ。30人もいらない。

必要なのは、業界で一番影響力がある人を口説いて、チームに入ってもらうことだ。ユーザー投稿やインフルエンサーで圧勝するのは、そういうやり方だ。

それから、Facebookはダサいと言われがちだけど、今でも地球上で一番大きいSNSだ。フォロワー100万人のページが1つあるだけで、自然に月1億以上のリーチを出せる。しかもリンクのクリックが取れる。直接で、追えるリンクのクリックが。

最後。アプリはもうすぐ「価値が出にくいもの」になる。

この不機嫌なおっさんが若者より有利な点があるとしたら、仕組みの変更やプラットフォームの都合で何度も痛い目を見てきたことだ。変化が来るときの匂いがわかる。

この記事、書くのに1〜2時間くらいしかかかってないよな?

じゃあ、一般向けのアプリを作るのが「雰囲気でコード書いて1時間」みたいにできるようになったら、どうなる?

禁酒や禁煙のアプリが1000個並ぶ世界になったら? ちょっとでも儲かってるものは、雰囲気でコード書く人たちが片っ端から真似し始めたら?

答えはこうだ。ソフトウェアはメディアみたいになる。

たぶん聞いたことはあると思う。でも、その意味を腹落ちさせてる人は少ない。

つまり、消費者は「その程度のアプリ」に毎月お金を払う気がなくなる。アプリで稼げる金額は、ものすごい勢いで下がっていく。

それでも人は、良い記事は読む。アプリも使う。

ただし稼ぎ方は、プロダクト内の広告(=注目を売る)か、モノ(実物の商品)を売るかのどちらかになる。

5年後(もしかしたら1年後)には、アプリは「宣伝のためのコンテンツ」になる。世の中に価値として出して、そこで本命の商品を売るためのものだ。

Sunflowerアプリも結局それで、今の定期課金の売上には皮肉がある。俺たちが10億ドルの事業にする方法は、年34.95ドルの年払いとか、月8.95ドルを取ることじゃない。

でも、もし1億人が無料で使うアプリを作れたら?

そのレベルの注目の下には、何かとんでもなく価値のあるものを作れる余地があるかもしれない。