
要約
SaaS(サース)は、B2Cアプリや受託サービスと違い、作って終わりでは増えないのが難しさです。必要なのは、思いつきの開発ではなく、日々の業務の痛みから着想し、作り込み前に検証し、最小の有用版で市場に出し、発信で初速を作り、最後に解約を止める流れです。「売っても減る」を前提に設計することで、$0から月間経常収益1万ドルまでの道筋が見えてきます。
B2Cアプリ、SaaS、サービスと一通りやって年商100万ドル超まで伸ばしてきた。けれどSaaSは別格に難しい。B2Cは「集客→オンボーディング→ペイウォール→広告/クリエイターで拡大」で回りやすい。サービスも「痛い課題→当事者に売る→成果を納品」で分かりやすい。
SaaSは違う。特にX(旧Twitter)周りのSaaSだと、主な顧客は他の創業者になる。だからこそ、やり方を間違えるといつまでも伸びない。一方で、自分たちでやって$0から月間経常収益1万ドルまで持っていく型は見えた。
ステップ1は自分の痛みから作ること。多くの人は「何のSaaSを作るべき?」と聞く。でも本当に聞くべきは「毎日ぶつかっている問題で、ソフトウェアにできるものは何か?」だ。Viewtrackはまさに自社の問題から生まれた。
自分たちはアプリをクリエイター起点で伸ばしていた。UGCクリエイター、インフルエンサー、顔出しなしのページ、オーガニック投稿。最初は少人数で回ったが、10人、20人、30人と増えると管理が崩壊する。しかもこれは小さな不便じゃない。CTAを間違えれば売上に直撃する。
だから「クリエイター管理を、ぐちゃぐちゃな状態から一つの見える化へ」変えたかった。どの動画が効いているか分からなければ拡大できない。Viewtrackは思いつきではなく、自分たちが必要だったソフトだ。痛みを理解していると、作るべきものが最初から見える。
ステップ2は作り込み前に検証すること。6カ月こもって誰も使わない巨大プロダクトを作るのが、創業者が人生を溶かす典型だ。狙いは「同じ痛みが他人にもあるか」を早く確かめること。Viewtrackは日頃から創業者や代理店、クリエイターと話していて、UGC運用の混乱が共通課題だとすぐ分かった。
自分のSaaSなら、Redditで探すのもいいし、業界のトップ層の投稿にいる人へDMするのもいい。やるべき仕事は「時間を節約し、最終的に相手の売上を増やすバージョン」を作ることだ。
ステップ3は最小の有用版を作ること。最初から大きく作りすぎるのが、$0のまま終わる理由になりやすい。ViewtrackのMVP1は6つの質問に答えられればよかった。「誰が」「何を」「いつ」「投稿したか」「再生数」「残すべき人は誰か」。まずコア用途で使えるほどシンプルにする。
ステップ4はX(旧Twitter)で売る。ここで大事なのはボットみたいに投稿しないこと。「新しいSaaSをローンチしました」「発表できて嬉しい」では誰も見ない。自分は1年ほどXをやって、ニッチで実体験と価値ある情報を出し続けた。だからViewtrackを出すときも、信頼の土台があった。
Xは「無料のノウハウ」が好きだ。だから「使って」ではなく、価値ある情報を配りながら製品を動かして見せた。その結果、1投稿で50万ビューが出た。転換は、画像と本文に小さなCTA(コール・トゥ・アクション)を置くだけでいい。情報が良いからクリックされ、裏側にプロダクトがあると気づく。
ステップ5はチャーン(解約率)を先に潰すこと。売れ始めた後にSaaSが面倒になるのはここだ。多くのユーザーは「製品がダメ」だから去るのではなく、単に使い方が分からなくて離脱する。機能が多いほど、圧倒されて去りやすい。
そこでPoly(ポリー)を使った。プロダクト内に音声エージェントを置き、ユーザーが迷った瞬間に話しかけられる。エージェントはダッシュボードを見て状況を理解し、やりたいことに沿って案内する。専門家と通話している感覚に近い。サポート人員を増やさずに済み、解約を30〜50%減らせる。





使うツール
X(旧Twitter)
価値提供投稿で初期ユーザーを獲得する
同じ痛みを持つ当事者を探して検証する
Poly(ポリー)
プロダクト内の即時サポートで解約を下げる
月間経常収益1万ドルまでの実践ステップ
痛みの特定とアイデア化
「何を作るか」ではなく「自分が毎日困っていること」から出発し、ソフトウェア化できる課題を1つに絞る。自分が当事者だと要件が明確になり、開発の迷いが減る。
日々の業務の詰まりを棚卸しする
繰り返し発生し、放置すると売上や成果に響く不便をリスト化する。
💡 「困る」より「損する」ポイントを優先する。
課題を「誰の何がどう困る」に落とす
対象ユーザー、状況、発生頻度、損失(時間・売上)を短文で言える形にする。
💡 課題文が長いなら、まだ絞れていない。
需要の検証(作り込み前)
開発に長期間取り組む前に、同じ問題を抱える人が十分いるかを会話で確認する。狙いは「作れるか」ではなく「今すぐ欲しいか」を確かめ、過剰開発を避けること。
当事者が集まる場所を見つける
Redditや業界の投稿、コメント欄など、課題が日常的に語られる場を探す。
💡 トップ投稿者の周辺(コメント)に当事者がいる。
短い質問で困り度を聞く
「今どう管理しているか」「何が一番面倒か」「解決にお金を払うか」を聞く。
💡 提案を急がず、現状の手作業や破綻点を掘る。
価値を「時短+売上」に言い換える
相手にとっての成果が、時間削減なのか売上増なのかを明確にして仮説を固める。
💡 両方言うより、最初は片方に寄せる。
最小の有用版(MVP)を作る
最初の版は「小さく」ではなく「役に立つ」を最優先にする。ユーザーが最初に知りたい情報(問い)に答えられる状態まで絞り、早く配って反応を得る。
ユーザーの最初の問いを5〜7個に絞る
導入直後に必要な確認事項だけを定義し、それ以外の機能は後回しにする。
💡 問いが増えるほど、MVPではなくなる。
コア用途で「使える」状態にする
少人数に渡して、実務で回るかを確認する。完成度より実用性を優先する。
💡 まず自分が毎日使えるかで判定する。
X(旧Twitter)で初期ユーザーと売上を作る
宣伝投稿ではなく、役立つ情報を出しながらプロダクトが動く様子を見せる。情報の価値でクリックが生まれ、裏側の製品理解と導入に自然につながる形を作る。
実体験ベースの価値ある投稿を作る
自分の領域で学んだこと、再現できる手順、失敗談などを投稿の軸にする。
💡 「見せる」投稿(画面・事例)が強い。
投稿内に小さなCTAを置く
画像内と本文に、試す導線を短く添える。主役は情報で、CTAは脇役にする。
💡 「宣伝感」を出すと伸びにくい。
継続で信頼残高を積む
フォロワーの多寡より、同じテーマで投稿し続け、過去の実績が伝わる状態を作る。
💡 大きなアカウントも最初は0から始まる。
オンボーディングと解約対策を組み込む
売れ始めた後の成長を止める最大要因は解約だ。品質の問題ではなく「使い方が分からない」ことで離脱するユーザーを減らすため、プロダクト内で即座に助けられる仕組みを用意する。
離脱理由を「混乱」に仮置きする
機能が多いほど初回で圧倒されやすい前提に立ち、迷うポイントを洗い出す。
💡 「使い方が分からない」は最優先で潰す。
プロダクト内で即時に助ける導線を作る
Polyのようなエージェントで、ユーザーが迷った瞬間に質問できる状態にする。
💡 サポート採用より先に、自己解決の仕組みを置く。
背景・コンテキスト
B2Cアプリは集客と課金設計の改善で伸ばしやすい一方、SaaSは購入後の利用定着がボトルネックになりやすい。獲得だけ強くても月間経常収益は積み上がらない。
SaaSのアイデア出しは「市場の流行」から始めると要件が曖昧になりがちだ。日々の業務の痛みから始めると、誰の何を改善するかが具体になり、検証もしやすい。
X(旧Twitter)での販売は、フォロワー数よりも「価値ある投稿の積み重ね」が効く。大きなアカウントも最初はゼロから始まり、継続で信頼が形成される。
実践するなら
- ▸自分の業務で毎日イラつく作業を10個書き出す
- ▸そのうち売上に直結する痛みを1つ選び、仮説を1文にする
- ▸Redditや業界投稿のコメント欄で当事者10人に話を聞く
- ▸ユーザーの「最初の6つの問い」に答えるMVPだけ作る
- ▸Xで価値ある情報を投稿し、画面内と本文に小さなCTAを置く