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元ジム見習いが「ジムを売ってウェブ制作会社を買収」で年4.5億円。ジム特化SaaSの正体

7 min read2026年3月8日
元ジム見習いが「ジムを売ってウェブ制作会社を買収」で年4.5億円。ジム特化SaaSの正体

ビジネス概要

事業タイプ

SaaS

フェーズ

拡大期

規模感

年間の継続売上が約4.5億円規模(300万ドル規模)

概要

小規模ジムの集客・営業・運営を、ウェブと自動化機能を一体で提供して回る状態にするサービス。

ターゲット

小規模ジムのオーナー経営者

主な打ち手

既存顧客を持つジム向けウェブ制作会社を買収し、アップセル前提で導入設計を作ってソフトウェア製品へ段階的に移行させた。

30秒で分かる

1元ジム経営者が、Kiloで年4.5億円。

ジム経営者向けサービスを共同で立ち上げ

導入は1,000以上のジム

2NY近郊の経営が、教材になった。

家賃と人件費が高い市場だった

集客が止まると資金が尽きる

勉強グループで数字と失敗を共有した

3失敗を言語化し、教える側に回った。

2018年に集客を教える役を任された

失敗談がそのままノウハウになった

4買収で最初から顧客を持った。

2019年末にウェブ制作会社を買収

既存顧客の不満を洗い出し改善した

合わない顧客は断る設計も入れた

5止まった世界で、納期を縮めた。

2020年3月の流行でジムが営業停止

通常2週間の作業を1〜2日で公開

競合より速く対応し追い風になった

6本質は「元顧客」が最短ルート。

作り手が困りごとを体験していた。

だから導入手順も断り方も決められた。


ストーリーの流れ

Problem

ジムの集客と売上と運営を一人で背負い、改善点が見えなくなる状態に陥った。

  • ニューヨーク近郊の厳しい市場で家賃と人件費が重くのしかかり、判断を誤れば資金が尽きる環境だった。
Insight

強いビジネスを作る鍵は顧客を深く知り、作り手自身が元顧客であることだと掴んだ。

  • 相手が何に困り何を望みどんな順番で使うかが見えると、必要な機能も伝える言葉もブレなくなる。
Insight

ジム経営者の勉強グループで数字や失敗談が共有され、現場の知見と信頼が積み上がった。

  • 売上の数字や運営改善や広告や継続施策が包み隠さず共有されていた。
  • ブランド名の権利費用は取るのに経営を教えない例への違和感も得た。
Action

2018年に集客を教えられる人物として選ばれ、学びを言語化して共有し始めた。

2018年教える仕事の開始
  • 家族や友人の安易な採用や合わない人材の雇用継続や急拡大など失敗の山を教材に変えた。
  • ジムを回すよりもマーケティングや営業を教える仕事のほうがうまく回り始めた。
Action

翌年にウェブサイト制作会社の買収を提案され、マテオと組んで買収に踏み切った。

  • 小さなジムにはちゃんと役に立つ需要があるという言葉で話が現実味を帯びた。
  • ジョンは自分のジムを売り、マテオと2人でウェブ制作会社を買収した。
Team

2019年末の買収後にカレダが加わり、3人でKiloの立ち上げに集中した。

2019年末初回買収の時期
  • 立ち上げ直後の数か月は顧客ヒアリングで困りごとを整理し、拡大の仕組みとチーム作りを進めた。
Growth

2020年3月の感染症流行で需要が急変する中、対応速度で追い風を掴んだ。

2020年3月正式始動直後の外部ショック
  • ジムが営業停止となり、多くのジムが短期間でウェブサイトもビジネスの形も変える必要が生じた。
  • Kiloは感染症対策に対応したサイトをすぐに用意し、競合の動きが遅い中で優位に立った。
Action

既存顧客を起点にアップセル設計へ集中し、段階的に上位サービスへ移行させた。

  • 顧客の不満やつまずきポイントを書き出し、つまずかない導入手順を逆算して作った。
  • 向かない顧客も明確にし、細かいカスタマイズ志向の顧客を断ることもあった。
  • 編集権限を制限してサイトが壊れにくく整った状態を保つ設計にした。
Action

ウェブ制作を補うテック製品を開発し、ジムの集客と営業をまとめて自動化した。

  • フォームやメール自動送信やSMSや営業進捗管理をまとめたマーケティング自動化ツールを作った。
  • 既存の仕組みを活用してジム向けに調整し、費用を抑えつつ改善速度を上げた。
Scale

最初の1年でジム向けの別のウェブ制作会社を4社買収し、勝ち筋を反復した。

最初の1年で4社買収買収による拡大回数
  • 最初の買収で得たデータをもとに営業の流れを整え、同じやり方を繰り返した。
  • 低コストで顧客を獲得し、そこからソフトウェア製品へ移ってもらう戦略を中心に据えた。
Monetize

2021年初めに制作会社型からSaaS企業へ転換する方針を定め、利益を開発へ回した。

2021年初めSaaS転換の意思決定
  • 制作代行の会社とSaaS企業では評価のされ方が大きく違うという前提に立った。
  • 制作代行の会社を買収し、そこからSaaSの売上へ転換していく道を選んだ。
Team

売上成長を背景に専任のソフトウェアエンジニアを雇い、自社開発体制を整えた。

  • ジム経営に必要な機能をまとめたオールインワンのSaaSを作る方針を進めた。
Growth

Kiloはジム経営者向けサービスとして1,000以上のジムに導入される規模へ成長した。

1,000以上のジムに導入導入ジム数
  • 集客と売上アップと会員が増えても回る運営をまとめて支えるツールとして使われた。
Monetize

年間の継続売上が約4.5億円規模(300万ドル規模)に達した。

年間の継続売上も約4.5億円規模(300万ドル規模)年間継続売上
  • プラットフォーム上で大量の自動化処理を動かし、多くの問い合わせにも対応している。
Insight

厳しい市場での失敗経験が顧客理解を深め、Kiloの成長を支える最大の理由になった。

  • 早い段階で失敗を重ねたことが事業運営の土台になった。

ジムの集客も売上も運営も、すべてを一人で背負う。思うようにいかない日が続くと、何を直せばいいのかさえ見えなくなる。

ニューヨーク近郊の厳しい市場で、ジョン・フランクリンも同じ壁にぶつかってきた。家賃も人件費も重くのしかかり、少し判断を誤れば資金が尽きる。焦りと迷いの中で積み上げた経験が、のちに別の形で生きることになる。

やがて彼は、ジム経営者向けサービス「Kilo」を共同で立ち上げ、1,000以上のジムに使われる存在へと成長させた。年間の継続売上も約4.5億円規模(300万ドル規模)まで伸びていく。何が、その転換点になったのか。

顧客の立場に立てた者が、強いビジネスを作る

儲かるビジネスを作るうえで一番大切なのは、顧客を深く知ることだ。相手が何に困り、何を望み、どんな順番でサービスを使うのか。そこまで見えると、必要な機能も伝える言葉もブレなくなる。

その理解を最も早く得られる方法がある。作り手自身が、かつてその顧客だったことだ。

ジョン・フランクリンは、まさにそのタイプだった。自分でジムを経営し、勝ち方も負け方も身をもって経験した。その経験を武器に、マテオ・ロペス、カレダ・コネルとともにジム経営者向けサービス「Kilo」を立ち上げる。

Kiloは、集客・売上アップ・会員が増えても回る運営をまとめて支えるツールとなった。気づけば1,000以上のジムに導入され、年間の継続売上は約4.5億円規模(300万ドル規模)まで伸びていく。

ニューヨーク近郊のジムで、ジョンは鍛えられた

ジョンは最初から経営者だったわけではない。見習いとしてジムの仕事を覚え、現場で汗をかきながら経験を積んだ。少しずつ店舗を増やし、ニューヨーク近郊で複数のジムを持つところまでたどり着く。

ただ、ニューヨークは甘くない。家賃も人件費も高く、客が来なければすぐに資金が尽きる。だからジョンにとって、マーケティングは飾りではなく、生き残るための武器だった。

同じころ、ジョンはジム経営者の勉強グループに参加していた。そこでは売上の数字、失敗談、運営の改善、広告のやり方、会員を継続させる工夫が包み隠さず共有されていた。

ジョンはそこで、ある違和感にも気づく。ジム業界には、ブランド名を使う権利の費用は取るのに、経営のやり方までは教えない例がある。厳しい市場で勝ち残ったジョンの言葉には重みがあり、グループ内での信頼も増していった。

失敗だらけの経験が、教える仕事に変わった

2018年、勉強グループの運営者クリス・クーパーは、大都市での集客を教えられる人物を探していた。そこで白羽の矢が立ったのがジョンだった。

「成功者」として呼ばれたジョンだが、内側は失敗の山だった。家族や友人を安易に雇った。合わない人を長く雇い続けた。急に規模を広げすぎて質を落とした。業者や大家、弁護士ともめた。怪しい助言者に頼った。顧客への説明が足りず、誤解を生んだ。失敗は数えきれない。

だが、その失敗が役に立った。学びを言葉にして共有し始めると、ジムを回すよりもマーケティングや営業を教える仕事のほうが、うまく回り始めた。

「ウェブ制作会社を買わないか」から、話が動き出す

翌年、クリスがジョンに提案する。「会員に勧めているウェブサイト制作会社を買わないか」

ジョンは最初、乗り気ではなかった。だがクリスは言う。小さなジムには、ちゃんと役に立つ需要がある。話は少しずつ現実味を帯びていった。

ジョンは長年一緒に働いてきたマテオと組むことにした。マテオはジョンのジムで最初のゼネラルマネージャーを務めた人物で、のちにKiloのプロダクト責任者になる。

ジョンは自分のジムを売り、マテオと2人でウェブ制作会社を買収した。

買った会社の顧客を育てて、Kiloが走り出す

買収は2019年末。その後、勉強グループで出会ったカレダが加わる。のちにKiloのCEOになる人物だ。

立ち上げ直後の数か月、3人がやったことは派手ではない。顧客へのヒアリングを重ね、困りごとを整理し、事業を拡大するための仕組みとチーム作りに集中した。

スタート直後に世界が止まり、逆に追い風が吹く

2020年3月、Kiloとして正式に動き出した直後、世界的な感染症の流行が起きた。ジムは営業停止となり、収入が止まる。多くのジムが短期間で、ウェブサイトもビジネスの形も変えなければならなくなった。

競合の動きが遅い中、Kiloは速かった。感染症対策に対応したサイトをすぐに用意し、通常2週間かかる作業を1〜2日で公開できた。立ち上げ直後のKiloにとって、これが大きな追い風となった。

アップセルで伸びた。最初から顧客がいたから

Kiloの成長を支えた戦略の一つがアップセルだった。買収した会社にはすでに顧客がいる。だから新規獲得に奔走するより、まず既存顧客が使いやすい流れを作り、より良いサービスへ段階的に移ってもらう設計に集中できた。

やったことはシンプルだ。

まず、顧客の不満やつまずきポイントをすべて書き出す。次に「つまずかない導入手順」を逆算して作る。そして、どんな顧客には向かないかも明確にする。

Kiloは、細かいカスタマイズをしたい人や、自分をマーケティングの専門家だと思っている人を断ることもあった。編集権限を制限し、サイトが壊れにくく、いつ見ても整った状態を保つためだ。

改善が進むと、既存顧客を見込み客を獲得しやすい上位サービスへ移していった。勉強グループで長く活動し、信頼が積み上がっていたことも後押しになった。

ウェブ制作だけでは終わらせない。最初のテック製品を作る

3人は、ウェブ制作を補うテック製品も開発した。フォーム、メールの自動送信、SMS、営業の進捗を追える仕組み。ジムの集客と営業に必要なものをまとめたマーケティング自動化ツールだ。

土台には既存の仕組みを活用し、ジム向けに調整した。ゼロから作るより費用を抑えられ、改善も速い。現場の困りごとを知るチームらしい判断だった。

買収を繰り返し、同じ勝ち方をコピーする

Kiloは最初の1年で、ジム向けの別のウェブ制作会社を4社買収した。既存顧客へのアップセルが見込めると分かっていたからだ。

最初の買収で得たデータをもとに営業の流れを整え、同じやり方を繰り返す。低コストで顧客を獲得し、そこからソフトウェア製品へ移ってもらう。これが中心戦略になった。

制作会社から、SaaS企業へ少しずつ変わる

2021年初め、創業チームはKiloを本格的なSaaS企業にしたいと考えるようになった。

それまでは制作代行に近いサービスと、いくつかのソフトを組み合わせた形だった。しかし制作代行の会社とSaaS企業では、評価のされ方が大きく違う。ならば、制作代行の会社を買収し、そこからSaaSの売上へ転換していく道がある。

利益を開発に回し、ジム経営に必要な機能をまとめたオールインワンのSaaSを作る方針に定めた。売上が伸びていたため、専任のソフトウェアエンジニアも雇えるようになった。

Kiloを支えた3つの柱

  • 市場を知っていた:創業者自身が元ジム経営者で、かつて自分が欲しかったものを作れた
  • バラバラな道具を1つにまとめた:ジム向けツールはあっても、複数のサービスをつなぎ合わせる必要があり、手間も費用もかさみやすい。Kiloは1つのログインで必要なものをすべて使える形を目指した
  • 仕事量を減らし、利益を増やす設計:小規模なジムは少人数で、マーケティング・営業・運営をすべて自力でこなす必要がある。そこを支える仕組みを用意した

失敗を先に経験したことが、最後に効いた

開発チームが整うと、KiloはジムのニーズにあわせたM能を自社で作れるようになった。Kiloを使う平均的な顧客は、見込み客が約3倍近くに増え、商談予約が増え、成約も大きく伸びたという。

もともとは副業のつもりだった。しかし小規模なコーチングジムにとって、その必要性はどんどん高まっていった。いまでは年間の継続売上が約4.5億円規模(300万ドル規模)に達し、プラットフォーム上で大量の自動化処理を動かし、多くの問い合わせにも対応している。

ニューヨークのような厳しい市場で戦った経験は、そのまま事業運営の土台になった。早い段階で失敗を重ね、顧客の気持ちを深く理解できていたこと。それがKiloの成長を支えた、最大の理由だった。