記事一覧に戻る

経験ゼロの無名起業家が 「パブでビール飲むだけ」で 年商900万円。 黒字コミュニティの全手口

8 min read2026年3月1日
経験ゼロの無名起業家が 「パブでビール飲むだけ」で 年商900万円。 黒字コミュニティの全手口

ビジネス概要

事業タイプ

Other

フェーズ

拡大期

規模感

年間売上は約900万円規模(約6万ドル)

概要

孤独になりやすい起業家が、相談と作業を継続できる会費制コミュニティを提供する事業。

ターゲット

資金調達に頼らず自力で事業を育てる起業家(個人起業家・テック系起業家)

主な打ち手

対面イベント中心から外出制限期にオンライン会議とチャットへ切り替え、会費制で継続運営できる形にした。

ストーリーの流れ

Problem

起業すると孤独が濃くなり、ひとりで抱え込みやすくなる課題があった。

  • 予定が減り誰にも会わず夜遅くまで画面に向かう日が続く状況だった。
  • うまくいかない日ほど孤独が増す感覚があった。
Insight

起業の道のりをもっと成功しやすく楽しく寂しくないものに変えられると考えた。

  • 起業家同士がつながる場を作ることにした。
  • 経験はほとんどない中でもまず動き出す方針だった。
Action

友人とパブで話す小さな集まりからコミュニティを始めた。

  • その時間が主催者自身の支えになった。
  • 同じように孤独を感じている人が集まり輪が広がっていった。
Action

経験ではなく熱意で試して聞いて直す反復を続けて形にした。

  • どうすれば人が来るかとどうすれば続くかを実験し続けた。
  • 繰り返しの中で少しずつ運営の型ができていった。
Growth

集まりの回数と規模が増え企業スポンサーもついてイベント中心の活動が事業化した。

  • 約5年ほどかけて活動が拡大した。
  • スポンサー獲得で運営の基盤が強まった。
Insight

オンラインの会話が活発に動くなら現実に会える場へつなげられると気づいた。

  • 2017年にロンドンの起業家が集まるオンラインのチャットに深く関わった。
  • ロンドンには自力で起業する人が多いと捉えた。
Action

ロンドンのテック系起業家が毎週パブに集まるグループを立ち上げた。

  • 近況やプロジェクトを話す場として機能した。
  • 家で一人で働く個人起業家にとって外に出て人と会えること自体が価値になった。
Growth

集まりが人気になりスポンサーがつくようになった。

  • 対面の場が継続的に求められている手応えがあった。
Action

仕事を辞めてコミュニティ運営に踏み込み、イベント会社の買収で運営を広げた。

  • 2018年にチャーリーは仕事を辞めた。
  • 2020年に別の起業家イベント会社を買収し複数のイベントをまとめて動かす形にした。
Growth

コミュニティの登録者が900人規模まで増えた。

登録者は900人規模登録者数
  • 活動の広がりが登録者数の増加につながった。
Insight

話す場だけでは足りず一緒に作業する場へのニーズが高まった。

  • 参加者から一緒に作業できる場がほしいという声が大きくなった。
Action

作業会を小さく検証しメール登録20件を目標に手作業で集客した。

  • 簡単な案内ページと登録フォームを作った。
  • ニュースレター読者やSNSフォロワーに知らせ名刺も配った。
  • 知り合いにも直接声をかけて反応を確かめた。
Growth

30人が登録しテストイベントに20人が来たことで必要性の手応えを得た。

  • 午前の進捗共有、昼のランチ、夕方の成果共有というシンプルな流れだった。
  • たったそれだけでも場の必要性が確認できた。
Monetize

参加者に支払い意思を確認して少額の会費を設定し事業として育て始めた。

  • イベント後に月1回ならいくら払えるかを一人ずつ聞いた。
  • 18人から返事が来て料金を払ってでも続けたい人が多いと分かった。
Monetize

月1回の作業会は最初の1か月で売上約7万円になった。

最初の1か月で売上は約7万円(約500ドル)初月売上
  • 作業会はウィークエンドクラブと名付けられた。
  • 小さいが確かな一歩として位置づけられた。
Action

外出制限で対面が止まってもオンライン会議とチャットを整えて場を維持した。

  • 2020年に対面の集まりが開けなくなりコミュニティ崩壊の不安が出た。
  • 起業家同士が情報やツールを共有できるように切り替えた。
  • 先が見えない中でも急いで決めて動いたことが結果的にうまく回った。
Team

運営負荷が増えたためパートタイムのメンバーを雇って燃え尽きを防ぐ形を作った。

  • やることが増えるほど運営は重くなると捉えた。
  • 手伝ってもらう体制は燃え尽きないための仕組み作りだった。
Scale

空きオフィスに連絡してイベント開催と引き換えに場所を使う提案で体験とコストを両立した。

  • 2022年にロンドンでオフィスの空室が増えている状況を機会に変えた。
  • 都心の質の高い場所を手ごろな条件で使えるようになった。
Growth

2022年5月に名称をラーメンクラブへ変更し短期間で参加者が約3割増えた。

短期間で参加者は約3割増えた参加者増加率
  • 名前のラーメンは生活費をまかなえる最低限の安定収入に届いた状態を指す言葉が元になっている。
  • 名前を変えて紹介の場に出したことが増加のきっかけになった。
Growth

運営を続けて約3年で会員は120人規模になりイベントは週2回になった。

会員は120人規模会員数
イベントは週2回開催頻度
  • 世界中のメンバーがオンライン中心で助け合いながら対面のつながりも大事にしている。
Insight

場の価値を明確にし続けられる形へ寄せないと主催者が燃え尽きる危険があると捉えた。

  • 事業を良くするために相談できる仲間や助言をくれる先輩がいることが参加理由になる。
  • 定期イベントは登壇者調整や会場や飲食や連絡など想像以上に手間がかかる。
  • 続けたいなら最初から続けられる形に寄せていく必要がある。
Monetize

会費で運営される黒字のコミュニティとなり年間売上約900万円規模まで伸びた。

年間売上は約900万円規模(約6万ドル)年間売上
  • チャットやツールもそろい資金調達に頼らず自力で事業を育てる起業家がつながれる場所になった。
  • 小さな集まりが黒字で回るコミュニティへ育った。

起業すると、世界が急に静かになる。予定は減り、誰にも会わず、夜遅くまでひとりで画面に向かう日が続く。うまくいかないほど、孤独は濃くなる。

チャーリー・ワードも、その感覚を知っていた。だからこそ「起業の道のりを、もっと成功しやすく、もっと楽しく、もっと寂しくないもの」に変えられないかと考えた。経験はほとんどない。それでも、まずは小さな集まりから動き出した。

やがてその一歩は、会費で運営される黒字のコミュニティへ育っていく。年間売上は約900万円規模(約6万ドル)に到達した。何が転機になり、どうやって続く形にしていったのか。

コミュニティ作りでは、経験より熱意が勝つ

テック系スタートアップを始めると、急に世界が静かになる。予定は減り、誰にも会わずに、夜遅くまでパソコンの前で直し続ける。うまくいかない日ほど、ひとりで抱え込む。

チャーリー・ワードも、そんな孤独を知っていた。起業の道のりを「もっと成功しやすく、もっと楽しく、もっと寂しくないもの」にできないか。そう考えて、起業家同士がつながる場を作ることにした。

始まりは大げさなものではない。友人とパブでビールを飲みながら話す、小さな集まりだった。けれど、その時間がチャーリーの支えになった。気づけば同じように孤独を感じている人が集まり、輪が広がっていった。のちに、その場はラーメンクラブと呼ばれるようになる。

チャーリーには、コミュニティ運営の経験がほとんどなかった。それでも動かしたのは経験ではなく熱意だった。どうすれば人が来るのか、どうすれば続くのか。試して、聞いて、直して、また試す。その繰り返しで、少しずつ形にしていった。

5年ほどかけて、集まりの回数も規模も増え、企業スポンサーもついた。イベントを中心にした活動は、やがて事業になっていった。

オンラインのつながりを、現実の場へ

チャーリーは、会社員の世界とスタートアップの世界の両方を歩いてきた。2010年に大学を出た後、フラミンゴ形の浮き輪や子ども向けヨガマットを売るネット通販をやった時期もある。都市部のマーケティング会社で働いたこともあれば、期間限定のフライドチキン店、コワーキングスペースなど、いろいろな挑戦もしてきた。

2017年、ロンドンの起業家が集まるオンラインのチャットに深く関わるようになった。そこでチャーリーは気づく。ロンドンには、自力で起業する人が多い。しかも、オンラインの会話がよく動く。

だったら、画面の中だけで終わらせたくない。実際に会える場所を作ろう。そうして、ロンドンのテック系起業家が毎週パブに集まり、近況やプロジェクトを話すグループが生まれた。

家で一人で働く個人起業家にとって、「外に出て、人と会える」だけで価値がある。集まりは人気になり、スポンサーもつくようになった。

2018年、チャーリーは仕事を辞めた。2020年には別の起業家イベント会社を買収し、複数のイベントをまとめて動かす形に広げた。コミュニティの登録者は900人規模まで増えていった。

ただ、パブで話すだけでは足りなくなっていく。「話す場」だけでなく、「一緒に作業する場」がほしい。そんな声が大きくなった。

「一緒に作業したい」から始まった

2019年、仲間から頼まれるようになった。「月に2回くらい、一緒に作業できる場がほしい」

チャーリーは、まず小さく試すことにした。目標は「メール登録20件」。簡単な案内ページを作り、登録フォームを置く。ニュースレターの読者やSNSのフォロワーに知らせ、次の集まりでは名刺も配った。知り合いにも直接声をかけた。

この段階では、手作業が効く。まだ人脈が十分でないからこそ、直接話すと学びが大きい。「どんな人が強く興味を持つか」「どんな言い方が伝わるか」が分かる。あとで人数を増やすとき、その感覚が宣伝の強さになる。

結果、30人が登録し、テストイベントには20人が来た。流れはシンプルだ。午前に短い進捗共有。昼にランチ。夕方に成果や作業内容の共有。たったそれだけで、「この場は必要だ」という手応えがあった。

イベントのあと、チャーリーは参加者に一人ずつ聞いた。「月1回なら、いくら払える?」18人から返事が来た。料金を払ってでも続けたい人が多い。そこで少額の会費を設定し、少しずつ事業として育てていった。

この月1回の作業会は、ウィークエンドクラブと名付けられた。最初の1か月で売上は約7万円(約500ドル)。小さいが、確かな一歩だった。

外出制限が来ても、場を消さなかった

2020年、外出制限で対面の集まりが開けなくなった。コミュニティが崩れる不安が出た。ここで止まれば、せっかくできたつながりが消える。

チャーリーは切り替えた。オンライン会議とチャットの場を整え、起業家同士が情報やツールを共有できるようにした。孤立しやすい時期だったからこそ、オンラインのつながりが価値になった。会費を払い続けるメンバーも多かった。

もともとオンライン中心にする予定ではなかった。だが、先が見えない中でも急いで決め、動いた。それが結果的にうまく回った。

2021年の夏ごろから社会が動き始めても、しばらくはオンライン中心が続いた。とはいえ、対面で会いたい気持ちは強い。メンバーの要望を聞きながら、集まりの回数や交流の機会を増やしていった。

やることが増えれば、運営は重くなる。そこでパートタイムのメンバーを雇い、手伝ってもらう形も作った。燃え尽きないための仕組み作りだった。

空きオフィスを使って、体験を上げる

ロンドンが再び開き始めたころ、チャーリーは別のチャンスも見つけた。2022年、ロンドンではオフィスの空室が増えていた。空いているビルに連絡し、「イベントを開く代わりに、そのオフィスを紹介する」という提案をした。

これで、都心の質の高い場所を、手ごろな条件で使えるようになった。参加者にとっては体験がよくなる。運営側にとってはコストを抑えやすい。場所の問題を、工夫でひっくり返した。

ラーメンクラブという名前に込めた意味

2022年5月、名前をウィークエンドクラブからラーメンクラブへ変えた。

ここでいう「ラーメン」は、スタートアップ界隈で使われる言葉が元になっている。生活費をまかなえる最低限の安定収入に届いた状態。派手ではないが、倒れない。生き残れる。そんなラインを指す。

名前を変えて紹介の場に出したところ、短期間で参加者は約3割増えた。

運営を続けて約3年。会員は120人規模になり、イベントは週2回。世界中のメンバーがオンライン中心で助け合いながら、それと同じくらい対面のつながりも大事にしている。

起業家にとって、何が価値になるのか

ラーメンクラブが強い理由は、「何のための場か」がはっきりしていることにある。

事業を良くするために相談できる仲間がいる。助言をくれる先輩もいる。そして、やり取りがちゃんと動いている。参加する理由が見えるから、場の軸がぶれにくい。

コミュニティ作りでは、「誰のための場で、何を叶えるのか」を明確にすることが大切になる。特に企業が作るコミュニティは、目的があいまいだったり、担当者が分野を理解していなかったりして、育たないことが多い。何のために集まるのかが分かっているだけで、運営はずっと楽になる。

場所選びや、毎回の決まった流れも重要だ。バーなのかオフィスなのか。目的を叶えやすい空間を選ぶ。さらに、決まった習慣があると続きやすい。たとえば「毎月この日にパブで集まる」と決まっていれば、参加者の頭に残る。コミュニティにとっての機能になる。

最大の危険は、燃え尽きること

コミュニニティ運営で一番こわいのは、主催者が燃え尽きることだ。

自分の時間や体力を見誤り、イベントや準備を抱え込みすぎると、ある日突然続けられなくなる。定期的な対面イベントは、登壇者の調整、会場、飲食、連絡、当日の進行など、想像以上に手間がかかる。

続けたいなら、最初から「続けられる形」に寄せていく必要がある。

これからは、もっと大きな器へ

感染症流行後、オンラインの強さを伸ばしてきた一方で、これからは遠方のメンバーにも対面の機会を増やしたい考えがある。オンラインにはオンラインの役割があり、地方では特に役立つ。それでも、人と直接会うつながりは必要だ、という立場だ。

やり直せるなら、検索で見つけてもらう工夫をもっと早く学びたかった、とも考えている。早く始めていれば、今より先に進めた可能性があるからだ。

そして最後に残った結論はシンプルだ。コミュニティ作りを支えたのは、生まれつきの才能より、学び続ける姿勢と分野への強い興味だった。熱意があれば、経験不足は乗り越えられる。

チャーリーは、ただ集まりを作ったのではない。孤独になりやすい起業の道に、「一緒に進める場所」を置いた。その小さな一歩が、黒字で回るコミュニティへと育っていった。

今のラーメンクラブは、会費で運営される黒字のコミュニティになり、年間の売上は約900万円規模(約6万ドル)まで伸びた。チャットやツールもそろい、資金調達に頼らず自力で事業を育てる起業家がつながれる場所になっている。