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移住してきた無名の男2人が 「ファラフェル店の裏の小屋でeBay回すだけ」で 毎年10%超成長。 Amazonが冷たく見える“近所の店通販”の全手口

7 min read2026年3月3日
移住してきた無名の男2人が 「ファラフェル店の裏の小屋でeBay回すだけ」で 毎年10%超成長。 Amazonが冷たく見える“近所の店通販”の全手口

ビジネス概要

事業タイプ

Marketplace

フェーズ

拡大期

規模感

毎年10%以上成長

概要

オーストラリアの地元ブランドの商品を、販売ページ作成・発送設計・問い合わせ対応までまとめて引き受けてオンラインで売れる形にする通販プラットフォーム兼小売。

ターゲット

ネットでの売り方が分からないオーストラリア国内の地元ブランド(メーカー・作り手)

主な打ち手

自社で売るだけでなく地元ブランドの販売・運用(掲載、発送段取り、問い合わせ対応、技術支援)を代行するモデルに切り替えた。

ストーリーの流れ

Problem

AmazonやeBayの便利さに対して売り手の顔が見えない冷たさがあり、距離感が課題だった。

  • ネット上に近所の店みたいな温度を作る必要があると2人は考えた。
Team

アンドリュー・ハンナとマル・バダウィが出会い、異なる強みを組み合わせる体制ができた。

  • アンドリューは決断が速くまず動くタイプである。
  • マルは数字と計画に強く先を読むタイプである。
Action

小さな会社向けアプリ提供に挑戦したが、伸びても負担が大きく撤退した。

利用者は100社以上導入企業数
  • 営業が電話中心で負担が大きかった。
  • 続けるほど苦しくなる構造だったため仕事をやめた。
Action

eBayで交換部品を売り始めて手作業で運用し、ネット通販に集中する決断をした。

  • ファラフェル店の裏でジューサーの替え刃のような交換部品を売り始めた。
  • 作業場所は家の裏庭の小さな小屋で、梱包から持ち込みまで自分たちで回した。
  • 在庫間違いや手順崩れなど失敗も多かった。
  • 数か月後にファラフェル店を閉めて通販に集中した。
Insight

地元には良い物を作っているのにネットでの売り方が分からず客に届いていないブランドが多いと気づいた。

  • 海外仕入れから始めたが国内仕入れが増える中で課題が見えた。
Action

Ozdingoとしてブランドの販売ページ作成や発送設計や問い合わせ対応までまとめて引き受ける方向に切り替えた。

  • 自分たちが売るだけでなくブランドの代わりに売れる形を整える方針にした。
  • 技術的な支援も含めてまとめて引き受ける存在になった。
  • 店名をOzdingoに変え地元の空気を名前に入れた。
Growth

地元ブランドを支える形に切り替えてからOzdingoは毎年10%以上成長した。

毎年10%以上成長年次成長率
  • 小さな荷物中心だった注文が箱単位や木箱単位へと大きくなった。
Scale

2017年に小屋を出て街中の大きな倉庫へ移り、扱う物量に合わせて拠点を拡張した。

2017年倉庫移転
  • 注文の単位が大きくなるにつれて保管と作業の前提が変わった。
Problem

2018年に商品が増えすぎて配送や返品の流れを回しきれない仕組みの壁にぶつかった。

2018年運用ボトルネック顕在化
  • 倉庫に置けるのは全商品の一部だけで管理が複雑になった。
  • ミスが起きやすい状態になった。
Action

販売窓口と問い合わせ対応に集中し、保管や発送の一部を取引先側に任せるモデルへ変更した。

  • どの商品を自分たちで強く扱うべきかを長年の販売データで判断するようになった。
  • 任せた方がよい領域を切り分けて運用を組み替えた。
Team

最初の社員として75歳の父が梱包を手伝い、現場を支える人材が加わり始めた。

  • 倉庫が大きくなるにつれて家族も加わった。
Team

運営のプロであるローズを迎えるために柔軟な働き方を整え、それが会社全体に広がった。

  • ローズはファッション小売の現場で25年以上の経験があった。
  • 子どもが生まれたばかりで柔軟な勤務時間が必要だった。
  • 8時30分から2時30分まで働くスタッフが複数いる体制になった。
  • 短い時間でも集中して成果を出せる体制を作り離職が少なくなった。
Growth

派手な広告ではなく丁寧な顧客対応と評価の維持が信用を作り、口コミで取引先が増えた。

8年信用の積み重ね
  • 評価が少しでも下がればすぐ直すことを繰り返した。
  • 地域の掲示板のような場所に載せるなど小さな手を打ち続けた。
  • 名前を早めに商標登録した。
  • ブリスベンで少しずつ知られるようになった。
Action

2022年に3年かけて集めたデータをもとに倉庫管理システムOzdingo Connectを自社開発した。

2022年自社ソフト開発
  • 既製品は現場に合わせた調整や外部サービス連携が不足していた。
  • 商品番号変更のたびに設定し直すなどの問題が積み重なっていた。
  • 倉庫管理だけでなく掲載作業にも役立てる構想だった。
Scale

オーストラリアらしさと品質基準を満たすブランドが参加する新しい通販プラットフォーム兼小売店を目指した。

  • 短い配送時間や一定期間の返品対応など品質とサービスの基準を求める方針である。
  • 他では見つからない尖った商品が手に入る場所を作る狙いである。
Monetize

資金調達に頼らず利益を積み重ねて回す方針を貫き、2022年の引き締め局面でも収益の土台が支えになった。

2022年業界引き締め局面
  • 事業が不安定に見えた時期が長くマルがしばらく給料を取らない時期もあった。
  • 競合が投資家から大きな資金を集めて急成長するのを見て悔しさを感じたこともあった。
  • 無理のない収益の土台が崩れない強さとして残った。

便利なのに、どこか冷たい。AmazonやeBayで買い物をするたびに、そんな距離感を覚えたことがある人は多いはずだ。

オーストラリアでも、同じような違和感を抱えながら動き出した2人がいた。最初の挑戦は伸びても苦しく、手作業の失敗も重なった。それでも彼らは、ネットの上に「近所の店みたいな温度」を作ろうとした。

小さな小屋から始まった試行錯誤は、やがて毎年10%以上の成長につながっていく。派手な広告ではなく、積み重ねで信用を作った2人が、どんな壁にぶつかり、どう乗り越えたのか。

AmazonやeBayは冷たい?オーストラリアの2人が「近所の店みたいな通販」を作るまで

AmazonやeBayは便利だ。けれど、どこか遠い。売っている人の顔も、店の匂いも見えない。

オーストラリアに、そんな空気を変えようとした2人がいた。アンドリュー・ハンナとマル・バダウィ。2人が作ったのが、オンライン小売店Ozdingoだ。

ただのネットショップではない。地元ブランドがいろいろな場所で商品を売れるように手伝い、面倒な問い合わせ対応まで引き受ける。ネットの上に、近所の店みたいな温度を作ろうとした。

移住してきた男と、地元で動き回る男が出会った

マルはレバノン出身。投資銀行で働いたあと、オーストラリアへ移住した。新しい土地で何かを始めたかった。

ブリスベンで飲食の仕事を考えていたとき、紹介でアンドリューと出会う。アンドリューは地元で飲食店をいくつも回していた。

2人はタイプが違った。アンドリューは決断が速く、まず動く。マルは数字と計画に強く、先を読む。その違いが、うまくかみ合った。

最初の挑戦は、うまくいっても続かなかった

2人が最初に取り組んだのは、小さな会社向けのアプリ提供だった。利用者は100社以上に増えた。

ただ、営業は電話が中心で、負担が大きかった。伸びているのに、続けるほど苦しくなる。2人はその仕事をやめた。

ファラフェル店の裏で、eBayが回り始めた

次に2人はファラフェル店を開いた。同時に、eBayでジューサーの替え刃のような交換部品を売り始めた。

これが当たった。売れ行きが良く、やることも分かりやすい。扱う商品を少しずつ増やしていった。

作業場所はアンドリューの家の裏庭にある小さな小屋。梱包材を店へ買いに行き、自分たちで荷物を郵便局へ持っていく。まさに手作業のスタートだった。

在庫を間違えたり、手順が崩れたり、失敗も多かった。でも、その失敗があとで武器になる。

数か月後、2人はファラフェル店を閉め、ネット通販に集中する決断をした。

「いい物を作ってるのに、売り方が分からない」人たちがいた

最初は海外からも仕入れていた。日本、中国、フィリピンなどだ。ところが続けるうちに、オーストラリア国内の仕入れが増えていく。

そこで気づいた。

地元には、魅力的な商品を作っているのに、ネットでの売り方が分からず、客に届いていないブランドがたくさんある。

2人は方向を決めた。自分たちが「売る」だけじゃない。ブランドの代わりに、売れる形を整える。

販売ページを作る。発送の段取りを組む。問い合わせに答える。技術的な支援もする。まとめて引き受ける存在になる。

店名もOzdingoに変えた。Ozはオーストラリア人の呼び名。Dingoはオーストラリアにいる野生犬。地元の空気を名前に入れた。

小屋から倉庫へ。成長の次に来たのは「仕組みの壁」

地元ブランドを支える形に切り替えてから、Ozdingoは毎年10%以上成長した。

小さな荷物が中心だった注文は、箱単位、木箱単位へと大きくなる。2017年、2人は小屋を出て街中の大きな倉庫へ移った。

だが2018年、別の問題が起きた。商品が増えすぎて、配送や返品の流れをきれいに回せなくなった。

倉庫に置けるのは全商品の一部だけ。管理が複雑になり、ミスが起きやすくなる。

2人はモデルを変えた。Ozdingoは販売窓口と問い合わせ対応の中心になる。保管や発送の一部は取引先側に任せる。

どの商品は自分たちで強く扱うべきか。どこから先は取引先に任せた方がいいか。長年の販売データで判断するようになった。

最初の社員は75歳の父。そこから「働き方」が会社の強さになった

最初の社員はアンドリューの75歳の父だった。梱包を手伝った。

倉庫が大きくなるにつれて家族も加わり、やがて会社の空気を変える人が入る。ローズという運営のプロだ。

ローズは倉庫の近所に住み、ファッション小売の現場で25年以上の経験があった。前の会社が買収され、転職を考えるタイミングが来た。

ただ、子どもが生まれたばかりで、柔軟な勤務時間が必要だった。

2人はローズの経験が必要だと判断し、働き方を合わせた。これが会社全体に広がる。

  • 学校へ送ったあと8時30分から働き、迎えの2時30分に上がるスタッフが複数いる
  • 短い時間でも集中して成果を出せる体制を作り、離職が少なくなった

社員を中心に考える文化が、結果として現場を強くした。

派手な広告より、8年の積み重ねが信用になった

Ozdingoが伸びた理由は、大きな広告ではない。長い運営と、丁寧な顧客対応だった。

評価を高い水準で保ち、少しでも下がればすぐ直す。その繰り返しが信用を作った。

地域の掲示板のような場所に載せる。名前を早めに商標登録する。小さな手を打ち続けた。

ブリスベンで少しずつ知られるようになり、口コミだけで取引先が見つかることも増えた。本格的なマーケティングに力を入れ始めたのは、もっと後の話だ。

現場の不満から、自分たちのソフトを作った

2022年、2人は次の段階へ進む。3年かけて集めたデータをもとに、自社ソフトを開発した。

Ozdingo Connect。倉庫管理システムだ。

既製品のソフトは、現場に合わせた細かな調整がしにくい。外部サービスとの連携も足りない。中には、現場を知らない人が作ったようなものもあった。

商品番号が変わるたびに設定し直す。別の商品で同じバーコードが使われて混乱する。そんな問題が積み重なる。

Ozdingo Connectは、倉庫管理だけで終わらない。商品を売るための掲載作業にも役立つ。Ozdingoの店だけでなく、他の大きな販売先にも、最適化した説明文で出せるようにする構想だった。

大量の商品を求める大企業だけでなく、少数の商品を丁寧に作る小さな作り手にも光を当てたい。そこに狙いがあった。

オーストラリアらしさと品質で、新しい通販を目指す

Ozdingoが目指すのは、オーストラリアを代表するような新しい通販プラットフォーム兼小売店だ。

参加するブランドには、短い配送時間や一定期間の返品対応など、品質とサービスの基準を求める。

オーストラリアは電気製品の安全基準や規制が厳しい国とも言われる。2人は国内のものづくりがもっと動くように助けたい。

他では見つからない、細かく尖った商品が手に入る場所を作る。それが2人の次の勝負になる。

資金調達に頼らない苦しさが、あとで強さになった

この道は楽ではなかった。事業が不安定に見えた時期も長い。マルがしばらく給料を取らない時期もあった。

人を増やす金が足りないと思い、休まず働き続けた年もある。

同じ時期に始まった競合が、投資家から大きな資金を集めて急成長するのを見て、悔しさを感じたこともあった。

それでも2人は、利益を積み重ねて自分たちの力で回すやり方を選び続けた。

その結果、2022年にネット通販企業全体が引き締めを迫られたときも、無理のない収益の土台がOzdingoを支えた。

派手さはない。けれど、崩れない強さが残った。