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無名の会社員が 「Googleスプレッドシートだけ」で 1500万円。 “無料は検証にならない”全手口

8 min read2026年3月2日
無名の会社員が 「Googleスプレッドシートだけ」で 1500万円。 “無料は検証にならない”全手口

ビジネス概要

事業タイプ

Media

フェーズ

拡大期

規模感

2年で6桁ドル規模の売上(約1,500万円規模)

概要

Googleスプレッドシートの実務ノウハウを動画・テンプレートとして有料提供する学習サービス。

ターゲット

スプレッドシートのスキルを業務効率化や副収入獲得に活かしたい個人事業主やスタートアップの経営者

主な打ち手

最初から有料(買い切り中心)で提供し、AppSumo向け特典(テンプレート19個)を用意して販売を伸ばした。

ストーリーの流れ

Problem

Googleスプレッドシートは広く使われている一方で本当の機能がほとんど活用されていない状況があった。

  • 多くの人は表計算までで止まり数百の関数や便利機能を使いこなさないまま終わる。
  • 便利さを体系的に教える講座がほとんど見当たらないことが課題になっていた。
Insight

知られていないスプレッドシートの力を学びのサービスにすれば差別化できるとAndrew Kampheyは気づいた。

  • 社内のぐちゃぐちゃなライセンス管理フォームをたった1行のスクリプトで整理して直した経験が自信になった。
  • 自分の技術が外から見ると珍しいと知ったことが後の事業化の土台になった。
Action

役に立つのに知られていない作り方を動画にしてBetter Sheetsを立ち上げた。

約4,500円($30)の買い切り初期価格
  • 記事への不満をきっかけに自分で講座を作ると決めた。
  • まず8本作り4本は有料で4本は無料にした。
  • 価格は約4,500円($30)の買い切りにした。
Growth

公開直後に購入が発生し手応えを得たが売上は波があった。

  • サイトを土曜に公開して月曜には最初の購入者が現れた。
  • 購入者が現場での変化を写真で送ってきたことが継続の後押しになった。
  • 最初の購入の後に次の売上まで2週間空く日もあり安定しなかった。
  • しばらくは副業として扱い別の仕事やプロジェクトを優先していた。
Action

別事業の失敗経験から無料では価値検証にならないと学び有料前提の設計を徹底した。

  • CreatorGrowthLabをフリーミアムで200人集めたが結局誰もお金を払わなかった。
  • 無料ユーザーが増えるほど運営の手間と費用が増え売上はゼロのままだった。
  • この経験から料金を取らない限り価値の証明にならないと結論づけた。
Action

先が読みにくい時期ほど固定価格が安心だと考えBetter Sheetsは買い切りで開始した。

  • 買い切りなら購入者は追加請求がなく提供側も毎月更新の義務に追われにくい。
  • 副業で育てる段階にも合う設計だった。
Action

家族の変化と事業の失敗を経てBetter Sheetsに集中する意思決定を行った。

  • 2021年に友人からSaaSを買ったが2日後に妻の妊娠が分かりリスクの取り方が変わった。
  • そのSaaSを約450万円($30,000)で売却した。
  • 2022年1月にフルタイムの仕事に就くが約5か月で辞めてバリ島へ移住しBetter Sheetsに集中した。
  • 自分のプロジェクトが3年以上続かない傾向を自覚しBetter Sheetsの3年目を見たいと考えた。
Growth

大きく宣伝していない間でもBetter Sheetsは2年で6桁ドル規模の売上を作っていた。

2年で6桁ドル規模の売上(約1,500万円規模)初期の売上規模
  • 続ければ伸びる手応えがあった。
Scale

AppSumoとの協力で販売が一気に伸び顧客層がビジネスオーナー中心に広がった。

最初の約4,000人の顧客初期顧客数
開始から1週間で100件、3か月で1,000件の販売AppSumo経由の販売伸長
  • Better Sheetsは企業向け研修需要を狙っていたが最初の約4,000人の顧客はビジネスオーナーやスタートアップ運営者が中心になった。
  • AppSumo向けに特別な内容を用意しスプレッドシートのテンプレート19個を無料で付けた。
  • 開始から1週間で100件、3か月で1,000件の販売につながった。
  • AppSumo側の記事やおすすめリスト掲載も追い風になった。
Monetize

外部割引チャネルは手数料で利益が減るため自分の発信で集客できる体制づくりに動いた。

売上の30%が手数料チャネル手数料率
  • AppSumo経由の売上は30%が手数料として引かれる。
  • TwitterやYouTubeなど自分の発信でも集客できるように動き始めた。
Monetize

コンテンツ拡充に合わせて価格を上げ買い切りと月額の両方で売上を作った。

2022年7月と8月はどちらも月1万ドル(約150万円)の売上月次売上到達
買い切りは最終的に約16,000円($109)買い切り最終価格
  • 買い切りは最終的に約16,000円($109)になった。
  • 月約2,800円($19)の月額プランも用意した。
  • 2022年7月と8月はどちらも月1万ドル(約150万円)の売上になった。
Scale

動画教材からテンプレートと仕組みの提供へ広げてプロダクトを道具箱化した。

  • 2年かけてスプレッドシートで仕事を進めるための道具箱へ変わっていった。
  • 投稿アイデアや悪い習慣を記録するDark Habitsなどダウンロードして使えるテンプレートも売るようになった。
  • Onlysheetsを作りテンプレート制作者が自分のテンプレートを販売できる場所も用意した。
  • Better Sheetsの会員には副収入を作りたい人や強い無料配布物を作りたい人が多くOnlysheetsはその需要に合わせて生まれた。
Growth

顧客対応を通じて動画資産を積み上げ会員向けコンテンツの拡張余地を残した。

  • 顧客から質問が来たときに個別に解説動画を送ることもある。
  • 作った動画はこれまでに約1,000本で会員が見られるのは220本ほどである。
  • 今後さらに公開していく余地がある。
Team

成長に伴い1人運営の限界が見え仕組み化して自分がいなくても回る形を目指した。

  • 個人のキャラクターに依存したビジネスは本人が動けなくなった瞬間に止まる。
  • 小さな会社を仕組み化して回す考え方を学び自分がいなくても動く機械のようなビジネスにしたいと考えている。

Googleスプレッドシートは、誰もが使っているのに「本当の力」を知らないまま終わりがちだ。表を作って計算して、それで十分だと思ってしまう。

でも、もしその“知られていない力”を武器にできたらどうなるのか。学び直すべきか迷う気持ちや、今の働き方のままでは伸びない停滞感を抱えながらも、一歩踏み出した人がいる。

小さな動画販売から始めた取り組みは、やがて6桁ドル規模の売上(約1,500万円規模)を生み、月1万ドル(約150万円)の売上に届く月も出てきた。何が転機になり、どうやって会員制ビジネスに育っていったのか。

みんな使っているのに、ほとんど知られていない道具

Googleスプレッドシートは、仕事の現場で当たり前のように使われている。Excelと並ぶ、定番の道具だ。

でも多くの人は、表を作って、足し算や平均を出して終わる。スプレッドシートには数百の関数があり、便利な機能も山ほどあるのに、そこまで使う人は少ない。

その「知られていない力」に目をつけて、学びのサービスを作り、会員制ビジネスに育てたのがAndrew Kampheyだ。サービス名はBetter Sheets。最初からお金を取る仕組みにしたことが、後で大きな差になっていく。

会社で「スプレッドシートの人」になった日

Andrewがスプレッドシートを本気で学び始めたのは2015年。QYOUというスタートアップのテレビネットワークで働いていた時期だ。

社内には、ライセンス管理のフォームがあった。ぐちゃぐちゃで、誰もちゃんと直せない。そこでAndrewは動画を見ながら学び、たった1行のスクリプトで整理して直してしまった。

それ以来、職場での呼び名は「スプレッドシートの人」になった。そこから3年、仕事の中で腕を磨き続けた。

週末だけで作った道具が、思わぬ反応を生んだ

2018年に会社を辞めた後、Andrewは共同創業者と、週末だけで新しい仕組みを作った。

それは「ドメイン評価ツール」。ドメインの価値をドロップダウンで表示する。しかも全部、Googleスプレッドシートだけで作った。

共同創業者は驚いた。「こんな作り方は見たことがない」と言った。Andrewはその時初めて、自分が当たり前だと思っていた技術が、外から見るとかなり珍しいと知った。

怒りが、最初の動画になった

AndrewはInfluence Weeklyというニュースレターも運営していて、2020年に5桁ドル規模で売却(約150万円規模)している。

同じ2020年、ある記事を読んで強い不満を感じた。記事は「最も役に立たないGoogleスプレッドシートの数式」を紹介していた。でもAndrewから見ると、そこに挙げられていた数式はむしろ便利だった。

問題は別にあった。便利さをちゃんと教える講座が、ほとんど見当たらない。

なら自分で作ろう。そう決めて、役に立つのに知られていない作り方を動画にした。まず8本作り、4本は有料、4本は無料にした。価格は約4,500円($30)の買い切り。

土曜に公開して、月曜に売れた

サイトを土曜に公開すると、月曜には最初の購入者が現れた。

購入者のCarlosは、動画を全部見た後、スプレッドシートが「使う前」と「使った後」でどう変わったか、写真をメールで送ってきた。学んだことが現場で効いた。その熱量がAndrewの背中を押した。

ただ、売上は一直線には伸びなかった。最初の購入の後、次の売上まで2週間空いた日もある。ある日は5人がまとめて買い、また止まる。波があった。

しばらくは副業として扱い、別の仕事やプロジェクトを優先していた。

別の事業の失敗と、家族の変化

2021年、Andrewは友人からSaaSを買った。ところが2日後、妻の妊娠が分かった。

生活が変わる。リスクの取り方も変わる。AndrewはそのSaaSを約450万円($30,000)で売却した。

2022年1月にはニュースレタービジネスの会社でフルタイムの仕事に就くが、約5か月で辞める。そしてバリ島へ移住し、Better Sheetsに集中することにした。

大きく宣伝していない間でも、Better Sheetsは2年で6桁ドルの売上(約1,500万円規模)を作っていた。続ければ伸びる手応えがあった。

Andrewにはもう一つ、気づいていたことがある。自分のプロジェクトは、3年以上続いたことがほとんどない。だからこそ、Better Sheetsの「3年目」を見たくなった。今度は途中でやめたくなかった。

AppSumoで一気に広がった

Better Sheetsは、もともと企業向け研修の需要を狙っていた。だが最初の約4,000人の顧客は、企業の担当者というより、ビジネスオーナーやスタートアップ運営者が中心になった。

理由の一つが、AppSumoとの協力だ。AppSumoはソフトウェアの割引販売で知られ、起業家が集まるコミュニティでもある。アクティブユーザーは200万人以上とも言われる。

AndrewはAppSumo向けに特別な内容を用意し、スプレッドシートのテンプレート19個を無料で付けた。結果は早かった。開始から1週間で100件、3か月で1,000件の販売につながった。

さらにAppSumo側がBetter Sheetsを紹介する記事を出し、創業者がオンラインツールのおすすめリストに入れたことも追い風になった。

ただし、外部の割引サイトに頼ると利益が減る。AppSumo経由の売上は30%が手数料として引かれる。そこでAndrewは、TwitterやYouTubeなど、自分の発信でも集客できるように動き始めた。

「無料」は検証にならないと知った

Andrewが料金にこだわるのは、過去の失敗があるからだ。

以前、CreatorGrowthLabというSaaSを作るために約75万円($5,000)を使った。フリーミアムで200人の利用者を集めたが、結局誰もお金を払わなかった。

無料ユーザーが増えるほど、運営の手間と費用は増える。それでも売上はゼロ。1人で抱えるには重すぎた。

この経験でAndrewは学んだ。「料金を取らない限り、価値の証明にならない」。その後、収益化をテーマにした短い電子書籍も作ったが、無料にせず、少額でも有料で売った。

Better Sheetsも最初から有料にした。さらに、先が読みにくい時期ほど「分かりやすい固定価格」が安心につながると考え、月額ではなく買い切りを選んだ。

買い切りなら、購入者は一度払えば追加請求がない。提供側も、毎月更新し続ける義務に追われにくい。副業で育てる段階にも合っていた。

コンテンツが増えるにつれて価格は上げられ、買い切りは最終的に約16,000円($109)になった。加えて月約2,800円($19)の月額プランも用意し、2022年7月と8月はどちらも月1万ドル(約150万円)の売上になった。

動画から、テンプレートと仕組みのビジネスへ

Better Sheetsは最初、動画教材が中心だった。だが2年かけて「スプレッドシートで仕事を進めるための道具箱」へ変わっていった。

今はダウンロードして使えるテンプレートも売っている。投稿アイデアを作るテンプレートや、悪い習慣を記録する「Dark Habits」というスプレッドシートなどだ。

さらにAndrewはOnlysheetsという別の仕組みも作った。テンプレートを作る人が、自分のテンプレートを販売できる場所だ。購入者は料金を払ってアクセスし、そのテンプレートを使える。テンプレート自体が道具として働く、小さなSaaSのようなイメージだ。

Better Sheetsの会員には、副収入を作りたい人や、見込み客を集める強い無料配布物を作りたい人が多い。Onlysheetsは、その需要に合う形として生まれた。

顧客から質問が来たとき、Andrewは個別に解説動画を送ることもある。作った動画はこれまでに約1,000本。ただ会員が見られるのは220本ほどで、今後さらに公開していく余地がある。

1人で回す限界と、次の課題

Better Sheetsが成長するにつれ、Andrewは不安も感じるようになった。ずっと1人で運営し続けるのは難しい。

個人のキャラクターに強く依存したビジネスは、本人が動けなくなった瞬間に止まる。だからAndrewは、小さな会社を仕組み化して回す考え方を学び、「自分がいなくても動く機械のようなビジネス」にしたいと考えている。

この話から学べること

Andrewのやり方は、細かいテーマを深く掘るのが得意な人に向いている。ポイントはシンプルだ。

  • テーマをできるだけ具体的に絞り、その分野の専門家になる
  • 無料ユーザーが多いことを、成功の証拠だと思いすぎない
  • 無料で出すなら、次につながる仕組み(連絡先の取得や有料への案内)を用意する

無料で使われるだけでは、本当に価値があるかは見えにくい。お金を払ってもらえるかどうかが、強い判断材料になる。

Better Sheetsは、その現実から目をそらさなかった。だからこそ、ただの動画教材で終わらず、続くビジネスになった。